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2020.01.22

不動産売却時に知っておきたい消費税の話

不動産売却時に知っておきたい消費税の話

現在のわが国の税制では「買い物をすると消費税を同時に支払う」というのが当然です。

そして、購入者が販売者に支払った消費税は、一定の条件で「預かった消費税分」として国に納税されます。

では、所有している不動産を売却した場合、消費税はどうなるのでしょう。

やはり購入者が支払った消費税を国に納税する義務が発生するのでしょうか?

今回は「不動産売却時に知っておきたい消費税の話」と題して、不動産売却にまつわる消費税の知識を紹介していきましょう。

1 土地は非課税・建物は課税対象

まずは不動産取引における大前提を知っておきましょう。

「買い物をすると消費税を同時に支払う」という基本がありますが、不動産取引においては

・土地は消費税が課税されない

・建物は消費税が課税される

というルールがあります。

税法では、消費税は「事業として対価を得て行う資産の譲渡」が課税対象とされています。

難しい言い回しですが、つまりは「お店がお客さまに商品を販売して代金を受け取る」というイメージで間違いありません。

ところが、土地は使っても目減りすることもないし、法学的に土地の取引は所有者がAさんからBさんに変わっても資産の譲渡ではなく『資産の移転』と考えることになっているので、消費税が課税されないのです。

一方、建物は使用や経年によって劣化する『モノ』ですから、消費税が課税されます。

もうひとつ、税法上の「事業として対価を得て行う資産の譲渡」と聞いて気がつくことはありませんか?

「事業として」と定義されていますよね。

不動産取引の場合、ほとんどが不動産業者や住宅メーカーなどから購入すると思いますが、この場合は建物の代金に消費税を加算して支払いをすることになります。

では、事業者ではない個人が住宅を売却した場合はどうなるのでしょうか?

個人が不動産を売却しても事業には該当しないため、消費税は課税されません。

個人が買主から消費税分の金額を預かって納入する必要はないし、個人の売主から購入する場合は消費税分の支払いもなくなります。

つまり、不動産を購入する場合は事業者からではなく個人から購入すれば消費税分の金額を節約できる、と考えることもできますね。

もちろんですが、不動産業者が不動産を売却する際には建物の価格に消費税が課税され、課税事業者である不動産業者は買主から預かった消費税を納税することになります。

2 代金以外で消費税がかかるもの

不動産自体の代金ではなく、手続きに関して発生する消費税があります。

不動産売却時に消費税が課税されるのは

・仲介手数料

・司法書士への報酬

・融資に関する手続き料金

の3種類です。

まずは仲介手数料。

仲介手数料は法律で上限が定められており、一般的には「(売却価格×3%)+6万円」が相場です。

不動産業者は仲介というサービスを提供するのも重要な業務であり、これは対価が発生する役務なので消費税が課税されます。

司法書士への報酬も同様です。

不動産を売却すると、不動産の所有権移転や抵当権抹消などの手続きを取ることになりますが、一般的には司法書士に依頼するでしょう。

司法書士の業務も手続き代行という役務の提供であり、これによって司法書士が生計を立てるわけですから、消費税が課税されます。

抵当権抹消の手続きはもともとの名義人、つまり売主の問題なので、司法書士に報酬を支払うのは売主になります。

一方、所有権移転の手続きに関する報酬は、全国的に「新たに名義人となる買主が負担する」のが慣例となっています。

売主が負担すれば不透明なまま購入代金に上乗せされてしまう心配をしなければならないので、当然といえば当然ですね。

最後に融資に関する手続き料金です。

不動産を購入する際に金融機関からの融資を受けており、この不動産を売却して融資金を返済すると『一括繰上げ返済』をすることになります。

この一括繰上げ返済には各金融機関ごとに手数料が設定されており、これも役務の提供として消費税が課税されることになります。

3 まとめ

不動産を売却すると、単に売買代金の行き来だけでなく、所有権移転に伴う事務手続きが必要です。

そして、各手続きに関して司法書士、金融機関が提供するサービスにはそれぞれ消費税が課税されることになります。

今回のポイントは

・不動産売買における消費税は、土地は非課税、建物は個人が売却する際は非課税、事業者が販売する際は課税対象となる

・不動産業者に支払う仲介手数料には消費税が課税される

・所有権移転手続きを司法書士に依頼した場合、司法書士に支払う報酬には消費税が課税されるが、これは慣例的に買主が負担するものである

・売主は司法書士に抵当権抹消手続きを依頼することになり、報酬には消費税が課税される

・住宅ローンなど金融機関からの融資を一括繰上げ返済する場合の手数料には消費税が課税される

不動産売却で少しでも多くのキャッシュを手元に残すには、消費税が課税されるケースを把握しておくことも大切です。

特に不動産取引において大きなウェイトを占める仲介手数料は消費税額も大きくなるので、不動産業者の選定は慎重になるべきだと言えますね。

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