税金が払えない!その時どうする?!
小学校の高学年、または中学校の社会科では「国民の三大義務」というものを習いますね。
教育・勤労・納税が国民の三大義務ですが、このうち納税については、生活状況や経済事情から課せられた義務を果たすことができないケースも珍しくありません。
では、税金を納めることができない場合、どうすれば良いのでしょうか?
今回は、図らずも税金を払えない事態になってしまった時の対処法を紹介していきます。
1 税金の未納、結末はどうなる?
私たちは住み、働き、モノを購入し、財産を持ちながら生きています。
そして、これらの生活行動のほぼ全てには税金が課せられます。
例えばモノを買って消費税を支払うことには特段の問題はないでしょう。
一方、個人事業主であれば確定申告後の所得税、サラリーマンであればマイカーの自動車重量税やマイホームの固定資産税などのように年間の税金をまとめて納める形式の税金では「納付期限までにお金が用意できない!」という事態が生じることもあるでしょう。
もし税金を納められない場合、まずは納付期限後の50日以内に『督促』がおこなわれます。
督促は一般的な督促と同じで「まだ納税されていないので、指定期限までに納税してください」という連絡です。
さらに督促が発せられた日から10日以内に納税されない場合には『財産の差押え』が可能になります。
この場合の差押えは、警察や検察庁などの捜査機関による差押えと異なり、税務署の調査のみで可能になるため、裁判所の令状を要しません。
つまり「意外とカンタンに差押えがおこなわれる」ということです。
差押えと聞くと家財一切を問答無用で取り上げられてしまうようなイメージがありますが、衣類など生活や仕事のために必要な道具、3ヶ月分の食料や燃料など、最低限の生活を営むためのものは差押えの対象にはなりません。
とはいえ、差押えを受ければその後の生活が著しく不自由になるのは必至。
なんとしてでも差押えを受けるような事態だけは避けたいものですね。
2 税金を払えない場合の対処法
税金の納付期限が過ぎ、督促が手元に届くと、誰しも焦ってしまうでしょう。
それでも支払うことができる人は「ちょっと苦しくなるが仕方ない」となるでしょうが、身体を縦に振っても横に振ってもお金が用意できないという状況であれば手の施しようがありませんね。
困っているうちに督促の納付期限も過ぎてしまい、ズルズルと未納状態が続いてしまいます。
このような事態を避けるために絶対に必要なことは、まずは督促が届いた時点で担当庁に相談することです。
国税なら最寄りの税務署、地方税なら都道府県税事務所や市区町村役場の税務担当窓口で「未納分の税金について相談したい」と告げましょう。
例えば確定申告後の所得税が払えない場合は『延納』を勧めてくれることがあります。
延納とは、課税された所得税の半額を期限内に納税し、残りの半分を年度内に分割で納税する制度です。
また、病気や怪我などで事業に従事することができず収入がなかったために納税できないなどの事情がある場合は『猶予』が認められることもあります。
猶予は1年以内を期限として分割で納税する制度ですから、病気や怪我などで止むを得ず納税できない場合にはこちらの利用を考えるほうが妥当でしょう。
所得税の延納のように一時的に半額を納税することができなくても、住民税などの場合は税務担当者に相談すれば「毎月、無理のない金額で納税できませんか?」と打診されることもあります。
猶予と考え方は同じですね。
「毎月5,000円ずつなら…」などの相談にも応じてくれるので、督促を放置せずに担当庁を訪ねることが重要でしょう。
大切なのは「納税の意思はある」という真摯な対応です。
もちろん、十分に納税する資力があるのに延納や猶予を申し出るのはNG。
徴税職員の調査によって資力があるにも関わらず納税していないと、やはり財産の差押えは免れないようです。
3 まとめ
今回は「税金を払えない!」という場合の対処法について紹介しました。
税金の滞納は、最終的には差押えによって大切な財産を差し押さえられることにつながります。
延納や猶予などの制度のほか、税務担当の窓口では意外と柔軟な対応をしてくれることが多いので「困ったらまず相談」という姿勢が重要ですね。
納税できないからといって放置していても国民の義務は解消されないことを心にとめておきましょう。