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2020.01.17

個人事業主が法人と業務委託契約を結ぶ際の注意点

個人事業主が法人と業務委託契約を結ぶ際の注意点

みなさんは『業務委託契約』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ざっくりと「仕事を外部に任せることなのだろう」くらいのイメージは描くことができるだろうし、概ねそのイメージで間違ってはいません。

しかし、実際に詳しく業務委託契約のことをヒモ解いてみると、そうはカンタンに考えることができないものなのです。

今回は、個人事業主が法人と業務委託契約を結ぶ際の注意点について紹介しましょう。

1 業務委託契約ってなに?

まず業務委託契約についてカンタンに触れておきましょう。

正式には『業務委託契約』という用語はありません。

正しくは『委任契約』または『請負契約』のいずれかです。

委任契約とは「ある業務の遂行を約束する契約」です。

業務を遂行さえすれば結果の如何は問われませんが、委任契約は「人と人の信任関係」によるものなので、受任者は依頼者の承諾なしに業務を下請けや外注することはできません。

もう一方の請負契約は「業務遂行の結果、完成させる約束をする契約」です。

業務遂行の経過などは問われず、ただ結果を求められることになります。

請負契約では『瑕疵担保責任』という請け負った業務の結果に責任を負うことになり、不適切な部分の修繕補修や損害賠償が発生することもあります。

結果のみを問われることになるので、依頼者の承諾なしで下請けや外注することが可能です。

両者を比較すると、委任契約は「結果を問われない分、業務遂行という行為にシビア」であり、請負契約は「どのように業務を遂行しても構わないが求めた結果に対してシビア」であるといえます。

2 個人事業主が注意すべき『偽装請負』とは?

業務委託契約が抱える問題点として代表的なものが『偽装請負』です。

会社が業務委託をするメリットは、何といっても業務を行っているのが自社の従業員ではない個人事業主になるため労働基準法の制約を受けることがなくなり、社会保険料などの負担もなくなることです。

そこで、以前は自社の従業員であったのに業務委託契約に切り替えて社会保険料など会社の負担を軽減したうえで、実質的には従業員のように指示に従わざるを得ない状態で業務遂行にあたらせることを『偽装請負』と言います。

偽装請負は労働者派遣法および職業安定法の違反にあたる違法行為です。

個人事業主は、目の前に提示された業務委託契約が偽装請負にあたらないかをよく吟味する必要があります。

実際に問題になってきた偽装請負の多くは、単に依頼者の利益を目的としたものばかりで、多くの個人事業主が不利を被ってきました。

個人事業主が法人と業務委託契約を結ぶ際に注意すべきポイントは、この偽装請負に陥らないようにすることです。

そのために注意したいのが『契約書』です。

委任契約と請負契約には、いずれにもデフォルト、つまり基本ルールがあります。

例えば、委任契約は途中経過の報告を求められた場合には報告する義務がありますが、請負契約は結果のみを求められるので途中経過の報告義務がありません。

請負契約であるのに、契約書の条文中に「途中経過の報告を求める」という主旨の内容があれば、シビアに結果の責任を負いながらも社員のように管理を受けることになります。

いくら契約上は別個の個人事業主という体裁であっても、社員のように残業を課せられたり、勤務管理を受けたりしていれば、偽装請負だと判断されてしまいます。

時間のほかにも、勤務地が拘束されている、報酬が月給や時間給になっている、勤務時間や残業の有無が報酬に影響を及ぼしている、制服や器具類などを依頼側が負担しているなどの状態は偽装請負だと判断される要因になります。

受任した個人事業主が、いかに独立して業務遂行にあたっているのかが偽装請負とならないための大きなポイントとなります。

契約書に記載された内容が、独立した業務遂行とはいえないものになっていないかをしっかりとチェックしましょう。

3 まとめ

個人事業主が気をつけたい、法人と業務委託契約を結ぶ際の注意点を紹介しました。

偽装請負に陥ってしまわないために重要なのは「個人事業主が独立して業務遂行にあたっているか?」という点が厳密に履行されていることです。

相手の法人から、労働基準法の制約から解放されたうえで社会保険料などの負担がない、ていの良い社員のような扱いを受けないように、契約書の内容や実質的な業務の状況のチェックを欠かさないようにしましょう。

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