四病院団体協議会が令和9年度税制改正要望を提出|筆頭は「控除対象外消費税」、医療法人の事業承継を税理士が解説【2026年8月時点】

2026年8月21日、四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体)が、厚生労働大臣あてに「令和9年度税制改正要望の重点事項について」を提出しました。 要望書の冒頭には、控除対象外消費税問題の抜本的な解決を筆頭要望としたとはっきり書かれています。医療機関の税制要望は毎年出るものですが、今年は「何を一番に置いたか」がはっきりしている点が読みどころです。 税理士法人 小山・ミカタパートナーズにも、医療法人を経営される先生方から「持分をどう next の世代に渡すか」「このまま持分ありで置いておいて大丈夫か」というご相談は実際に寄せられます。過去のご相談の傾向として申し上げると、この論点でつまずきやすいのは、医療法人の税制が「法人税」「事業税」「相続税・贈与税」「消費税」の4つに分かれて別々の期限を持っていることです。どれか1つだけを見て判断すると、必ず他が抜けます。 本記事では、①要望の全体像 ②筆頭に置かれた控除対象外消費税とは何か ③事業税の非課税・軽減措置の現在地 ④事業承継まわりの3つの要望 ⑤法人税の税率をめぐる現行条文の読み方 ⑥数字で見た「持分あり医療法人」の減り方、を順に整理します。
📋 この記事の目次
  1. 1. 何が起きたのか(3行サマリー)
  2. 2. 要望の全体像――5分野に何が並んでいるか
  3. 3. 筆頭要望:控除対象外消費税とは何か
  4. 4. 事業税:いま医療法人はどう扱われているか
  5. 5. 事業承継:3つの要望と、いま効いている期限
  6. 6. 法人税:ここは条文を読むと要望の意味が変わる
  7. 7. 数字で見る「持分あり医療法人」――令和8年に6割を割った
  8. 8. 実務でどう備えるか
  9. 9. まとめ
  10. よくある質問(FAQ)

1. 何が起きたのか(3行サマリー)

  • 2026年8月21日、四病院団体協議会が令和9年度(2027年度)税制改正要望を厚生労働大臣に提出しました。要望は消費税・事業税・事業承継税制・法人税・その他の5分野に整理されています
  • 筆頭要望は「社会保険診療報酬等の非課税に伴う控除対象外消費税問題の抜本的な解決」。社会保険診療報酬・介護報酬を非課税から課税(標準税率・軽減税率またはゼロ税率)に改めるよう求めています
  • 事業承継の分野では、持分のある医療法人にも中小企業と同じ相続税・贈与税の納税猶予・免除制度を創設すること出資評価の方法を見直すこと認定医療法人制度を存続させることの3点が並んでいます
📌 【2026年8月時点】これは「要望」であって、決まった制度ではありません
税制改正は、業界団体の要望や各省庁の要望を出発点として、政府税制調査会・与党税制調査会の議論を経て、年末の与党税制改正大綱で方向が定まり、翌年の通常国会で法律が成立して初めて確定します。今回の要望は業界団体から厚生労働大臣に提出されたものであり、厚生労働省の省庁要望としてそのまま採用されるとは限りません。要望に入っただけの内容は、削られることも、要件が大きく変わることも、実現しないこともあります。本記事の記述は2026年8月時点の公表資料と現行条文に基づくものであり、確定情報ではありません。

2. 要望の全体像――5分野に何が並んでいるか

要望書は5つの分野に分かれています。

  • Ⅰ 消費税関係――社会保険診療報酬等の非課税を見直し、仕入税額控除ができる課税制度へ改めること(筆頭要望
  • Ⅱ 事業税関係――社会保険診療報酬に対する非課税と、医療法人の軽減税率を恒久的に存続させること
  • Ⅲ 事業承継税制関係――持分のある医療法人への納税猶予・免除制度の創設、社団医療法人の出資評価の見直し、認定医療法人制度の存続と認定期限の緩和
  • Ⅳ 法人税関係――中小企業向け設備投資減税の医療界への適用拡大、医療法人の法人税率の引下げと特定医療法人の非課税
  • Ⅴ その他税制関係――賃上げ促進税制の税額控除上限の緩和、社会医療法人への寄附税制・固定資産税の措置、医療従事者確保のための減免

(出典:四病院団体協議会「令和9年度税制改正要望の重点事項について」令和8年8月21日)

要望書の前文では、四病院団体協議会が実施した2025年度病院経営定期調査で、医業利益ベースの赤字病院の割合が74.6%に達したことが背景として挙げられています。この数値は同協議会自身の調査によるものです。

