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2020.01.15

意外とカンタン?個人事業の開業手続き

意外とカンタン?個人事業の開業手続き

これから独立開業しようとしている方は、まずどんな手続き必要になるのかを色々と調べて勉強していることでしょう。

当然のことですが、個人事業主として開業する際には所定の手続きが必要です。

何も知らないまま手続きを放置して開業してしまうと、最悪の場合は脱税とみなされてしまうことになります。

こう言ってしまうと「個人事業の開業はどれだけ大変なんだろうか?」と不安に感じられてしまうかもしれませんが、実は個人事業の開業手続きは意外とカンタンです。

今回は、独立開業を目指す方、まさにこれから開業することになった方にはぜひ知っておいて頂きたい、個人事業の開業手続きについて紹介していきます。

1 まず手続きが必要なのは税務署だけ

まず「個人事業の開業ってどこに申請するの?」という点が最初の疑問になるでしょう。

個人事業を開業する場合、まず手続きが必要になるのは管轄の『税務署』だけです。

意外かも知れませんが、税務署への申請だけで個人事業の開業手続きは完了します。

しかも最低限必要な提出書類は『個人事業の開業・廃業等届出書』という書類だけです。

届出書は最寄りの税務署の窓口でもらうほか、国税庁のホームページでダウンロードすることでも入手できます。

届出書の必要事項を記載のうえ、管轄の税務署に提出しますが、必ずしも窓口に提出する必要はなく、郵便などで送付したり、税務署の閉庁日や執務時間外であれば時間外収受箱に投函することで提出することも可能です。

提出期限は開業日から1ヶ月以内で、手数料などは不要です。

この『個人事業の開業・廃業等届出書』は最低限の提出書類です。

もし節税効果の高い青色申告をする予定であれば同時に『所得税の青色申告承認申請書』を併せて提出します。

提出期限が開業日から2ヶ月以内となっているので開業届出書とは別に提出することも可能ですが、せっかくなので同時に提出したほうが賢明でしょう。

さらに『消費税に関する課税事業者選択届出書』の提出も併せて可能です。

消費税に関する課税事業者選択届出書とは、簡単にいえば売上から消費税分として支払いを受けた額を納税する義務を負うための届出書です。

基本的には2年前の課税売上高が1,000万円を超えた場合に課税事業者となるため開業当年は免税事業者となり提出の必要はありません。

「免税事業者なのにわざわざ納税するために届出をするなんて損ではないの?」と思うでしょう。

もちろん、免税事業者であるのにわざわざ課税事業者になることだけを捉えればマイナス要素のように感じられますが、課税事業者になると開業のための設備投資にかかった消費税分が控除されるため、課税売上高に対して設備投資が高額であれば還付を受けられる可能性があります。

つまりこちらは「開業のための設備投資が高額であった個人事業主のみ」の提出書類だと考えればよいでしょう。

『源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書』の提出も利用の際には忘れずに提出しましょう。

源泉所得税の納期の特例とは、通常、会社が従業員の給与から源泉徴収によって預かった所得税は翌月10日までに税務署に納税する義務があるところ、毎年1月と7月の2回にまとめて納税することができる制度です。

給与を受け取る従業員10人未満の小規模な会社や個人事業主の場合は納期の特例が申請可能で、事務処理の軽減化やその間の資産運用や容易になるという利点があります。

2 所得額に応じては都道府県税事務所や市町村役場への申請も必要

「開業の申請は税務署のみ」と説明しましたが、実は正式には税務署のみではありません。

住民税や個人事業税などの地方税に関しては、税務署ではなく都道府県税事務所や市町村役場が事務を担当しているため、こちらにも開業の届出をする必要があります。

提出書類の名称は、個人事業開始申告書や個人事業税にかかる開業等報告書など自治体によって異なります。

いずれにしても基本的には提出しなくてはならない書類ですが、個人事業税は年間所得、つまり「売上高−必要経費」が290万円を超えないと発生しないため、事業の初年度などは経営が軌道に乗らず所得額290万円を超えないため非課税になる場合が多く、結果的に届出をする必要がないケースが大半です。

また、税務署に確定申告をすると都道府県税事務所や市町村役場と情報共有するため、わざわざ届出をしなくてもそれぞれが知るところになるのです。

こういった理由で「開業の申請は税務署のみ」でもまかり通るわけですが、個人事業といえども初年度から業績好調であれば所得額290万円を超える場合もあります。

事業の規模や売上高のシミュレーションに照らして都道府県税事務所や市町村役場への届出を検討すると良いでしょう。

3 まとめ

今回は個人事業主の開業手続きについて紹介しました。

最後にポイントのおさらいです。

・個人事業の開業は、管轄の税務署に『個人事業の開業・廃業等届出書』を提出するだけで可能

・税務署への届出時に、青色申告のための『所得税の青色申告承認申請書』、消費税の課税事業者になるための『消費税に関する課税事業者選択届出書』、源泉徴収した所得税の納期を年2回にしてもらうための『源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書』を併せて提出することが可能で、それぞれのメリットを考慮して申請できる

・本来は税務署だけでなく都道府県税事務所や市町村役場にも開業の届出をする必要があるが、個人事業税は所得額290万円を超えない限り非課税であり、確定申告をすることによって税務署と各庁がデータを共有するため、事実上届出は不要である

意外にもカンタンな個人事業の開業ですが、注意を払ってもらいたいのが青色申告や消費税の課税事業者選択、源泉徴収の納期の特例などの同時申請です。

せっかく始める事業ですから、できる限り多くのキャッシュが手元に残るように上手に制度を利用できるよう、事前に検討しておく必要があるでしょう。

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