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2019.12.04

教えて!引っ越しの際の不動産登記の変更

教えて!引っ越しの際の不動産登記の変更

不動産の登記簿、正しくは『登記事項証明書』には、不動産の所有者の住所や氏名が記載されていることはご存知でしょう。

ところで、不動産の所有者が仕事の都合などで引っ越しをした場合、登記簿の住所も変更する必要があることはご存じでしたか?

登記簿の住所変更をしていないと後々で様々なデメリットが生じることになります。

今回は「引っ越しの際の不動産登記の変更」と題して、手続きの必要性や方法を紹介します。

1 なぜ必要?登記簿の住所変更

不動産の所有者が引っ越しをして住所が変わった場合、登記簿に記載されている住所も変更する必要があります。

これを『登記名義人表示変更登記』といい、自分で手続きをする場合は登録免許税1,000円と登記事項証明書発行手数料600円だけで手続きができます。

特に難しい手続きではありませんが、運転免許証のように実生活に直結して困ることはないので、つい放置してしまう人も多いのが実状です。

登記簿の住所変更を忘れていても、特に罰則はありません。

それゆえに、登記簿の住所変更が必要という認識さえ浸透していないのです。

罰則もないのであれば、登記簿の住所変更をする必要はあるのでしょうか?

登記簿の住所変更をしていないと困るのは「不動産を売却する時」です。

不動産の売却には売主の印鑑証明書が必要です。

ところが、引っ越しの際に登記簿の住所変更をしていない場合、登記簿上の住所と印鑑証明書の住所が全く異なるため、法務局で売買による所有権移転の手続きができないのです。

もし住所変更をしていない場合、所有権移転手続きの前に住所を変更する必要がありますが、住所変更には登記簿上の住所地から現在までの住所地までの変遷が明らかになる住民票または戸籍の附表が必要になります。

さらに、もし別の市町村をまたいで引っ越しを繰り返していると、以前の住民票が取得できないことがあります。

以前の市町村に住民票を請求しても「もう取れません」で返されてしまうと…

売主が住所変更手続きを怠ったために所有権移転がスムーズに進まないと、最悪の場合は取引がとん挫してしまうかも知れません。

「どうせいつかは必要になるのであれば、できるだけ手間のかからないうちにやっておく」と思って、引っ越し時には登記簿の住所変更をしておきましょう。

2 「もう住民票は取れません」でもお手上げにならない裏ワザ!

登記簿の住所変更をしていなかった、そもそも住所変更が必要であることを知らなかったなどの場合、後々になって住所変更をしようと過去の住民票をかき集めても「もう住民票は取れません」と言われてしまうことがあります。

こうなるとお手上げ…ではありません。

ちゃんと住所変更をする方法があるのです。

まずはできる限りの住民票と戸籍の附表を取得しましょう。

そのうえで、登記簿上の住所地の市町村で『不在住証明書』と『不在籍証明書』を取得し、法務局に提出するのです。

いずれも「この人はすでにこの場所にはいません」という証明書ですが、一方では「以前はいました」と証明する力を持っています。

このような証明書類を『消極証明書』と呼びます。

消極証明書が用意できたら、反対の『積極証明書』です。

積極証明書としては

・所有権の権利済証(一般的にいう『権利証』)または登記識別情報通知が挙げられますが、これも過去のもので既に手元にないという場合があります。

権利証などを紛失し手元にない場合は

・「申請人と登記簿の所有者は同一人です」という内容の上申書

・印鑑証明書

が必要になります。

各法務局によって運用が異なるため「権利証と上申書の両方が必要」という場合もあります。

事前に管轄の地方法務局に問い合わせて確認すると手続きがスムーズでしょう。

3 まとめ

登記簿の住所変更手続きについて紹介しました。

今回のおさらいです。

・登記簿の住所変更をしていなくても罰則はないが、売却の際にスムーズに手続きができなくなるため、名義人の住所が変わった際にはできるだけ速やかに住所変更の手続きをする必要がある

・別々の市町村をまたいで引っ越しを繰り返していると、以前の住民票や戸籍の附表などの必要書類が取得できなくなるおそれがある

・不在住証明書や不在籍証明書などの消極証明書による証明も可能

登記簿の住所変更が必要であることを知らない方が多いという前提でお話をしましたが「住所変更の事実が生じた際には速やかに変更手続きをするのがベスト」ということには間違いありません。

既にみなさんは「住所変更の手続きが必要で、その都度しておかないと後が面倒だ」ということを知っているわけですから、お引越しの際は登記簿の住所変更もお忘れなく。

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