3. 筆頭要望:控除対象外消費税とは何か

医療機関の消費税は、一般の事業会社と構造が違います。ここを押さえないと、なぜこれが筆頭要望なのかが分かりません。

仕組みを3行で

  • 社会保険診療報酬は消費税が非課税です(消費税法第6条第1項、別表第二第六号)
  • 非課税売上に対応する課税仕入れの消費税は、仕入税額控除ができません(消費税法第30条)
  • そのため、医療機関が建物・医療機器・水道光熱費などで支払った消費税のうち、社会保険診療に対応する部分は医療機関の負担として残ります。これが「控除対象外消費税」です
💡 消費税法第6条第1項(非課税・現行条文)
「国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。」
同法別表第二の第六号に、健康保険法・国民健康保険法・高齢者の医療の確保に関する法律などの規定に基づく療養の給付等が掲げられています。社会保険診療が非課税とされている条文上の根拠がここです。
💡 条文番号の注意点:非課税は「別表第二」であって「別表第一」ではありません
四病院団体協議会の要望書は、根拠条文として「消費税法第6条、第30条、別表第一関係」と記載しています。ただし、現行の消費税法で非課税の範囲を定めているのは別表第二です(第6条第1項が「別表第二に掲げるもの」と規定しています)。現行の別表第一は軽減税率の対象(飲食料品および一定の新聞)を定める表で、内容がまったく異なります。過去の解説記事や資料には「別表第一」と書かれているものがありますが、いま条文に当たるときは別表第二第六号を見てください。ここを取り違えると、非課税の話をしているつもりで軽減税率の表を読むことになります。

なぜ「補填」では足りないと言われるのか

現行制度では、控除対象外消費税の負担は診療報酬・介護報酬に上乗せして補填する建て付けになっています。要望書は、この方式について次の3点を問題として挙げています。

  • 負担が受益者ではなく、社会保険料等を通じて被保険者全体が広く負担する仕組みになっていること
  • 医療機関ごとの設備投資や施設整備の実態を反映できず、負担の偏在や過不足が生じること
  • 中央社会保険医療協議会「医療機関等における消費税負担に関する分科会」において、補填率の算定に関する計算誤りが判明したこと

そのうえで、非課税制度そのものを見直して課税制度へ転換すること、実現に向けては還付制度等の創設を含めてあらゆる可能性を排除しないことを求めています。

ここは経営者にとって身近な論点です。病院を建て替える、医療機器を入れ替えるといった大きな投資をするときほど、控除できない消費税が一度に発生します。建築費が上がっている局面では、この負担も比例して重くなります。

4. 事業税:いま医療法人はどう扱われているか

事業税については、要望は「新しく何かを作れ」ではなく「いまある措置を恒久的に存続させてほしい」という守りの要望です。背景には、令和7年度の与党税制改正大綱に「そのあり方について検討する」と書かれ、見直しがあり得ることが示唆された経緯があります。

現行の扱いを条文で確認すると、次の2つに分かれます。

① 社会保険診療報酬は課税標準から除かれる

💡 地方税法第72条の23第2項(抜粋)
「……医療法人又は医療施設(政令で定めるものを除く。)に係る事業を行う農業協同組合連合会(特定農業協同組合連合会を除く。)が社会保険診療につき支払を受けた金額は、益金の額に算入せず、また、当該社会保険診療に係る経費は、損金の額に算入しない。」

収入も経費も両方外すという書き方です。よく「非課税」と説明されますが、条文上は課税標準の算定から除くという形をとっています。要望書がこれを「実質的非課税措置」「課税除外措置」と呼んでいるのはこのためです。

② 自由診療部分には軽減された税率が適用される

医療法人は、地方税法上の「特別法人」に位置づけられています(地方税法第72条の24の7第7項第10号)。特別法人の事業税の標準税率は、一般の法人より低く設定されています。

所得の区分特別法人(医療法人など)その他の法人
年400万円以下の部分3.5%3.5%
年400万円超800万円以下の部分4.9%5.3%
年800万円超の部分4.9%7.0%

(標準税率。地方税法第72条の24の7第1項第2号・第3号。3以上の道府県に事務所等を設け、資本金または出資金の額が1,000万円以上の法人については、同条第5項により特別法人は一律4.9%、それ以外の法人は一律7.0%となります)

つまり、社会保険診療は課税標準から外れ、残った自由診療等の部分についても一般の法人より低い税率が適用されている、という二重の構造です。要望はこの両方を恒久措置にしてほしい、という内容になります。

