扶養控除と児童手当、違いはなに?
あまり家計に興味を持っていなかったり、意味も分からないまま他人まかせに年末調整や確定申告をしていると違いが良く分からずに混同してしまいがちなのが『扶養控除』と『児童手当』ではないでしょうか?
今回は、扶養控除と児童手当について、それぞれの違いを紹介していきましょう。
1 扶養親族の人数に応じて税金が低くなるのが『扶養控除』
扶養控除は所得控除のひとつです。
こう言って「なんのこっちゃ?」という人のために、やさしく説明していきましょう。
我が国では、より多くの儲けを得た分だけ多くの所得税を納めることになります。
一方、儲けが少なかった人は、少ない所得税を納めるだけで済みます。
儲けとは、売上や給料などの『収入』から、仕入れ代や材料費、交通費、設備費などの『必要経費』を差し引いたもので、この儲けのことを『所得』と呼びます。
つまり、所得控除とは「儲けた額から差し引くことで、儲けが少なかったものとして税金を計算してもいいですよ」というものなのです。
さて、扶養控除とはどのようなものでしょうか?
扶養控除とは、扶養している親族の人数に応じて控除額が増える制度です。
「たくさんの家族を養っている人は、税金を軽くしましょう」ということですね。
事業者の『確定申告』やサラリーマンの『年末調整』で申告して、所得税を軽減することができます。
扶養控除の対象となるのは「生計を一にしている親族」で「年間の合計所得が38万円以下」の「16歳以上の人」です。
生計を一にしているとは、必ずしも同居をしていることを要せず、仕事や学校の都合などで別々に分かれて生活していても、生活費や学費などを仕送りすることで捻出している場合は生計を一にしていると判断されることになります。
年間の合計所得が38万円以下の場合は対象者となりますが、給与収入の場合は給与収入が103万円以下が対象となります。
こう説明すると「38万円だとか、103万円だとか、金額が混同するじゃないか!」と思うかもしれませんが、サラリーマンには最低65万円の給与所得控除があるので、38万円+65万円=103万円です。
ちゃんと103万円にも意味があるのですね。
対象者は16歳以上となり38万円、19歳以上23未満は特定扶養親族として63万円の控除が受けられます。
特定扶養親族の控除額が大きいのは、ちょうど大学や専門学校に進学する年齢のための救済的な目的が込められています。
2 扶養控除されない子どもが対象となる『児童手当』
児童手当は「0歳以上、中学卒業まで」の児童を対象に支給されます。
平成24年までは『子ども手当』という名称でしたが、現在はさらに以前から使用されていた『児童手当』という名称に戻されました。
給付額は0歳から3歳未満で1万5,000円、3歳から小学校修了前で1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生で1万円です。
子ども手当の頃は所得制限がありませんでしたが、現在は年収に応じて給付額に制限が設けられています。
自治体によって制限に差がありますが、概ね扶養親族1人で800万円から900万の間で子ども1人あたりの給付額が5,000円に制限されています。
子ども手当が制定された頃、同時に廃止されたものがあります。
それが「子どもの扶養控除」です。
以前は0歳から15歳以下の扶養控除が所得税38万円、住民税33万円でしたが、子ども手当の開始に伴う財源確保のために控除されなくなりました。
また16歳以上18歳以下の扶養控除も所得税と住民税を合計すると37万円の控除が減額されました。
つまり児童手当は「以前は扶養親族として控除されていた子どもに対して、控除を廃止する代わりに手当を支給するもの」
だと考えれば概ね間違いないでしょう。
3 まとめ
扶養控除と児童手当の違いを紹介しました。
最後におさらいです。
・『扶養控除』は16歳以上が対象の税金控除、『児童手当(旧こども手当)』は0歳から中学校卒業までが対象の給付金である
・「生まれてから中学校卒業までは児童手当、高校生から大学卒業まで(浪人、留年なし)は扶養控除」と考えることができるので、制度を連結しながら子育てを一貫して支えている
扶養控除や児童手当は、政治情勢によって手が加えられやすい位置にある制度です。
今後も、国の予算の関係、税法の改正、国内全体の子どもの人口などによって変更が生じる可能性があるので、まだまだ子育てが長く続く世代の方は特に注目しておくべきでしょう。