予定納税とは?対象者・納付時期・払えないときの減額申請までを税理士が解説【2026年版】
- 1. 予定納税とは(3行サマリー)
- 2. だれが対象になるのか(予定納税基準額15万円以上)
- 3. 通知書はいつ届く?納付の時期と金額
- 4. 【最重要】業況が悪いなら「減額申請」で前払いを減らせる
- 5. 予定納税が払えないときはどうするか
- 7. まとめ
- よくある質問(FAQ)
1. 予定納税とは(3行サマリー)
- 予定納税とは、前年の所得税額が一定以上だった人が、その年の所得税の一部を前払いする制度です。
- 前年分から計算した「予定納税基準額」が15万円以上の人が対象になります。
- 第1期・第2期の年2回に分けて納め、翌年の確定申告で精算(納めすぎなら還付)されます。
予定納税は、根拠を所得税法第104条(予定納税額の納付)に置く正式な制度です。「臨時の追徴」ではなく、毎年あらかじめ決まったルールで動く前払いだと理解してください。
2. だれが対象になるのか(予定納税基準額15万円以上)
予定納税が必要かどうかは、「予定納税基準額」が15万円以上かどうかで決まります。国税庁タックスアンサー No.2040 では、次のとおり明記されています。
「予定納税基準額」とは、おおまかに言えば前年分の所得税額(申告納税額)から、原則として臨時的な所得などを除いて計算した金額です。前年の確定申告で納めた所得税が一定以上あった人ほど、対象になりやすいということです。
対象になる人・なりにくい人を整理すると、次のとおりです。
| 区分 | 予定納税の対象になりやすいか |
|---|---|
| 個人事業主・フリーランス(前年が黒字で税額が大きい) | 対象になりやすい |
| 不動産所得・事業所得が大きい個人 | 対象になりやすい |
| 会社員で給与のみ(源泉徴収で完結) | 原則として対象にならない |
| 前年が赤字・少額の所得だった人 | 対象にならない(基準額15万円未満) |
なお、対象になる人には税務署側から通知が来ます。自分で「対象かどうか」を計算して申し出る必要はありません(次章)。
3. 通知書はいつ届く?納付の時期と金額
通知は6月15日まで
予定納税の対象者には、その年の6月15日までに、所轄の税務署から書面で「予定納税額の通知書」が送られてきます(所得税法第106条)。ここに、あなたが納めるべき第1期分・第2期分の金額が記載されています。金額は税務署が計算済みなので、原則として通知された額を期限までに納めます。
納付は年2回。基準額の3分の1ずつ
納付の時期と金額は、国税庁 No.2040 のとおり次のように決まっています。
| 区分 | 納付時期 | 納める金額 |
|---|---|---|
| 第1期分 | その年の 7月1日から7月31日まで | 予定納税基準額の 3分の1 |
| 第2期分 | その年の 11月1日から11月30日まで | 予定納税基準額の 3分の1 |
| 残り | 翌年の確定申告で精算 | 残りの3分の1(過不足を調整) |
たとえば前年分から計算した予定納税基準額が30万円だった場合、計算は次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 予定納税基準額 | 300,000円 |
| 第1期分(7月)=基準額×1/3 | 100,000円 |
| 第2期分(11月)=基準額×1/3 | 100,000円 |
| 予定納税の合計(前払い) | 200,000円 |
| 翌年の確定申告で精算 | 確定した税額から前払い20万円を差し引いて納付。前払いが多ければ還付 |
つまり予定納税は「払い損」ではなく、確定申告で必ず精算される前払いです。年の途中で前払いしておくことで、確定申告時の一括負担を軽くする狙いもあります。
4. 【最重要】業況が悪いなら「減額申請」で前払いを減らせる
ここが、予定納税で最も知っておくべきポイントです。予定納税は「前年の実績」で計算されるため、前年は好調でも今年は業績が落ちている、という人にとっては資金繰りを圧迫します。「今年はそんなに稼いでいないのに、去年ベースで請求が来た」という相談が後を絶ちません。
このとき使えるのが「予定納税額の減額申請」です。
減額申請ができる場合
国税庁「A1-3 予定納税額の減額申請手続」では、次のように定められています。
具体的には、次のようなケースが該当します。
- 廃業・休業・転業した
- 業況不振で、今年の所得が前年より明らかに減る見込み
- 災害・盗難・横領で損害を受けた
- 多額の医療費を支払った、扶養親族が増えたなど、控除が増える事情がある
減額申請の提出期限(ここを外さない)
減額申請には期限があります。期限を過ぎると、その期の減額は受けられません。
| 申請する対象 | 提出期限 |
|---|---|
| 第1期分および第2期分の減額 | その年の 7月1日から7月15日まで |
| 第2期分のみの減額 | その年の 11月1日から11月15日まで |
※提出期限が土・日・祝日に当たる場合は、その翌平日が期限になります。
必要なもの・出し方