5. 事業承継:3つの要望と、いま効いている期限

医療法人を経営される方にとって、最も実務に近いのがここです。要望は3つ並んでいます。

要望① 持分のある医療法人にも納税猶予・免除制度を

中小企業には、非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予・免除制度があります。要望書は、持分のある医療法人にも同様の制度を創設してほしいと求めています。理由として、平成18年の医療法改正で医療法人は持分なしが原則とされたものの、現時点でなお相当数が持分ありで占められていること、地域医療が失われたときの社会的損失は大きいことを挙げています。

要望② 社団医療法人の出資評価の見直し

持分のある医療法人の出資は、財産評価基本通達194-2により評価されます。一般の会社の株式(同通達180)が配当・利益・純資産の3要素で比準するのに対し、医療法人は配当が禁止されているため、配当要素が除かれ、利益と純資産の2要素で比準します

要望書は、この扱いによって医療法人の出資評価額が無配当の営利企業よりも高くなってしまうと指摘し、計算式の分母を「2」から「3」とし、分子に置く配当要素を「0」とするよう求めています。

要望③ 認定医療法人制度の存続と手続の緩和

持分あり医療法人が持分なしへ移行する際に、相続税・贈与税の納税猶予等を受けられるのが認定医療法人制度です。要望は、制度の存続に加えて、相続発生後に移行申請を行う場合の申請期限の緩和、認定取消後の再認定を認めること、移行完了時の贈与税申告書の提出を不要とすることの4点を求めています。

ここで、いま効いている期限を条文で確認しておきます。

💡 租税特別措置法第70条の7の9第1項(抜粋)
認定医療法人(……平成二十六年改正医療法施行日から令和十一年十二月三十一日までの間に厚生労働大臣認定を受けた医療法人に限る。)の持分を有する個人……が当該持分の全部又は一部の放棄をしたことにより……」

同じ「令和11年12月31日」という期限は、同法第70条の7の11第2項および第70条の7の12第1項にも置かれています。厚生労働省の案内ページにも「本制度の期限は令和11年12月31日までとなっており、本制度を利用する場合は当該期日までに移行計画の認定を受ける必要があります」と明記されています。条文と所管官庁の案内の両方で一致していますので、ここは確定した事実として扱って差し支えありません。

💡 医療法人の持分に関する納税猶予は「6か条セット」で読む
報道では「認定医療法人の税制」と一括りにされますが、条文は役割ごとに分かれています。第70条の7の9(持分放棄に伴う経済的利益についての贈与税の納税猶予・免除)、第70条の7の10(同じ場面の贈与税の税額控除)、第70条の7の11(出資者の死亡に伴い贈与があったものとみなされる場合の特例)、第70条の7の12(持分についての相続税の納税猶予・免除)、第70条の7の13(同じ場面の相続税の税額控除)、第70条の7の14(持分の放棄があった場合の贈与税の課税の特例)の6か条です。贈与で動くのか、相続で動くのかによって使う条文が変わりますので、検討の最初に「どちらの場面か」を決める必要があります。

6. 法人税:ここは条文を読むと要望の意味が変わる

要望書は、医療法人の法人税率を現行の23.2%から19%へ引き下げること特定医療法人の法人税を原則非課税とすることを求めています。この2つは、現行条文と突き合わせて読むと理解が深まります。

基本税率と中小軽減は別の話

条文対象税率
法人税法第66条第1項普通法人(医療法人を含む)23.2%
法人税法第66条第2項資本金等1億円以下等の法人の年800万円以下の部分19%
租税特別措置法第42条の3の2上記2項の19%を置き換える特例15%(所得が年10億円を超える事業年度は17%)

(法人税法第66条第1項・第2項、租税特別措置法第42条の3の2第1項第1号。措置法の特例は令和9年3月31日までに開始する各事業年度に適用されます)

つまり、医療法人であっても年800万円以下の所得部分には現に15%が適用され得ます。要望が言っている23.2%は、年800万円を超える部分に適用される基本税率のことです。ここを混同すると「医療法人はすべて23.2%で課税されている」という誤解になります。

特定医療法人には、すでに15%の枠がある

特定医療法人(租税特別措置法第67条の2の承認を受けた医療法人)の税率は19%ですが、措置法第42条の3の2第1項第4号が、この19%についても年800万円以下の部分を15%(所得が年10億円超の事業年度は17%)に置き換えています。

💡 租税特別措置法第42条の3の2第1項第4号(抜粋)
「第六十七条の二第一項の規定による承認を受けている同項に規定する医療法人」について、同項の「百分の十九」を「百分の十九(各事業年度の所得の金額のうち年八百万円以下の金額については、百分の十五(所得の金額が年十億円を超える事業年度については、百分の十七)とする。)」とする。

