青色申告特別控除が75万円に|令和9年分から優良な電子帳簿が条件(令和8年度改正)を税理士が解説
- 1. 何が変わるのか(3行サマリー)
- 2. 前提:青色申告特別控除の「3段階」(現行・令和8年分まで)
- 3. 令和8年度改正での変更点(75万円・優良な電子帳簿が条件)
- 4. 実務で押さえるべきこと(「優良な電子帳簿」の届出を忘れない)
- 5. まとめ
- よくある質問(FAQ)
1. 何が変わるのか(3行サマリー)
- 青色申告特別控除の最高額が「65万円」から「75万円」へ引き上げ(適用は令和9年分以後の所得税、つまり令和10年(2027年)に行う確定申告から)
- 75万円控除には、期限内のe-Tax申告に加えて「仕訳帳・総勘定元帳の優良な電子帳簿保存」が必要。e-Tax申告だけなら65万円(現状維持)
- これまで紙(書面)で申告して55万円を受けていた区分は見直され、紙申告は10万円の方向へ。電子化への対応で控除額に最大65万円の差がつく制度設計
2. 前提:青色申告特別控除の「3段階」(現行・令和8年分まで)
青色申告特別控除は、記帳と申告のレベルに応じて控除額が変わります。まず現行制度を押さえましょう。国税庁タックスアンサー No.2072 によると、現行(令和8年分まで)の区分は次のとおりです。
| 控除額 | 主な要件 |
|---|---|
| 65万円 | 複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を添付して期限内に申告。かつ、①e-Taxによる電子申告、②優良な電子帳簿の保存のいずれかを満たす |
| 55万円 | 複式簿記・貸借対照表等の添付・期限内申告は満たすが、電子申告も優良な電子帳簿もない(=紙で申告)場合 |
| 10万円 | 上記の要件を満たさない場合(簡易簿記・現金主義など) |
つまり現行は、「複式簿記+期限内申告」を土台に、電子申告(または優良な電子帳簿)まで進めば65万円、紙のままなら55万円、というのが基本構造でした。
3. 令和8年度改正での変更点(75万円・優良な電子帳簿が条件)
財務省「令和8年度税制改正の大綱」で示され、成立した改正法に盛り込まれた見直しのポイントは、控除額の最高額を75万円に引き上げたうえで、その要件を電子化の度合いでくっきり分けたことです。令和9年分以後の所得税(令和10年に行う確定申告)から適用されます。
| 控除額 | 改正後(令和9年分以後)の要件 |
|---|---|
| 75万円 | 複式簿記・貸借対照表等の添付に加え、期限内のe-Tax(電子)申告、かつ仕訳帳・総勘定元帳について「優良な電子帳簿」の保存を行う |
| 65万円 | 複式簿記・貸借対照表等の添付・期限内のe-Tax申告(優良な電子帳簿までは満たさない) |
| 10万円 | 上記を満たさない場合(簡易簿記・現金主義など) |
ポイントは2つです。
①最高額は75万円。ただし「優良な電子帳簿」までが条件。 これまで65万円の上限だったところに、さらに10万円上乗せの枠ができました。ただしこの上乗せを受けるには、e-Tax申告だけでは足りず、仕訳帳・総勘定元帳を電子帳簿保存法の「優良な電子帳簿」の要件で保存する必要があります。
②紙申告の55万円区分は縮小。 改正後は、e-Tax申告をしていない(紙で申告する)場合の控除は10万円が基本になります。現行で「複式簿記だが紙申告」で55万円を受けていた方は、何も対応しなければ控除額が55万円→10万円へ大きく下がるおそれがあります。逆に言えば、e-Tax申告に切り替えるだけで65万円は確保でき、優良な電子帳簿まで対応すれば75万円に届きます。
4. 実務で押さえるべきこと(「優良な電子帳簿」の届出を忘れない)
青色申告特別控除は、要件を一つ満たしていないだけで控除額が下がる、「形式」がそのまま金額に直結する制度です。とくに令和9年分からは電子化の度合いで差がつくため、準備の段取りが重要になります。
- 会計ソフトを使っているから「優良な電子帳簿」だと思い込み、事前の届出をしていないために75万円が受けられない
- 紙で申告を続け、令和9年分から控除が55万円→10万円に下がることに気づかない
- e-Taxの申告期限(原則3月15日)を1日でも過ぎて、期限内申告の要件を落として控除額が下がる
- 複式簿記ではなく簡易簿記のままで、そもそも10万円控除しか受けられていない
- まずはe-Tax(電子申告)への切り替えを済ませる。これだけで65万円の枠は確保できる
