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2019.12.03

どっちがオトク?不動産所得と事業所得

どっちがオトク?不動産所得と事業所得

我が国の税法上では『所得』は10種類に分類されます。

そのなかで、不動産の貸付によって得るものを『不動産所得』といい、製造業や小売業などの事業によって得るものを『事業所得』と呼びます。

ここで、ひとつの疑問が生まれます。

「事業者が不動産を貸し付けて得た収入は事業所得?それとも不動産所得?」

今回は、不動産所得と事業所得を比較しながら、どちらがオトクなのかを探っていきましょう。

1 税制上有利なのは『事業所得』

まず結論からいうと、不動産所得よりも事業所得のほうが税法上は有利な扱いを受けます。

事業者が不動産を貸し付けて得た所得は不動産所得ではなく事業所得として扱われて、大幅な控除の増額が期待できるようになります。

不動産収入を事業所得として申告するには一定の基準があります。

その基準とは「5棟10室」。

戸建の貸家であれば5棟以上、アパートやマンションなどであれば10室以上からが『事業的規模』として扱うことができます。

ただし、この「5棟10室」という基準は社会通念上、実質的に考慮して判断されることになります。

例えば大規模な1室だけであっても認められることがあるし、2階建ての貸家3棟とアパート4室でも実質的には合計で5棟もしくは10室を満たしていることと同等として認められることにもなるのです。

不動産収入を不動産所得で申告する場合と事業所得で申告する場合を比較すると、いかに事業所得が優遇されているのかがよく分かります。

まずは『青色申告特別控除』による65万円の特別控除です。

不動産所得で申告した場合は全くの0円ですが、事業所得で申告した場合は65万円の特別控除が受けられます。

『青色専従者給与』の適用も重要です。

事業的規模になると、生計を一にしている親族に支払った給与の全額を必要経費として計上できるようになります。

勤務実態のある分しか計上できないので、無制限に給与扱いにして計上することはできませんが、実際に親族が従業員として働いている場合は課税額の大幅な圧縮が可能になります。

ただし、青色専従者となった親族には配偶者控除や扶養控除が適用できなくなるので、配偶者であれば38万円、被扶養者であれば38万円から63万円という控除額と給与額のバランスを考慮する必要があるでしょう。

未回収家賃や災害による損失を必要経費に計上できるのも大きなメリットになります。

未回収家賃は賃貸経営における最大の悩み。

不動産所得でも事業所得でも、未回収家賃を当年の収入として計上することに変わりはありませんが、不動産所得の場合は未回収が確定した時点で収入を取り消す必要があります。

一方、事業所得の場合は未回収が確定しても必要経費として計上可能になるため、未回収によって「泣きを見る」という事態を緩和することができます。

さらに、火災や地震などの災害によって受けた損害については、不動産所得の場合でも必要経費として計上できますが上限が「その年の不動産所得の金額」になります。

対して事業所得の場合は、資産損失の全額が計上できるうえに、その年の不動産所得を超える損失を受けた場合には給与所得などほかの所得の黒字からも差し引くことができ、さらにそれでも損失がある場合は以後3年間にわたって損失を繰り越すことが可能です。

控除額や経費計上の幅の増加、さらに万が一のトラブルにも強いのが事業所得としての申告なのです。

2 事業所得として申告する方法は?

不動産収入を不動産所得ではなく事業所得で申告するためには、青色申告をする必要があります。

青色申告をするには、事業を開始した日から2か月以内に必要書類を添えて『青色申告承認申請書』を税務署に提出する必要があります。

事前の申請をしていない場合は白色申告になるので、次年度から青色申告ができるように申請をしておきましょう。

既に青色申告をしている場合は事業的規模になったからといって特別な申請などはありません。

青色専従者給与を利用する場合にのみ『青色専従者給与に関する届出書』の提出が必要になるだけです。

3 まとめ

不動産収入を事業所得で申告するメリットを、不動産所得の場合と比較して紹介しました。

最後におさらいしておきましょう。

・不動産収入を事業所得で申告する場合、不動産所得で申告するよりも多くの控除や経費計上が可能になる

・事業所得として認められるためには「5棟10室」の基準を満たす『事業的規模』となる必要がある

・事業所得で申告するには『青色申告承認申請書』の提出によって青色申告の事業者になる必要がある

・既に青色申告の事業者である場合は、特別な申請の必要はない

これまで不動産収入を不動産所得で申告していた方は、事業所得で申告することによってどれくらいの節税につながるのかをシミュレーションしてみるのも良いでしょう。

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