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2020.01.26

自家発電設備の減価償却は活用方法にとって異なる

自家発電設備の減価償却は活用方法にとって異なる

自家発電システムの導入を検討する際には「なぜ自家発電が必要なのか?」ということを議論することになるでしょう。

全量を売却する投資物件として、店舗の電力として、様々な理由があるはずです。

ところで、この活用方法に関する「様々な理由」によって、自家発電設備にかかる減価償却の方法が異なることはご存知だったでしょうか?

減価償却のための耐用年数が異なると、利回りに大きく影響します。

もちろん、年度ごとの収支にも大きく影響するので、自家発電設備の減価償却については導入前にしっかりと理解をしておく必要があります。

今回は活用方法によって異なってくる自家発電設備の減価償却について紹介していきましょう。

1 自宅で発電して電力会社に売却する場合

自家発電システムといえば最もポピュラーなのが太陽光発電、次いで風力発電といったところですね。

給与所得を得ているサラリーマンが、自宅の屋根に太陽光発電システムを設置したり、投資物件として土地付きの分譲型自家発電システムを購入するケースが増えています。

このように「給与所得を得ているが、自家発電システムで生産した電力の売却益を得ることを目的とする」というケースの場合、自家発電設備は税法上は『機械装置』に分類されます。

減価償却計算の基礎となる耐用年数を見てみると、機械装置のうち

『前掲の機会及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの』

『その他の設備』

『主として金属製のもの』

に該当することになり、法定耐用年数は17年です。

つまり、向こう17年間は自家発電設備の設置にかかった費用を分割して費用計上することが可能となり、年間の必要経費が上乗せされることで節税に大きく貢献することになります。

2 自家発電した電力で別の事業に用いる電力をまかなう場合

今回のポイントはここからです。

先ほどの「自宅の自家発電設備」は電力を作り出す設備として17年間の耐用年数が与えられていました。

では、例えば工場の屋根の上に自家発電設備を設置し、その電力で別の製品を製造している場合はどうでしょうか?

この場合、自家発電設備は「電力を作るための機械装置」ではなく「その電力によって作り出される製品を作るための機械装置」とみなされます。

国税庁が具体的に例示しているもので「自家発電した電力で自動車を製造している場合」が分かりやすいでしょう。

この例示の場合、自家発電設備は「電力を作るための機械装置」ではなく「自動車を製造するための機械装置」であると判断されています。

判断のポイントは「最終製品が何なのか?」という点になるでしょう。

つまり、この場合の自家発電設備は電力が最終製品ではなく、その電力によって製造された自動車が最終製品である、ということなのです。

そのため、耐用年数の分類は

『輸送用機械器具製造業用』

となり、法定耐用年数は9年になります。

ただし、例示のように自動車製造業の工場に自家発電設備を導入したとしても、生産された電力を事業には使用せず全量売却した場合は、前述のサラリーマンが自宅に設置した場合と同じく耐用年数は17年になります。

3 まとめ

今回は自家発電設備の減価償却について、電力の活用方法によって減価償却計算の基礎となる耐用年数が異なることを紹介しました。

自宅に太陽光発電システムを導入する場合などは「基本的な耐用年数は17年」と認識しておいても間違いはありません。

気に留めておく必要があるのは「自家発電した電力を別の事業に用いたために最終製品が異なった場合」です。

国税庁の例示では自動車製造業が挙げられていましたが、ほかのケースでも自家発電設備が単なる電力を製造する機械装置ではないと判断される場合があります。

申告間違いなどのトラブルを防ぐためにも、自家発電設備の導入前に専門的な知識を持つ税理士に相談しておくことが賢明でしょう。

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