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2019.11.21

駐車場経営による相続税の節税対策

駐車場経営による相続税の節税対策

今や節税対策を紹介するサイトは数多く、どれを見ても同じようなことが書いてありますよね。

特に注目されるのが、主に実生活に直結する「所得税の節税対策」ですが、もう一つ、読者の方々が不安に感じながらご覧になるために検索数が多数になるのが「相続税の節税対策」でしょう。

相続税と聞いただけでも「一体いくら課税されるのだろう」と不安を感じている方は多いはずです。

相続税の基礎控除額の引き下げも相まって、最近、相続税の節税対策が非常に注目されています。

そんな中、いろいろなサイトで「相続税の節税対策には駐車場経営が有効」と紹介されています。

一体、なにがどうなって駐車場経営が相続税の節税につながるのでしょうか?

今回は、最近ではもはや定番ともいえる「駐車場経営による相続税の節税対策」について、わかりやすくひも解いていきましょう。

1 なんでも駐車場にすればいいというわけではない!

ここに敷地面積200㎡の土地があるとします。

建物はなにも建っていない、いわゆる『空き地』です。

元々は親の実家があって祖父母が住んでいた土地ですが、祖父母が亡くなり親が相続して移住しました。

長い年月が過ぎて、ついに自分の親が病床に伏してしまいました。

そう遠くない将来、この200㎡の土地を自分が相続することになりそうです。

土地の登記簿を手に、知り合いの税理士の事務所を訪ねて相談したところ、その土地の固定資産税評価額は5,000万円でした。

現実的に不動産の相続が差し迫ってきたので相続税の節税を考えていきたいと感じてインターネットで節税対策のサイトを見ていると「駐車場経営で相続税対策」という記事を見つけました。

「よし、じゃあこの空地をそのまま駐車場にしよう!」と決心しましたが、費用もかかるし、砂利敷きのままいわゆる『青空駐車場』にしました。

実は、この流れではいくら相続した土地を駐車場にしても相続税の節税にはつながりません。

なぜ駐車場経営が相続税の節税につながるのか?

それは「駐車場にすることで土地の価値を下げることができるから」です。

「土地の価値を下げる」といっても、本当に土地が価値のないものになるわけではありません。

ここに、相続税を節税する『マジック』が隠されているのです。

2 アスファルト舗装で相続税が半減する?!

先の例に挙げた200㎡の土地ですが、単に駐車場といっても青空駐車場では節税にならないと説明しましたね。

では、全面をアスファルトで舗装するとどうでしょうか?

答えは「相続税が半減する」となります。

同じ駐車場でも、なぜ青空駐車場は節税にならず、アスファルト舗装をすれば相続税が半減するのでしょうか?

このマジックには『小規模宅地等の特例』が作用しています。

小規模宅地等の特例とは、相続した居住用や事業用の土地を多額の相続税の支払いによって遺族が泣く泣く手放さなくてはならないような事態を回避するために設けられた制度です。

基本的には事業用宅地で400㎡、居住用宅地で330㎡までの土地に適用され、最大80%の減額が認められています。

ただし、不動産の貸し付けや駐車場については、上限が200㎡、減額率50%までと定められています。

さて、なぜアスファルト舗装すれば小規模宅地等の特例を受けられるのか?

それは、アスファルト舗装が『構造物』と認められるからです。

構造物の設置によって更地は『宅地』へと変身し、小規模宅地等の特例によって固定資産税評価額が50%になります。

評価額5,000万円の土地の場合は2,500万円に圧縮されることになり、当然、相続税も半減することになります。

構造物がない砂利敷きの駐車場では「ただの更地と同じ」と評価されるため、小規模宅地等の特例を受けることができません。

評価額5,000万円の土地は、5,000万円のままです。

ここにマジックのからくりがあったわけですね。

つまり「駐車場経営で相続税を節税」というお話は「小規模宅地等の特例ありきの節税方法」だったわけです。

3 駐車場経営って儲かるの?

駐車場経営が相続税の節税になると言われても、アスファルト舗装には費用がかかります。

業者にもよりますが、一般的にアスファルト舗装の費用は「1㎡あたり5,000円程度」が相場なので、先の例に挙げた200㎡の土地の場合は100万円の費用がかかります。

アスファルト舗装の減価償却期間は10年なので、100万円×120か月=月々約8,000円程度のコストとなります。

評価額5,000万円の土地の場合、都市計画税を含む固定資産税の年額は85万円、月額に割ると約7万円です。

合計すると、月額コストは7.8万円になります。

駐車場は1台あたりのスペースが20㎡は確保する必要があるので、200㎡の場合の駐車可能台数は10台程度が限界でしょう。

もし1スペースの賃料が月額1万円であれば満車で月額10万円、コストを差し引いた差額は2.2万円です。

年額にすると26.4万円の利益になります。

駐車場経営は、アパートのように日ごろからやることが多い業務でもありません。

月々の賃料の回収や駐車場の清掃ぐらいなので、管理会社に業務を委託するほどのことでもありません。

もし委託をすれば、賃料の5%程度が管理費として必要になるので、年額26万円程度の収入に対するとちょっともったいない気がしますね。

もちろん、賃料は自由に設定できるので、オフィス街に近ければ少々値段が上がっても借り手はつくことが多いでしょう。

深夜飲食店に近い場所なら昼夜を別契約にしてもいいし、利用が見込めるのであれば初期投資に少々コストがかかりますがコインパーキングにするのも手です。

初期投資と望む収益を考慮しながら賃料を決めれば、副収入としては良い収入になってくれるでしょう。

4 まとめ

駐車場経営で相続税を節税する方法について紹介しました。

ポイントをおさらいしておきましょう。

・面積200㎡以下の土地の場合、アスファルト舗装など『設備』としての整備をした場合、小規模宅地等の特例が適用される

・小規模宅地等の特例によって、相続時の固定資産税評価額が50%になるため、節税につながる

・設備投資を嫌がって青空駐車場にしても相続税の節税にはつながらない

「駐車場にすれば相続税が節税できる」というカンタンな情報のために、設備投資を嫌がって青空駐車場にしてしまい、結果として全く節税につながらなかったケースも散見されます。

不動産投資としては割と少額で済むので、相続税対策にお悩みの方はしっかりとした情報収集のうえで、ぜひ駐車場経営を検討してはいかがでしょうか?

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