小山・ミカタパートナーズ/税理士コラム

共有だった不動産を分割したい!分割の方法は?

2017年8月18日

「親が亡くなって実家の土地建物を兄弟で共有することになった」という話を耳にしたことはありませんか?

特に相続財産が土地建物であった場合に、相続人の1人の財産としてしまうと争いのもとになると考えて不動産を共有名義にすることが多く見受けられますね。

ところが、後々に「やはり自分の取り分を主張したい!」と分割を考えることもあるでしょう。

一体、共有不動産をどのようにして分割するのでしょうか?

今回は、共有不動産の分割方法について紹介していきましょう。

1 共有不動産の分割は「現物・代金・価格賠償」

冒頭で例示したように、例えば親から相続した土地建物を兄弟2人で共有財産にしたとします。

もし、兄は両親と同居していて、そのままその土地建物に住み続けるとすれば、弟は名義上で持ち分を所有しているだけで何ら利益のない状態になってしまいます。

そうしているうちに、弟が何らかの利益を享受したいと考えるのは当然といえば当然。

そこで「共有不動産を分割したい」と主張することになります。

このように、共有名義の財産を分割する手続きのことを『共有物分割』と呼びます。

では、預貯金のように数量として分割することが容易な財産であれば事はカンタンですが、土地建物やマンションなどの不動産はどうやって分割するのでしょうか?

共有物分割の方法には『現物分割』『代金分割(換価分割)』『価格賠償』の3つの方法があります。

まず『現物分割』は、その名のとおり財産そのものを物理的に分割する方法です。

対象の財産が土地であれば、割合に応じて分筆することで物理的な分割が可能ですが、土地の上に建物が建っている場合は物理的な分割は不可能です。

このように、物理的な分割によると対象となる財産自体を毀損してしまったり、価値を減少させてしまう場合は『代金分割(換価分割)』という方法が取られます。

代金分割では、裁判所による競売によって不動産を処分し、得られた金額を持ち分に応じて分割することになります。

もうひとつの『価格賠償』は、例えば一方が「財産の分割に異論はないが、土地建物は存続して自分が使いたい」という場合に取られる方法です。

財産自体を分割せず、持ち分相当の金銭を支払うことで財産分割に代えます。

つまり、例示したケースでは、兄は土地建物を存続させるために、価格賠償によって弟の取り分相当の金銭を支払い、財産を分割することになりますね。

2 当事者間で合意が得られない場合は?

例えば土地を現物分割しようと考えた場合、面積によって均等に分割するにしても、角地にあたる場所が欲しいとか、南向きの道路に接する場所が欲しいなどの意見が食い違って合意に至らない場合があります。

共有物分割で当事者間の合意が得られない場合、民法の規定によって裁判で解決することになります。

裁判によって、共有物分割の方法が現物・代金・価格賠償の3つの方法のいずれかに決定されますが、価格賠償については

・財産の性質から、価格賠償が最も不公平でない方法だと判断される

・持ち分の価格が適正に評価されている

・財産を取得しようとしている者に十分な支払能力がある

などの条件が満たされている必要があります。

また、共有不動産を分割する場合に注意が必要なのが『抵当権』です。

もし共有不動産に抵当権が設定されている場合、抵当権者である金融機関などの利益を保護するため、基本的には抵当権者の合意がなければ分割は認められません。

例外を認めた判例もありますが、基本的には抵当権者の合意を得た上で抵当権を集中する移転登記を行うことになります。

3 まとめ

今回は、共有不動産の分割方法について紹介しました。

最後にポイントだけを復習しておきましょう。

・共有不動産を分割するには、現物分割・代金分割(換価分割)・価格賠償の3つの方法がある

・分割方法において当事者間の合意が得られない場合は裁判によって決定する

・共有不動産に抵当権が設定されている場合、基本的には抵当権者の合意が必要になる

冒頭で「相続の際に、財産争いを回避するために共有不動産とする場合が多い」と紹介しましたが、一度共有にしてしまうと後々の分割には大きな手間が生じることになります。

安易に共有不動産にするよりも、いずれ分割することが予見できるのであれば相続の際に分割してしまうことを強くオススメします。