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2020.01.13

個人事業主が廃業する際の手引き

個人事業主が廃業する際の手引き

個人事業には波があります。

荒波に揉まれてしまい耐える力が無くなってしまえば廃業することは賢明な判断である場合も少なくありません。

反対に、波に乗って順調な時には、現在の個人事業を清算して法人の設立に向かうこともあるでしょう。

いずれにしても、好調、不調に関わらず個人事業主の廃業は流れの中で直面する機会がある出来事です。

今回は、個人事業主が廃業する際に必要な手続きや提出書類などについて紹介していきましょう。

1 税務署と都道府県税事務所への届出が必要

個人事業主は、所得税、個人事業税、消費税などの税金を納税します。

よって、個人事業主が廃業する際には、これらが課税されないように税務を司る管轄の税務署と都道府県税事務所に廃業の届出をする必要が生じます。

では、届出の際にはどのような書類が必要になるのでしょうか?

個人事業主が廃業する際の提出書類は

・個人事業主の開業・廃業等届出書

・給与支払事務所の開設・移転・廃止届出書

・青色申告の取りやめ届出書

・事業廃止届出書

の4点です。

まず『個人事業主の開業・廃業等届出書』は、所轄の税務署と都道府県税事務所の両方に提出する必要があります。

これは、国税である所得税と、地方税である個人事業税の両方の賦課を停止するためです。

税務署への提出分は『個人事業主の開業・廃業等届出書』という名称の様式ですが、都道府県税事務所への提出分はそれぞれの自治体で名称が異なります。

『事業開始(廃止)等申請書』や『事業開始・変更・廃止申告書』など、名称が異なりますが目的は同一の様式なので、都道府県税事務所を直接訪ねるか、各ホームページでチェックするのが良いでしょう。

提出期限は廃業の日から起算して税務署へは1ヶ月以内、都道府県税事務所へは各自治体により異なりますが概ね10日から15日以内となっています。

都道府県税事務所への提出期限がかなり短いので、遅延しないように注意しましょう。

そのほかの『給与支払事務所の開設・移転・廃止届出書』『青色申告の取りやめ届出書』『事業廃止届出書』の3点は、全て管轄の税務署のみに提出する書類です。

まず『給与支払事務所の開設・移転・廃止届出書』は、従業員に対する給与支払いが発生している場合のみ提出する書類です。

所得税の源泉徴収に関する書類なので、自分1人で事業をしていて給与支払いが発生していない場合は提出する必要がありません。

こちらの提出期限は廃業の日から1ヶ月以内です。

次に『青色申告の取りやめ届出書』です。

その名のとおり確定申告で青色申告をしていた場合に提出する書類なので、白色申告をしていた個人事業主は提出不要です。

提出期限は確定申告をやめようとする年の翌年3月15日までです。

つまり、事業を続けていれば確定申告をするはずの期限と同じです。

最後の『事業廃止届出書』とは、消費税の課税事業者であった場合に提出する書類です。

例えば小売業の場合、商品を販売して購入者から消費税を預かることになりますが、消費税課税事業者の場合は毎年3月末日までに預かった消費税を税務署に申告、納付することになります。

事業を廃止するわけですから、今後、消費税の納税も提出することを申告する必要があります。

提出期限は廃業の年の翌年3月31日までです。

2 『法人成り』の場合は提出不要な書類もある

個人事業を廃業して法人へと転換することを『法人成り』といいます。

法人成りの場合、個人所有の事務所などを法人に貸すことで家賃収入が発生することになります。

元々の個人事業は法人に転換しても、新たに不動産所得が生じるため、個人事業を廃業する必要がなくなります。

よって、都道府県税事務所への廃業届出書、税務署への青色申告取りやめ届出書や消費税の事業廃止届出書の提出は必要ありません。

ただし、給与支払事務所は新たな法人となるため、給与支払事務所の廃止届出書の提出は省略できません。

3 まとめ

個人事業主が廃業する際の手続きや必要書類について紹介しました。

単純に廃業する場合は各種書類の提出が必要になりますが、法人成りのために個人事業を廃業する場合は提出不要となる書類もあります。

また、提出先や書類の目的によって提出期限が異なり、特に地方税を司る都道府県税事務所への提出期限は廃業から10日~15日となっているので、要注意です。

廃業は個人事業主であっても何度も経験することではないので、不慣れな手続きになることに間違いありません。

不明な点があれば遠慮なく税務署や都道府県税事務所を訪ねて質問すると良いでしょう。

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