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2019.09.20

[相続税対策]不動産の分割贈与を利用しよう!

[相続税対策]不動産の分割贈与を利用しよう!

相続税対策として、不動産の分割贈与があります。
この方法は、手間はかかるけれども、非常に分かり易い方法なので、使いようによっては有効な節税対策となります。
今回は、不動産の分割贈与による節税対策について解説します。

不動産の分割贈与とは

贈与税の基礎控除額は110万円です。
よって、1年間に110万円の贈与に対しては贈与税が課税されません。
不動産の分割贈与はこの仕組みを利用します。

例えば、贈与税の財産評価額が1,100万円の土地を、親から子(1人)へ毎年持分1/10(評価額110万円)ずつ贈与したとします。
この場合、10年が経過すると、全く贈与税を支払うことなく、この土地を親から子へ贈与することができます。
この土地を一括で贈与した場合の贈与税は、原則として(1,100万円−110万円)×45%−175万円ですから、270万5千円ですから、その分の節税効果があります。

ちなみに、祖父母や父母から、20歳以上の子や孫に対する贈与を特例贈与といいます。
この特例贈与に該当すると、一般贈与と比較して贈与税の金額が若干下がります。
上記の例が、特例贈与に該当するとして計算した贈与税額は、(1,100万円−110万円)×40%−190万円ですから、206万円となります。

なお、不動産の分割贈与を行うと、土地所有所有権移転登記が必要になります。
その価額は、上記の例でいうと、登録免許税が4,400円、司法書士に依頼した場合の報酬額が2~3万円程度となります。
この金額の10回分が必要になりますが、それでも節税できる贈与税の金額に比すと、相当に低い金額となります。

分割贈与の注意点について

上記の例では、親から子(1人)への分割贈与を想定しておりましたので、贈与後の土地は受贈者の単独所有となるため、登記費用が発生する他は、特に大きな問題はありません。

しかし、例えば、評価額5,500万円の土地を、毎年、持分1/50ずつ、夫から妻と4人の子計5人に対して、10年間贈与するとすれば、確かに10年間を経過すると、贈与税を支払うことなく、夫から妻と4人の子に対する当該土地の贈与を行うことができます。

ただし、この方法で贈与を行うと、対象の土地が妻と4人の子の持分1/5ずつの共有名義となってしまいます。
すると、5人が集まって共有者会議を開き、その全員又はその過半数の同意が得られないと、土地の積極的な利用ができないというデメリットが発生します。
土地の分割贈与についてはこの点に注意しなくてはなりません。

また、不動産の分割贈与を行うと、毎年の持分移転に従って、受贈者に固定資産税の納税義務が生じます。
贈与後も贈与した土地の固定資産税は、贈与者が負担するというのであれば問題はありませんが、そうでない場合には、受贈者の担税能力に対して、不均衡な固定資産税の負担が生じないかどうかに留意する必要があります。

相続時精算課税制度と不動産の分割贈与について

不動産の生前贈与の際に利用できる節税対策としては、分割贈与の他に相続時精算課税制度があります。
この制度は、生前贈与時に、贈与税の確定申告と相続時精算課税制度選択届を税務署に提出することにより、評価額2,500万円までの贈与財産を非課税、それを超える贈与財産については一律20%の贈与税を課すというものです。

そして、贈与者に相続が発生した際に、この制度を利用して贈与を行なった贈与財産の価額を相続税の課税価額に加えて相続税の計算を行い、計算された税額から生前贈与時に行った贈与税額を控除し、その残額を相続税として納税するという制度です。

この相続時精算課税制度を一度利用すると、その後の贈与には110万円の贈与税の基礎控除額の使用ができなくなります。
よって、不動産の分割贈与の利用も不可能となります。

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