小山・ミカタパートナーズ/税理士コラム

無断で家賃の値上げ!どのように対処するべき?

2017年8月15日

アパートやマンションなどの賃貸住宅に居住している方にとって頭が痛いのが、概ね2年に一度おこなわれる『契約更新』でしょう。

その月だけは家賃の支払いが2倍程度になってしまうわけですから、契約更新向けて節約したり、お金を工面している方も多いはずです。

何かとトラブルを抱えやすい賃貸物件。

契約更新に関するトラブルは訴訟問題に発展することも珍しくなく、物件の所有者にとっても、借主にとっても重要な問題です。

そして、その中でも代表的なのが「事前の告知なしで、契約更新時に家賃値上げを申し渡された」というトラブルです。

今回は借主の立場になって「契約更新時に事前告知なしで家賃値上げを申し渡された場合」について考えていきましょう。

1 無断で家賃値上げ!これは正当なのか?

生活費の中でも、住居の家賃は非常に重いウェイトを占めます。

手取り収入の3分の1程度は家賃支払いで消えてしまうのが普通ですから、家賃は少しでも安いことに越したことはありません。

ところが、これが物件の所有者側に立ってみると、思った以上に維持経費がかかっているので1,000円でも値上げできれば助かると感じるものです。

契約更新は貸主・借主の双方にとって契約した家賃の金額を見直す機会となるので、それぞれの主張が食い違うことでトラブルに発展してしまいます。

通常、契約更新時に家賃額の変更をおこなう際には、契約更新月の2ヶ月程度前に変更内容を告知します。

どこの物件でもほぼ必ず事前告知があるものなので、告知なしで家賃額の変更をおこなうと「横暴な家主だ!」と批難を浴びせられますが、実はこれ、法的には問題はありません。

たとえば、突然貸主から交渉の余地もなく「来月から家賃を上げる」と言われたとしても、これは物件の所有者である貸主の自由です。

ただし、全てが貸主の自由、というわけではありません。

賃貸不動産に関して規定した『借地借家法』では

・土地建物に対する税金の増減によって物件の価格が変動した

・物価などの世間の経済事情が変化した

・周辺の同じ程度の物件の賃料が変化した

という場合にのみ、家賃の変更が認められるとされています。

反対にいえば、この条件に合致していれば、貸主が適正な範囲内で家賃を値上げすることは自由なのです。

2 告知なしの値上げ…従うしかない?

さて、家賃の値上げは貸主の自由、しかも告知の有無は問題にならないと言われれば「告知もなく家賃値上げを言い渡されてもなす術もないの?」と憤りを感じる方も少なくないでしょう。

本当に言いなりになるしかないのでしょうか?

まず結論として「不当な値上げには従う必要はない」と認識してください。

たとえ賃貸借契約書に「値上げに応じない場合は契約更新をおこなわない」などの記載があったとしても、焦る必要はありません。

じっくりと貸主との話し合いをして、値上げに納得できるような理由があるのか、契約更新に応じるべきなのかをよく検討しましょう。

もし話がまとまらないまま翌月になってしまい、貸主から「値上げ後の家賃でないと受け取らない」などと言われて受取拒否をされた場合、すぐさま契約解除とならないために法務局に『供託』しましょう。

供託とは、カンタンにいえば「支払うべき金銭などを国に預けておくこと」です。

いくら話がまとまっていなくても、受取拒否をされたままでは未払い状態と同じく評価されてしまいます。

そこで、最低限、自分の主張の範囲内で支払うべき家賃は国に預かってもらっているという状態を作り出すことで、未払いではなくなるわけです。

未払い状態を解消しないと、貸主と対等な立場で交渉することは困難です。

必ず供託によって未払い状態を解消したうえで話し合いを続けて、条件に合意した場合には契約更新をするべきですね。

3 まとめ

今回は、賃貸物件の契約更新時に無断で家賃値上げを申し渡された場合の対処法を紹介しました。

最後にポイントをおさらいしましょう。

・借地借家法の定めにより、家賃額の増減は正当な理由があれば貸主の自由である

・法的には、契約更新に先立って家賃を増額する旨を告知する義務もない

・経済状況や地価の変動などの正当な理由がなければ、借主は家賃の値上げや契約更新に応じる必要はないが、未払い状態にならないために法務局への供託を利用すべきである

値上げに異議を唱えた状態で契約更新をしてしまうと、値上げ後の条件に合意したことになってしまいます。

話し合い、あるいは調停や訴訟などの決着が着くまでは契約更新をするべきではないでしょう。