不動産信託と確定申告:不動産信託に対して確定申告はするべき?
不動産信託とは、土地や建物を対象とした信託のことをいいます。
不動産信託により利益が発生した場合には、所得税の対象となり、翌年の3月上旬までに確定申告を行わなくてはなりません。
今回は、不動産信託がある場合の確定申告の取り扱いについて解説します。
信託とは
信託とは、何かについて具体例を用いて説明しまう。
不動産を保有しているAが、銀行等(B)にその不動産を預けます。
Bは不動産を運用し、収益を上げます。
そして、その収益をAが指定したCに帰属させます。
このような財産管理の手法を、信託といいます。
この例では、Aを委託者、Bを受託者、Cを受益者といいます。
信託でよくあるのは、祖父母が不動産を銀行に信託し、受益者を孫に指定して、孫の教育資金を捻出するというようなものです。
また、委託者と受益者が同一人物の場合もあります。
信託にもいろいろある!
信託にも様々な種類があります。
例えば、
- 金銭を証券会社に預けて、証券会社が株式投資を行い、利益を受益者に分配する株式信託
- 企業が従業員から預かった年金保険料を信託会社に信託する年金信託
などがあります。
不動産信託とは?
不動産信託とは、信託のうち、土地や建物を信託財産とする信託のことを言います。
なお、金銭と不動産等を同時に信託することを包括信託といいますが、この包括信託も不動産信託に含まれます。
税法上の不動産信託に該当する要件としては、次のようなものがあります。
- 委託者と受託者が同一である信託であること
- 信託契約において定められる信託を行う期間に、原則として、信託財産が分割されないこと
- 受託者が信託業務を営む銀行等であること
不動産信託と確定申告の手続きについて
受託者が受益者となる不動産信託により、受託者が上げた収益の分配を受けた場合、不動産所得になります。
そのため、確定申告が必要になります。
具体的には、信託財産による収入から、借入金の利子等の必要経費を控除した金額を不動産所得として申告書に記載します。
不動産信託にはなぜ所得税が課されるのか?
不動産信託にはなぜ所得税が課されるのでしょうか?
税法上で、委託者が信託財産を持っていて、その財産債務の運用を自分でしているものとみなされるためです。
損益通算が可能!
なお、信託による所得は不動産所得になりますが、事業所得、山林所得、不動産所得、譲渡所得については損益通損が可能です。
例えば、信託による不動産所得が黒字で、事業所得が赤字であれば、双方を相殺することで、所得税を節税することができます。