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2020.02.16

確定申告における派遣社員を利用した経費の取扱い

確定申告における派遣社員を利用した経費の取扱い

労働力の雇用形態がひと昔前とは大きく様変わりしている昨今では、オフィスや工場内で働いている従業員の大半が派遣会社からの派遣社員でまかなわれているケースも珍しくありません。

人材確保、経費削減などの観点から、派遣社員というシステムを利用するのも事業主が自活するための有効な手段だといえます。

ここで経理担当職員の頭を悩ませるのが「派遣社員を利用した際の経費はどのように取扱うべきなのか?」という問題です。

今回は、確定申告において、派遣社員を利用した際の経費をどのように取扱うのかについて考えていきましょう。

1 なぜ確定申告で派遣社員の経費が問題となるのか?

実際に経理事務に携わったことがある方なら理解できる話かもしれませんが、これまでに派遣社員を導入していなかったり、経理事務に関心がない方には「何が問題なの?」と感じるかもしれませんね。

事業主は、年間の売上げなどによる収入から必要経費を差し引いて『事業所得』を算出します。

算出された事業所得に応じて所得税が課税されるわけですが、事業主としては、できる限り必要経費として計上できるものを増やして所得を少なくすることで節税につなげたいという思惑があって当然です。

通常、自社の従業員に給料を支払った場合は『給料手当』や『賞与』として必要経費に計上することになります。

ところが、派遣社員の給料は、派遣先の会社が支払うのではなく、派遣元である派遣会社が支払うことになります。

もちろん派遣会社が派遣社員に給与を支払う場合の勘定科目も『給料手当』になるので、もし派遣先の会社が派遣社員に関する支出を給料手当で計上した場合、1人の労働者に対する支出を2つの会社が計上する事態になってしまいます。

つまり、派遣社員が派遣されて実際に働くことになる派遣先の会社は、派遣社員に関する支出を『給料手当』などでは計上できない、という問題があるのです。

2 派遣社員を利用した経費の勘定科目は?

派遣社員への給料は派遣先にとっては給料手当で仕訳ることができないとすれば、派遣社員を利用した経費はどの勘定科目で仕訳ればよいのでしょうか?

よく「外部に支払う経費なので外注費になるのでは?」という意見もありますが、基本的に外注費は自社の社内事務をおこなう従業員は対象となりません。

かといって、外注費や外注人件費などの科目で処理をしても大した問題は生じません。

また、事務処理などに派遣社員を利用する場合は間接費として支払手数料に仕訳るという意見もあり、これも一つの方法だといえます。

「これ!」という勘定科目が決まっているわけではないと考えれば、人件費としてきちんと仕訳けができていれば問題はない、と考えても差し支えはないでしょう。

最もわかりやすいのは『人材派遣費』など人材派遣にかかる経費のみを新たに勘定科目として設定する方法です。

こうすれば、ほかの外注費などと明確に仕訳けて人材派遣にかかった経費を明らかにすることができます。

人材派遣費は消費税法上では課税対象となるので、非課税となる給与手当と比較すると節税にもつながります。

例えば同じ100万円の費用がかかる人材であっても、自社の社員として給与を支払えば消費税は非課税ですが、派遣会社を通じて派遣社員を雇用する場合、派遣会社に支払う人材派遣費は消費税の課税対象となり、消費税分は確定申告で控除されるため節税につながるわけです。

ただし、いくら勘定科目を仕訳けたとしても、派遣社員に対して自社から直接報酬を支払う場合は実質的に給与と同じなので、課税対象となる人材派遣費として仕訳ることはできないので注意が必要です。

3 まとめ

今回は派遣社員を雇用する事業主や経理担当者が知っておくべき、派遣社員の雇用に関する費用の計上方法について紹介しました。

重要なポイントは

・派遣会社を通じて派遣社員を雇用する場合、派遣会社に支払った支出は『給料手当』などではなく『人材派遣費』などで明確に仕訳る

・派遣社員に直接報酬を支払うなど、実質的に給与として支払いをしている場合は人材派遣費ではなく給料手当で仕訳ることになる

・確定申告で事業所得を求める際、消費税法上の扱いは、給料手当は非課税だが人材派遣費は課税対象となるため、人材派遣費として計上することは節税につながる

という点です。

スポット的な補充要員として、経費削減としてなど、目的に応じて派遣社員を活用する機会は多々あります。

派遣社員の導入にかかる費用を人材派遣費として仕訳ることが節税につながることは「誤って給料手当で仕訳ることはムダに税金を払うことになる」と同意義だと言えますね。

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