News

  • TOP
  • ニュース
  • 赤字として認められない?土地の負債利子とは?
2019.11.28

赤字として認められない?土地の負債利子とは?

赤字として認められない?土地の負債利子とは?

不動産所得を計算する場合、家賃などの収入から必要経費を差し引いて算出することはご存知でしょう。

そして、必要経費の中には『借入利子』が含まれることは、少しでも不動産投資を勉強している人であれば理解していることでしょう。

ところが、借入利子の算入については「土地の借入利子」が必要経費に含まれないことがあるという落とし穴についてはご存知でない人もいるのではないでしょうか?

今回は「土地の負債利子」について紹介しましょう。

1 損益通算ができない?土地の負債利子

不動産所得は、所得が赤字になった場合に他の黒字と相殺することが可能です。

これを『損益通算』といい、損益通算が可能な所得は

・不動産

・事業

・山林

・譲渡所得

の4種類に限定されています。

考え方をごくカンタンに例示すると、家賃収入が年間で300万円のアパートを所有していて、アパートの管理や修繕費で年間400万円の必要経費がかかった場合、赤字となった100万円分を給与所得などから相殺して所得税の還付を受けることができます。

ここで問題となるのは「アパートの経営にかかった必要経費」という部分です。

不動産の必要経費とは、管理費や修繕費などのほかにも『借入利子』が含まれます。

不動産物件はほかの商品と比較すると圧倒的に高額になるため、購入のためには金融機関から資金を借り入れることになります。

借入には当然『利子』が乗せられることになりますが、元本返済分を除く利子は必要経費に計上できるのです。

ところが、平成3年の税制改正によって部分的に「不動産所得の赤字金額のうち、土地の利子はこれに含まない」とする変更が実施されました。

それまでは、損益通算を利用して「借入金によって貸付物件を購入し、これを貸し付けて不動産所得の赤字を発生させて給与所得や事業所得と相殺させる」という手法が横行してしまっていたため、不公平感を解消するための措置として実施されました。

2 土地の負債利子がある場合の損益通算

それでは、実際に土地の負債利子が発生している場合の損益通算についてみてみましょう。

分かりやすく説明するために事例を挙げます。

土地が3,000万円万円、建物が2,000万円の物件を、合計5,000万円の借入で購入したとします。

この場合の総支払利子は150万円としましょう。

まず利子のうち土地に充てられる部分を算出します。

土地3,000万円:建物2,000万円=利子150万円ですから、利子の内訳は土地90万円:建物60万円となりますね。

先に「部分的に」と説明したとおり、ここからは条件によって二分します。

まず「土地の負債利子<不動産所得の赤字」の場合です。

土地の負債利子よりも不動産所得の赤字のほうが大きい場合は、土地の負債利子は赤字として算入できません。

事例のケースで、不動産所得が合計100万円の赤字となってしまった場合は「不動産所得の赤字100万円-土地の負債利子90万円=10万円」が損益通算可能な赤字金額になります。

では「土地の負債利子>不動産所得の赤字」の場合はどうでしょうか?

この場合は「超過部分が赤字として算入可能」となります。

ちょっと難しいのでもう一度先ほどのケースに登場してもらいましょう。

不動産所得の赤字が50万円だった場合は「不動産所得の赤字50万円-土地の負債利子90万円=-40万円」になります。

この「-40万円」の部分だけが損益通算可能になります。

間違えやすいのは「不動産所得の赤字50万円」が損益通算されるのではなく「超過した土地の負債利子部分40万円」が損益通算されるという点です。

3 まとめ

土地の負債利子について紹介しました。

ポイントは

・不動産取得を目的とする借入のうち、土地部分に対する借入の利子を『土地の負債利子』と呼ぶ

・土地の負債利子<不動産所得の赤字の場合、土地の負債利子は赤字に算入できない

・土地の負債利子>不動産所得の赤字の場合、赤字を超過した土地の負債利子のみが損益通算できる

という点です。

不動産の損益通算は、表面的にだけ勉強していると間違えやすいポイントなのです。

不動産購入のために金融機関と相談している間に、土地の負債利子もしっかりとシミュレーションすることが不動産投資を成功させるカギとなるでしょう。

トップへ戻る
クリックでナビゲーションを閉じます。