- 75万円を狙うなら、会計ソフトを「優良な電子帳簿」の要件に対応した設定にし、所轄税務署へ事前の届出を行う(適用したい年分の申告期限までではなく、原則としてその課税期間の前にあらかじめ届出が必要なため、早めの準備が肝心)
- 期限内申告を徹底する。期限後申告は65万円・75万円とも対象外になる
- 簡易簿記の方は、複式簿記(会計ソフトの利用)へ移行して、控除枠そのものを引き上げる
弊社にも、「青色申告で65万円を取っているつもりが、実は要件を満たしていなかった」というご相談は実際に寄せられます。過去のご相談の傾向として申し上げると、つまずきやすいのは控除額そのものよりも、期限内申告・電子申告・帳簿要件という“形式条件”の取りこぼしです。令和9年分からは、ここに「優良な電子帳簿の届出」という新しい一手間が加わります。私たちが関与する場面では、確定申告の直前ではなく、事業年度が始まる段階で会計ソフトの設定と届出まで整えるようにしています。準備の早さが、そのまま控除額(=手取り)の差になって表れる改正です。
5. まとめ
令和8年度税制改正で、青色申告特別控除の最高額が「65万円」から「75万円」へ引き上げられ、令和9年分以後の所得税(令和10年に行う確定申告)から適用されます。ただし75万円を受けるには、期限内のe-Tax申告に加えて、仕訳帳・総勘定元帳の「優良な電子帳簿」保存が必要です。e-Tax申告のみなら65万円、紙申告は10万円が基本となり、電子化への対応状況で控除額に大きな差がつきます。
紙で申告している方が何もしなければ、控除が55万円から10万円へ下がるおそれがある一方、e-Tax申告への切り替えで65万円、優良な電子帳簿まで対応すれば75万円に届きます。税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、会計ソフトの選定・設定から優良な電子帳簿の届出、青色申告での確定申告までご支援しています。令和9年分に向けて何を準備すべきか確認したい個人事業主・フリーランスの方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
青色申告特別控除はいつから75万円になりますか?
75万円控除を受けるには何が必要ですか?
会計ソフトを使っていれば「優良な電子帳簿」になりますか?
紙(書面)で申告していると控除はどうなりますか?
e-Taxに切り替えるだけで75万円になりますか?
出典・参考資料
- 国税庁 タックスアンサー No.2072「青色申告特別控除」| https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2070「青色申告制度」| https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱(3/9)」| https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_03.htm
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」令和7年12月26日 閣議決定| https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_gaiyou.pdf
- 根拠:租税特別措置法 第25条の2(青色申告特別控除)、令和8年度税制改正大綱(令和7年12月19日)
本記事は、国税庁・財務省の公表資料および令和8年度税制改正に基づく一般的な情報提供であり、個別の税務判断に代わるものではありません。適用にあたっては、記帳方法・申告期限・電子申告および優良な電子帳簿の届出など個別事情により判断が変わります。実際の判断にあたっては、最新の法令・通達をご確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年6月16日
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会計ソフトの選定・設定から優良な電子帳簿の届出、e-Taxでの確定申告まで、個人事業主・フリーランスの実務に伴走しています。令和9年分に向けて何を準備すべきか、確実に控除を取りたい方はお気軽にご相談ください。
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