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2019.12.05

住民税を自分で計算してみよう!

住民税を自分で計算してみよう!

みなさんの生活の中で身近な税金といえば何ですか?

固定資産税、消費税、ガソリン税、酒税、たばこ税…

色々な税金がありますが、身近で、かつ高いウェイトを占める税金といえば『所得税』と『住民税』ではないでしょうか?

今回は、身近な税金のうち『住民税』にスポットを当てて、住民税の計算方法を紹介していきましょう。

1 そもそも住民税ってなに?

まずはカンタンに住民税のことを解説しておきましょう。

住民税とは、地方自治体が福祉や防災、教育などの行政サービスをおこなうための資金として徴収する税金です。

ひとくちに『住民税』と呼んでいますが、実際には『都道府県民税』と『市区町村民税』の2つの税金の総称です。

内訳を詳細に記載している給与明細であれば、それぞれ『県民税』や『市民税』などと区別している場合もありますが、一般的には総じて『住民税』として記載しているでしょう。

住民税の特徴は「所得に応じて税額が決まる」という点です。

この点において、住民税は所得税と似た性質を持っていると言えるでしょう。

住民税は、所得税と同じように各種控除があるので、計算方法も似ているように感じられます。

ただし、住民税と所得税が異なるのは

・住民税は「前年の所得」に応じて納税する

・所得税は「当年の所得」に応じて納税する

という点です。

それゆえに、例えば高額の所得があった翌年には「今年は儲けが良くないのに、税金が高い!」と感じることも少なくありません。

みなさんの生活に身近とは言いましたが、住民税はみなさんにとってあまり納税している感触がない税金でしょう。

なぜなら、個人事業主や会社を退職した人でもない限り、住民税は給料から天引きされているからです。

もちろん、個人事業主や会社を退職した方は納付書が郵送されて一括または年4回に分けて自分で納税しますが、サラリーマンにとっては給与明細でしかお目にかからない税金のように感じるでしょう。

2 住民税は住む地域によって変わる!

住民税は住む地域によって税額が変わります。

住民税の計算方法は全国どこでも同じですが、各都道府県や市区町村の権限で『税率』と『均等割額』を設定できるので、住む地域による差が生じるのです。

では、具体的に住民税の計算方法をみてみましょう。

まずは『給与所得』を調べましょう。

給与所得とは、給与収入や事業収入から必要経費を差し引いた後の金額です。

サラリーマンの場合は給与所得控除を差し引いた源泉徴収票の『給与所得控除後の金額』、個人事業主の場合は必要経費を確定申告書Aの『所得金額の合計』をみましょう。

まず給与所得を確認するのは所得税の計算でも同じですが、所得税の計算と異なるのはここが「前年の給与所得」という点です。

当年の給与所得で調べると「来年の住民税」になるので、間違えのないように。

次に各種控除を差し引きましょう。

基礎控除、配偶者控除や扶養控除、社会保険料や生命保険料などを差し引きます。

さらに『調整控除額』を計算します。

これが所得税の計算と大きく異なる点です。

調整控除額とは、所得税と住民税の間に生じた控除額の差を埋めるために平成19年から始まった制度で、先ほど計算した各種控除後の金額が「200万円以下か、200万円超か」で方法が異なってきます。

200万円以下の場合は

①所得税との人的控除額の差の合計

②課税される金額

①か②のいずれか小さい方×5%

200万円超の場合は

①所得税との人的控除額の差の合計

②課税される金額-200万円

(①-②)×5%で、2,500円未満になる場合は2,500円

人的控除額とは、配偶者控除、扶養控除、基礎控除のことを指します。

ここまでが算出できれば、残るは税額の計算です。

住民税額は「都道府県民税+市区町村民税-調整控除額」で算出されます。

都道府県民税は『所得割』の課税額×4%に自治体が定めた均等割額を加えた金額。

市区町村民税は『所得割』の課税額×6%に自治体が定めた均等割額を加えた金額です。

事例として、東京都で最も人口の多い世田谷区に住む場合を挙げてみましょう。

分かりやすく、課税所得を200万円とします。

各自治体が定める均等割額は、平成28年の世田谷区の場合は

・都民税が1,500円

・区民税が3,500円

です。

均等割額は各都道府県や市区町村のホームページなどで確認できます。

世田谷区の場合は『都民税』になるので(200万円×4%)+1,500円=8万1,500円となります。

『区民税』は(200万円×6%)+1,500円=12万1,500円です。

これを合計すると20万3,000円となりますが、ここから調整控除額を差し引くことで、住民税が算出できます。

夫婦のみの世帯の場合、所得税と市区町村民税との本人の基礎控除額の差は5万円、配偶者控除の差は5万円ですから、合計が10万円です。

200万円以下の世帯になるので、10万円×5%で調整控除額は5,000円となります。

20万3,000円-5,000円=19万8,000円

これで平成28年の住民税が算出できました。

3 まとめ

住民税の計算方法などについて紹介しました。

計算方法は全国統一ですが、お住まいの地域によって差が生まれる『均等割額』と、それぞれの扶養人数などによって差が生じる『調整控除額』が算出できれば、さほど難しくもないでしょう。

日ごろは給与明細でしか目にしない住民税ですが、退職後には自分で納付することになります。

利用できる控除を最大限に活かして節税するためにも、住民税の計算方法を知っておくことは大切ですね。

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