報道や解説では「特定医療法人は19%」で止まることが多いのですが、条文を追うと年800万円以下は15%という枠がすでに用意されています。要望が求めているのは、その先の「原則非課税」です。

賃上げ促進税制の20%上限も要望に入っている

その他税制関係では、賃上げ促進税制の税額控除の上限を撤廃し、法人税額の100%とすること控除未済額の繰越控除期間を無期限とすることが求められています。現行の上限は条文上こうなっています。

💡 租税特別措置法第42条の12の5第1項(抜粋)
「……当該税額控除限度額が、当該法人の当該事業年度の所得に対する調整前法人税額の百分の二十に相当する金額を超えるときは、その控除を受ける金額は、当該百分の二十に相当する金額を限度とする。」

人件費率が高く利益率の低い事業ほど、この20%の天井に先に当たります。病院はその典型です。医療に限らず、人件費が重い業種にとっては共通の論点といえます。

7. 数字で見る「持分あり医療法人」――令和8年に6割を割った

要望の背景にある実態は、厚生労働省が公表している法人数の推移から読み取れます。令和8年3月31日現在の数値は次のとおりです。

区分令和7年3月31日令和8年3月31日
医療法人 総数59,41959,893
うち社団・持分あり35,76635,104
うち社団・持分なし23,26824,410

(出典:厚生労働省「医療法人数の推移(令和8年3月31日現在)」。同資料の資料出所は厚生労働省調べ)

この表から、当方で計算すると次のことが分かります。

  • 持分ありの割合は、令和7年の60.2%から令和8年は58.6%へ下がりました。公表されている年次のうち、持分ありが総数の6割を下回ったのは令和8年が初めてです
  • 持分ありの法人数は1年で662法人減少しました。総数自体は474法人増えていますので、減っているのは持分ありだけです
  • 持分ありのピークは平成20年の43,638法人でした。令和8年の35,104法人は、そこから8,534法人(19.6%)の減少にあたります

(割合・増減はいずれも上記の公表値から当方が計算したものです。公表値そのものは総数・持分あり・持分なしの法人数です)

同じ資料には、特定医療法人が299法人(令和8年3月31日現在)社会医療法人が380法人であることも示されています。要望書が個別に触れている法人類型が、実際にはこの規模だという点も、あわせて押さえておくと議論の重みが分かります。

8. 実務でどう備えるか

要望は要望です。決まるのは年末以降ですから、いま動かすべきものと、待つべきものを分けて考えます。

💬 実務の現場から
医療法人のご相談で最初につまずきやすいのは、「持分ありのままにしておく」という選択が、何もしていない状態ではなく、一つの意思決定であるという点です。持分は相続財産になりますので、放置している間も評価額は毎期動きます。一般論として申し上げると、まず現状の出資評価額を一度計算してみて、そのうえで移行・承継・そのまま保有の3つを並べて比べるところから始めるのが、判断を誤りにくい進め方です。

いま動かせること

  • 持分ありの医療法人は、現在の出資評価額を一度算定する。判断材料がないまま議論しても結論は出ません
  • 認定医療法人制度を使う可能性があるなら、令和11年12月31日という期限から逆算する。移行計画の認定を受けるまでに要件を整える時間が必要です
  • 大型の設備投資・建替えを予定しているなら、控除対象外消費税の見込額を投資計画に織り込む。制度が変わるかどうかにかかわらず、現行制度では発生します
  • 賃上げ促進税制を使っている場合は、20%の上限に当たっていないかを確認する。当たっているなら、控除しきれていない金額がいくらかを把握しておきます

待つべきこと

  • ⏳ 要望が制度になるかどうかは、年末の与党税制改正大綱を見るまで分かりません。要望を前提にした意思決定はしない
  • ⏳ 消費税の非課税から課税への転換は、実現すれば医療機関の会計・システムの両方に及ぶ大きな変更です。動くとしても経過措置を伴うとみておくのが自然です