提出するのは「予定納税額の減額申請書」です。あわせて、見積りの根拠となる申告納税見積額の計算書を作成し、業況不振などの事実を裏づける資料(試算表・売上資料など)を添えるとスムーズです。提出は書面のほか、e-Tax(電子申請)でも可能です。税務署は申請を審査し、承認・一部承認・却下のいずれかを書面等で通知します。
- 通知書が来たので、今年は赤字なのに前年ベースの満額をそのまま納めてしまった
- 「減額できる」と聞いたが、7月15日の期限を過ぎてから気づいた(第1期分はもう減額できない)
- 見積りの根拠資料を用意せず、申請が却下された
- 通知書が届いたら、まず6月30日時点の今年の業績で「今年の所得はどれくらいになりそうか」を試算する
- 前年より明らかに下がる見込みなら、7月15日までに減額申請を出す(第1期・第2期の両方を減額できる)
- 試算表など根拠資料をそろえ、e-Taxまたは書面で期限内に提出する
——弊社にも、「前年は過去最高益だったが、今年は取引先の事情で売上が大きく落ちた。それでも予定納税の通知が満額で来た」というご相談が、毎年この時期に実際に寄せられます。過去のご相談の傾向として申し上げると、減額申請を知らずに満額を納めてしまい、その後の資金繰りに苦しむケースが少なくありません。私たちが関与する場面では、6月の通知が届いた段階で当年の着地見込みを試算し、減額の余地があれば期限内に手続きするところまでご支援します。
5. 予定納税が払えないときはどうするか
業況不振で減額申請をしても、なお納付が苦しいことはあります。納付しないまま放置するのが最悪の対応です。期限の翌日から延滞税が課され、督促・滞納処分(差押え)に進むこともあります。
打つ手は次のとおりです。
- 減額申請を使う(前章):そもそも納める額を正しく減らす。これが第一手です。
- 納付の猶予制度:一時的に納付が困難な事情があるときは、税務署に相談することで分割などの猶予が認められる場合があります。
- 納付手段を工夫する:振替納税・e-Tax(ダイレクト納付)・クレジットカード納付・スマホアプリ納付・コンビニ納付・金融機関や税務署の窓口など、複数の方法から選べます(振替納税は事前手続きが必要です)。
予定納税は「前年の好況に対する後払い的なキャッシュアウト」です。前年が良かった年ほど、翌年の予定納税と確定申告の納税が重なって資金が一気に出ていきます。手元資金が薄いと、納税と運転資金の取り合いになりがちです。資金繰りに不安がある場合は、納税スケジュールを織り込んだ資金計画づくりや、必要に応じた資金調達の検討も有効です。私たちのグループでは融資・資金調達のご支援としてユウシサポを通じた伴走も行っています。
よくある質問(FAQ)
確定申告で全部払うつもりだった。予定納税は無視していい?
会社員でも予定納税は来る?
第1期で減額申請を忘れた。もう手遅れ?
予定納税を多く払っていた場合は?
通知書が来ない=払わなくていい?
7. まとめ
予定納税は、前年の所得税が一定以上だった人が、その年の所得税を前払いする制度です。ポイントは3つです。
- 予定納税基準額が15万円以上だと対象。通知は6月15日までに届く。
- 納付は第1期=7月1日〜7月31日/第2期=11月1日〜11月30日、各回とも基準額の3分の1。
- 今年の業況が前年より悪いなら、7月15日までの減額申請で前払いを減らせる。ここを知らずに満額を納めると資金繰りを痛める。
「自分は対象なのか」「今年は売上が落ちたので減額できないか」「納税と資金繰りをどう両立させるか」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」として、予定納税の判断から減額申請、納税を織り込んだ資金計画まで、経営者・個人事業主の方を伴走支援しています。お気軽にご相談ください。
出典・参考資料
- 所得税法 第104条(予定納税額の納付)・第106条(予定納税額等の通知)・第111条(予定納税額の減額の承認の申請)
- 国税庁 タックスアンサー No.2040「予定納税」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2040.htm
- 国税庁「A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/02.htm
- 国税庁「所得税及び復興特別所得税の予定納税(第1期分)の納税をお忘れなく」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/campaign/r7/Jul/02.htm
本記事は、予定納税に関する一般的な情報提供であり、個別の税務判断に代わるものではありません。予定納税基準額の計算や減額申請の可否は個別事情により異なります。提出期限が土日祝の場合は翌平日が期限です。実際の判断にあたっては、最新の法令・通達をご確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年6月3日
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