News

  • TOP
  • ニュース
  • 所有している物件が事故物件になったケースの対処法
2020.02.10

所有している物件が事故物件になったケースの対処法

所有している物件が事故物件になったケースの対処法

みなさんは『事故物件』という言葉をご存知でしょうか?

事故物件とは、住宅の内部や敷地内で自殺・他殺など心理的に「気分が良くないな」と感じるようなことが起きたことがある不動産物件を指す用語です。

高齢者が単身で居住し孤独死に至るケースが多々発生する昨今では、事故物件の軒数も増えています。

では、自分が所有している賃貸マンションやアパート、貸家などが事故物件になってしまった場合はどうでしょうか?

オーナーとしては「速やかに原状回復して次の入居者を探すなり、手放すなりしたい」と思うのが当然ですね。

今回は、自分が所有している不動産物件が事故物件になってしまった場合の対処法を紹介しましょう。

オーナーであれば誰しもが直面する可能性のあるお話ですから、ぜひ読み進めてください。

1 事故物件になったらやるべきこと

自分が所有している不動産物件が事故物件となってしまった場合、まず考えるべきなのは『原状回復』です。

次の入居者を募集するとしても、物件自体を手放すとしても、原状回復は必須でしょう。

他殺・自殺にかかわらず、死体が存在した屋内というのは気持ちの良いものではありません。

死体発見までに時間がかかっていれば、血液や体液、排泄物、腐敗汁などが屋内を汚染し、想像できないほどの悪臭が染み付いてしまいます。

家庭用の掃除道具などではとても除去できないようなシミや悪臭を取り除くためには『特殊清掃業者』に清掃を依頼することになります。

ひと昔前ではあまり耳慣れない感があった特殊清掃業者ですが、特に高齢者の孤独死などが社会問題として注目されるようになってからはマスコミなどでもよく紹介されるようになりましたね。

物件の原状回復が済めば、基本的には新たな借主を探すも売却するも自由ですが、ここには『心理的瑕疵の告知』という義務が生じます。

つまり「この物件では以前に殺人事件が発生しました」などという事実を明らかにする必要があるということです。

この心理的瑕疵の告知には、例えば「事故発生後◯年間は告知義務がある」などの明確なルールがありません。

また、殺人や自殺などの人為的な死亡は心理的瑕疵とするが、老衰などによる孤独死は心理的瑕疵としないという見解もありますが、宅建協会が「孤独死はできる限り告知したほうが良い」と示しているとおり、後々のトラブルを避けるためにはできる限り告知するべきだと考えたほうが良いでしょう。

都心の回転率が高い物件などでは2年程度が経過すれば契約に重大な影響はないとした判例がある一方、郊外では数十年前に殺人事件があった一戸建て物件で住宅を解体して更地にしてもなお「告知されていれば土地を購入することはなかった」という買主の主張が認められたケースもあるくらいです。

不動産業界では「1人目までは告知義務があるが、2人目になれば特段の理由がない限り告知義務はない」という判例が基本ルールとして利用されていますが、周囲の住民などの記憶に残るような凄惨な殺人事件などが発生した事故物件ではこの限りではないようです。

2 「事故物件になったのですぐに手放したい」は通用するか?

不動産物件のオーナーの中には「事故物件になってしまったので、その後の借主を募集する気も失せてしまった」という方もいるでしょう。

ここで気がかりなのは心理的瑕疵の告知義務のように、事故物件を売却するまでに冷却期間をおくべきなのか?という疑問です。

この疑問にも明確なルールはなく、買主に対して心理的瑕疵の告知が為されれば現オーナーとしての義務は果たしたことになります。

ただ、問題は「事故物件が売れるのか?」です。

オーナーとしては、事故物件は誰しも気持ちが悪いだろうからなかなか買い手がつかないのではないかと心配になるでしょう。

ところが、そんなオーナーの心配をよそに、意外にも事故物件はある程度の需要があるのです。

一般の物件と比較すると割安になっているし、割安であるが故に事故物件を積極的に取扱う不動産業者や事故物件専門の不動産業者が存在するくらいです。

買主にしても、相場よりも割安に不動産物件を購入できるのであれば、事故物件でもOKだと割り切って購入する人も少なくありません。

結論は「事故物件をすぐに手放したい」という希望は、原状回復したうえで買主に対して心理的瑕疵の告知義務を果たしていれば問題ない、ということになります。

ただし、何の問題もない物件と比べると安価になってしまうことだけは覚悟しておきましょう。

特に事故物件の専門業者などになると、割安で仕入れたうえで販売して利益を生むわけですから、特に安価になってしまうでしょう。

3 まとめ

今回は「自分が所有している不動産物件が事故物件になってしまった場合の対処法」について紹介しました。

最後に今回のポイントをおさらいしておきましょう。

・屋内や敷地内で自他殺などが発生した不動産物件を『事故物件』と呼ぶ

・事故物件を賃貸・売却する際には借主や買主に対して心理的瑕疵を告知する義務を負う

・心理的瑕疵の告知には期間などに明確なルールがなく、事故物件になってしまった経緯や物件周辺の地域的な事情などによって適切な告知期間が異なる

・事故物件になると賃貸や売却が難しくなるが、事故物件を積極的に扱う業者なども存在するため、比較的安価になってしまうが一定の需要はある事故物件であることを隠して賃貸・売却などをおこない、後々になって事実が知れたために損害賠償請求を受けてしまったというケースは珍しくありません。

所有している不動産物件が事故物件になってしまった場合は、事故物件の取扱いに長けた経験豊かな不動産業者や事故物件の専門業者に任せるのが懸命でしょう。

トップへ戻る
クリックでナビゲーションを閉じます。