暗号資産の税金が「最高55%→20%」へ?2026年度改正で何が変わるか税理士が解説

「暗号資産(仮想通貨)の利益は、税金が高すぎる」——投資家の方から、長くいただいてきたご相談です。現在は最高で約55%もの税率がかかりますが、2026年度(令和8年度)の税制改正大綱で、これを大きく見直す方針が示されました。一定の条件のもと、株式と同じ申告分離課税(約20%)へ移行する方向です。 「いつから変わるのか」「自分の取引も対象か」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズにも、暗号資産をお持ちの方からのご相談が増えています。本記事では、現行の課税の仕組みと、改正で何がどう変わる見込みかを、実務家の視点で整理します。
📋 この記事の目次
  1. 1. 何が起きているのか(3行サマリー)
  2. 2. 現行:暗号資産は「雑所得・総合課税」で最高55%
  3. 3. 改正の方向:申告分離課税・一律約20%へ(2028年1月以降の見込み)
  4. 4. 実務でどう備えるか:今、何を考えるべきか
  5. 5. よくある誤解 vs 正しい理解
  6. 6. まとめ
  7. よくある質問(FAQ)

1. 何が起きているのか(3行サマリー)

  • 現在、暗号資産の利益は雑所得・総合課税で、所得が大きいほど税率が上がり、住民税と合わせて最高約55%に達します。
  • 2026年度税制改正大綱で、一定の条件を満たす暗号資産を申告分離課税(一律約20%)へ移行する方針が示されました。
  • あわせて損失の3年間繰越損益通算の導入も見込まれます。適用は2028年1月以降の見通しです。

2. 現行:暗号資産は「雑所得・総合課税」で最高55%

まず、いまの仕組みを正確に押さえます。暗号資産の取引で得た利益は、原則として雑所得に区分され、給与など他の所得と合算して課税される総合課税の対象です(根拠:所得税法、国税庁タックスアンサー No.1524)。

総合課税は超過累進課税のため、所得が大きいほど税率が上がります。

区分税率
所得税(累進)5%〜45%
住民税おおむね一律 10%
合計(最大)約55%

つまり、暗号資産で大きな利益を出した方ほど、半分以上が税金で消える計算になります。さらに現行制度では、損失が出ても翌年以降に繰り越せず、株式など他の金融商品とも損益通算できない——これが投資家から「重い」と言われてきた理由です。

3. 改正の方向:申告分離課税・一律約20%へ(2028年1月以降の見込み)

2026年度税制改正大綱では、この扱いを大きく変える方針が示されました。一定の要件を満たす暗号資産について、株式投資などと同じ申告分離課税へ移行する方向です。

❌ 現行(〜2027年)
  • 区分:雑所得・総合課税
  • 税率:累進で最高約55%
  • 損失:繰越できない/他商品と損益通算できない
⭕ 改正後(2028年1月以降の見込み)
  • 区分:申告分離課税
  • 税率:一律 約20.315%(所得税15%+復興特別所得税+住民税5%)
  • 損失:3年間の繰越控除/対象暗号資産同士の損益通算を導入する見込み

利益が大きい投資家ほど、税率の差(55%→約20%)のインパクトは絶大です。加えて、損失の繰越・通算が認められれば、年をまたいだ投資の設計がしやすくなります。日本の暗号資産投資環境を大きく改善する改正として注目されています。

⚠️ これは税制改正大綱で示された「方針」であり、具体的な対象範囲・要件・適用時期は今後の法案で確定します。最新情報は必ず公表資料でご確認ください。

4. 実務でどう備えるか:今、何を考えるべきか

「20%になるなら、それまで利益確定を待てばいい」——そう単純にはいきません。

💬 実務の現場から
——弊社にも、暗号資産で大きな含み益を抱えた方からのご相談は実際に寄せられます。過去のご相談の傾向として申し上げると、悩ましいのは「今の高い税率で確定すべきか、改正を待つべきか」の判断です。私たちが関与する場面では、含み益の規模・他の所得・資金需要・改正の不確実性まで含めて、複数のシナリオで税負担を試算したうえで、ご本人に判断材料をお渡ししています。

特に意識しておきたい点を挙げます。

  • 改正は「見込み」段階:確定前提で動くのは危険。要件・時期が変わる可能性を織り込む
  • 現行は依然55%:改正が適用されるまでの取引は、今のルール(総合課税)が続く
  • 含み益の大きい方:確定のタイミングが税負担を大きく左右する。慌てず試算を
  • 記録の保存:取引履歴は正確に保存(改正後も取得価額の管理は必須)

5. よくある誤解 vs 正しい理解

❌ よくある誤解
  • 「もう20%になった」→ まだ方針段階。現行は最高約55%の総合課税
  • 「全部の暗号資産が対象」→ 「一定の要件を満たすもの」が対象の見込み。範囲は今後確定
  • 「来年から」→ 適用は2028年1月以降の見通し
⭕ 正しい理解
  • 改正は2026年度大綱で示された方針。確定は今後の法令
  • 適用までは現行の総合課税(最高約55%)が続く
  • 損益通算・繰越の導入で、投資設計の自由度が上がる見込み

6. まとめ

暗号資産の税金は、「雑所得・総合課税・最高約55%」から、「申告分離課税・一律約20%」へと大きく変わる方向にあります。損益通算・3年繰越の導入も見込まれ、投資家にとっては待望の改正です。ただし、まだ方針段階であり、適用は2028年1月以降の見通し。それまでは現行ルールが続きます。

含み益の大きい方ほど、「いつ確定するか」で税負担が大きく変わります。改正の不確実性も踏まえ、慌てて動く前に、複数シナリオでの試算をおすすめします。税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、トリプルホルダーの視点で、暗号資産を含む資産の税負担シミュレーションに対応しています。お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

暗号資産を持っているだけ(含み益)でも課税されますか?

いいえ。保有しているだけでは課税されません。売却したとき、他の暗号資産に交換したとき、商品・サービスの決済に使ったときなど、利益が確定した時点で課税対象になります。

暗号資産の利益はいくらから申告が必要ですか?

給与所得者の場合、給与以外の所得(暗号資産の利益を含む)の合計が年20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は必要です。

税率が約20%になるのはいつからですか?

現時点では改正の方針段階で、申告分離課税・約20%への移行は2028年1月以降の見込みです。それまでは現行どおり、雑所得・総合課税で最高約55%(住民税等を含む)が続きます。

暗号資産の損失は他の所得と相殺できますか?

現行制度では原則できません(雑所得内での通算に限られます)。改正で申告分離課税になれば、損益通算や3年間の繰越控除の導入が見込まれています。

出典・参考資料

速報追記ブロック(続報が出たら更新)
改正の対象範囲・要件・適用時期は今後の法案で確定します。詳細が固まり次第、本記事を更新します。
ご利用上の留意事項
本記事は、税制改正大綱および公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の税務判断に代わるものではありません。改正は方針段階であり、内容は今後の法令で確定します。実際の判断にあたっては、最新の法令・通達をご確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年6月3日

資産・投資の税務相談は KMP へ

トリプルホルダーの視点で、暗号資産を含む資産の税負担シミュレーションに対応しています。含み益の確定タイミングにお悩みの方はお気軽にご相談ください。

無料相談はこちら
小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。富裕層・個人投資家の資産防衛から中小企業の税務顧問まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp