資本的支出と修繕費で迷った方。判定方法を解説します!
不動産運営で、必ず発生するのが修繕です。
リフォーム工事や付帯設備が故障した際の交換の費用が修繕費になるのか?それとも資本的支出となるのか?
それは、税務的にも非常に問題になりやすい費用です。
なぜなら他の経費と比べ、多額となる傾向が高く、大家さんの納税額に大きな影響を与えることが多いからです。
修繕費と基本的支出について
修繕の費用は税務上では、その内容により、 修繕費か資本的支出に別れます。
【修繕費】
リフォーム工事を行った結果、建物の使用可能年数の延長をもたらす場合や、結果的に「資産価値が上昇するとされるような工事」に分類される費用のことです。
例:
- ・建物の移えい又は解体移築をした場合における、その移えい又は移築に要した費用の額 (移えい又は解体移築を予定して取得した建物の場合を除く )
- ・機械装置の移設に要した費用(解体費を含む)の額。 (集中生産などを行うための機械装置の移設に要した費用の額を除く。)
- ・地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額
- ・建物、機械装置などが地盤沈下により海水などの浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額
- ・現に使用している土地の水はけを良くするためなどに行う砂利、砕石等の施設に要した費用の額、及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
- ・修繕費となった場合→必要経費 。その工事やリフォームが完成した年に一括で経費にすることができます。
【資本的支出】
「付帯設備の新設費用」・「空室率を高めるためのデザインの変更にかかる費用」、「近年の入居者のニーズの変化にともなう施設・デザインの向上」といったような、当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する費用のことです。
例:
- ・建物の避難階段の取付け等物理的に付加した部分に係る費用の額
- ・用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
- ・機械の部分品を、特に品質又は性能の高いのもに取替えた場合、その取替えに要した費用の額のうち
- ・通常の取替えのにかかると認められる費用の額を超える部分の金額
- ・資本的支出となった場合→資産に計上→その資産の耐用年数に渡り減価償却費として経費化
修繕費と資本的支出との違いは、一括で経費にできるか、複数年に渡って経費にできるかという点です。
修繕費と資本的支出の判定目安
修繕費か、資本的支出か、この判断がとても難しくなっています。
・ 国税庁が告示する修繕費
「修繕費になるかどうかの判定は修繕費、改良費などの名目によって判断するのではなくその実質によって判定する」と、実質がどうという定義はなく、あいまいです。
次のフローチャートを使って判断するとよいでしょう。
修繕費と資本的支出を分ける基準
修繕費 | ←はい | 掛かった費用が20万円未満か? | 資本的支出 | |
↓ | ||||
←はい | 修繕する周期が3年以内か? | |||
↓ | ||||
明らかに価値を高めるもの又は耐久性を増すものか? | はい→ | |||
↓ | ||||
←はい | 通常の維持管理、原状回復のためのものか? | |||
↓ | ||||
←はい | 掛かった費用が60万円未満か? | |||
↓ | ||||
←はい | 前期末取得価額の10%以下か? | |||
↓ | ||||
←Aの金額 | 継続して7:3基準により経理しているか? | Bの金額→ | ||
↓ | ||||
← | 実質判定 | → | ||
A・・・支出金額?30%と前期末取得価額?10%との少ない金額 B・・・支出金額-A |
金額的な基準もあるので、修繕費にするポイントは、
工事の明細をできるだけ詳細に記載してもらうことです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
修繕費と資本的支出の判断はあいまいですが、上のフローチャートに沿って判断すれば少しは分かりやすくなるでしょう!
最後まで読んで頂きありがとうございました。