9. まとめ

  • 2026年8月21日、四病院団体協議会が令和9年度税制改正要望を厚生労働大臣に提出しました。消費税・事業税・事業承継税制・法人税・その他の5分野で構成されています
  • 筆頭は控除対象外消費税の抜本的解決。社会保険診療報酬等を非課税(消費税法第6条第1項・別表第二第六号)から課税制度へ改め、仕入税額控除(同法第30条)ができるようにすることを求めています
  • 事業税は、社会保険診療報酬の課税除外(地方税法第72条の23第2項)と、特別法人としての軽減税率(同法第72条の24の7第1項第2号・第7項第10号)の両方を恒久措置にすることが要望されています
  • 事業承継では、持分あり医療法人への納税猶予・免除制度の創設出資評価(財産評価基本通達194-2)の見直し認定医療法人制度の存続の3点が並びます
  • 認定医療法人制度の期限は令和11年12月31日です(租税特別措置法第70条の7の9第1項ほか、厚生労働省の案内ページ)。ここは要望ではなく、いま効いている確定した期限です
  • 法人税は、条文を追うと医療法人も年800万円以下の部分は15%(措置法第42条の3の2)が適用され得ます。要望の23.2%は年800万円超の部分に適用される基本税率のことです
  • 実態としては、持分あり医療法人の割合が令和8年3月31日現在で58.6%となり、公表年次で初めて6割を下回りました(厚生労働省の公表値から当方が計算)

よくある質問(FAQ)

社会保険診療報酬が消費税の課税対象になると、患者の負担は増えるのですか?

現時点では制度設計が存在しないため、確定的なことは申し上げられません。要望書は「標準税率、軽減税率又はゼロ税率等」と複数の選択肢を並べており、ゼロ税率であれば患者負担を増やさずに医療機関が仕入税額控除を受けられる形になります。どの形になるかは今後の議論次第です。

認定医療法人制度の期限は、いつまでですか?

令和11年12月31日までに厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。根拠は租税特別措置法第70条の7の9第1項ほかの条文で、厚生労働省の案内ページにも同じ期日が明記されています。厚生労働省は、期限直前は申請が混み合う可能性があるとして早めの申請を案内しています。

持分のある医療法人は、いずれ持分なしにしないといけないのですか?

法律上、強制されるものではありません。平成18年の医療法改正で新設は持分なしが原則となりましたが、既存の持分あり医療法人は経過措置医療法人として存続します。ただし持分は相続財産となり相続税の対象になるため、承継の場面では必ず論点になります。

医療法人の出資は、一般の会社の株式より高く評価されるのですか?

評価方法が異なります。一般の会社の株式は配当・利益・純資産の3要素で比準しますが(財産評価基本通達180)、医療法人は配当が禁止されているため配当要素が除かれ、利益と純資産の2要素で比準します(同通達194-2)。要望書は、この扱いにより無配当の営利企業より高く評価されると指摘し、見直しを求めています。個別の評価額は法人ごとに異なりますので、実際の計算が必要です。

特定医療法人になると、法人税はどのくらい変わりますか?

租税特別措置法第67条の2の承認を受けると、法人税の税率は19%になります。さらに措置法第42条の3の2第1項第4号により、年800万円以下の所得部分は15%(所得が年10億円を超える事業年度は17%)となります。ただし、組織・運営・残余財産の帰属について政令で定める要件を満たし、国税庁長官の承認を受ける必要があり、要件を欠くと承認は遡って取り消されます(同法第67条の2第2項)。

この要望は、いつ結論が出ますか?

例年の流れでは、年末の与党税制改正大綱で方向が示され、翌年の通常国会での法律の成立をもって確定します。業界団体の要望がそのまま省庁要望になるとは限らず、省庁要望に入ってもなお削られることがあります。現時点で「決まった」と扱うことはできません。

出典・参考資料

ご利用上の留意事項
本記事は、法令および公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案における税務上の取扱いを保証するものではありません。本記事のうち四病院団体協議会の要望に関する記述は、令和9年度(2027年度)税制改正に向けた業界団体の要望の内容であり、決まった制度ではありません。税制改正要望は、各省庁の要望、政府税制調査会・与党税制調査会の議論、年末の与党税制改正大綱、翌年の法律の成立を経て初めて確定するものであり、内容が変更されること、実現しないことがあります。業界団体の要望が省庁の要望としてそのまま採用されるとは限りません。一方、本記事に記載した現行条文・公表統計(認定医療法人制度の期限、法人税・事業税の税率、医療法人数)は、記事作成時点における条文および公表資料の内容です。本記事は2026年8月時点の情報に基づくものであり、その後の制度改正・公表資料の更新により記載内容が現行と異なる場合があります。医療法人の税務・事業承継の判断にあたっては、最新の法令および厚生労働省・国税庁の公表資料をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年8月31日

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。中小企業の税務顧問から、M&A・組織再編・事業承継、国際税務・資産防衛まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp

この記事は執筆時点の法令・通達に基づいています。最終確認日:2026年8月31日(現行制度との照合を実施)。税制は改正されます。実際のご判断の前に、最新の情報をご確認いただくか、税理士法人 小山・ミカタパートナーズまでご相談ください。