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2020.03.08

確定申告のお手伝い、税理士資格がなくても大丈夫?

確定申告のお手伝い、税理士資格がなくても大丈夫?

世の中には税の知識を専門家なみに持っている一般の方がたくさんいます。

企業で経理の仕事を担当していたりすると、元々は専門的な知識がない人でも一人で確定申告ができる程度の知識は身についたりします。

よく、税理士と契約していない事業主が「確定申告書の作成は、知り合いで税務に詳しい人がいるからその人に頼んだよ」などと口にすることがありますよね。

しかしこれ、本当に大丈夫なのでしょうか?

税理士の資格がない人が確定申告のお手伝いをしても問題はないのでしょうか?

今回は、税理士の主要な業務の一つである確定申告において、無資格者が手伝いをすることの可否について考えていきましょう。

1 税務代理・税務書類・税務相談は全て税理士の独占業務

税理士に依頼しなくても自分自身で帳票類をとりまとめて申告書を作成し、適正に確定申告を完了している事業主はたくさんいます。

青色申告になると、複式簿記での記帳が必要であったり作成する資料も増えるので少し大変ですが、それでも「少し時間を割けばそんなに難しいものではない」と語る事業主も少なくありません。

言ってしまえば、確定申告は多少の面倒はあってもある程度の知識や経験があればできる程度のものなのです。

この「多少の面倒」に対する作業や勉強に割く時間があれば本業に専念できるので、スムーズに確定申告を進めることができる専門家に代理を依頼するわけですね。

その専門家がみなさんよくご存知の『税理士』ですね。

では、税理士なみに税の専門知識を持った一般の方、つまりは無資格者にお願いして帳票類を取りまとめてもらい、確定申告書を作成してもらうことはできるのでしょうか?

答えは『NG』です。

絶対に無資格者に税に関する業務を依頼していはいけません。

税理士の業務などを規定した『税理士法』は、第2条において「税理士は、他人の求めに応じ、税金に関して、税務代理・税務書類の作成・税務相談をおこなう」と規定しています。

さらに、税理士法第52条には「税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士法の無償独占業務である」と規定しています。

聞きなれない言葉ですが『無償独占業務』とは「有償であろうが、たとえ無償であろうが、有資格者しか業務に従事してはならない」という意味です。

もうお分りですね。

税理士の資格を持っていない人、つまり無資格者は、たとえお礼のひとつたりとももらっていないとしても、他人の税に関する業務を代行したり、他人の税務書類を作成したり、税務相談を受けてはいけないのです。

過去には、社会保険労務士などの一般的には専門知識がありそうに感じる人が税理士法違反で逮捕された事例もあります。

例外的に、会計士や弁護士は税理士として登録していれば身分は税理士と同じなので税に関する業務をおこなうことができます。

つい気軽に知り合いなどに確定申告の手伝いをお願いしてしまうかも知れませんが、無資格者が確定申告書を作成するなどの行為は明らかに税理士法違反です。

無資格者による税理士業務に対しては、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられることになります。

2 無資格者が企業の確定申告の業務をしても大丈夫?

税理士の資格がない人が他人の確定申告書を作成するなどの行為は税理士法違反に該当し、厳しい罰則が設けられています。

では、企業の経理担当者が自社の確定申告に関する業務に従事することは税理士法に違反しないのでしょうか?

これは『OK』です。

なぜなら、企業や法人は一つの人格として認められており、業務として命令されたのであれば、企業や法人自身がおこなったものと認められるからです。

言い回しが難しくなりましたが、カンタンにいえば「自社の業務内であれば大丈夫」ということです。

3 まとめ

今回は税理士資格のない無資格者による確定申告業務について紹介しました。

重要なポイントだけをおさらいしておきましょう。

・税理士資格を持たない無資格者は、他人の求めに応じて、税務代行・税務書類の作成・税務相談をおこなうことはできない

・税理士の業務は無償独占業務であり、無資格者がおこなった場合はたとえ無償であっても税理士法違反になる

・企業や法人の社員が自社のためにこれらの業務をおこなうことは税理士法違反に該当しない

たとえ専門的な知識を持っていても、無資格者は他人の確定申告について手伝いをしてはいけません。

安易に依頼を受けたりしていると、最悪の場合は逮捕されて刑罰を受けることになります。

また、以前から無資格者による有償の確定申告書作成などが横行しており、各地の税理士会は注意喚起を繰り返しています。

正規の税理士は必ず税理士バッジを身につけているので、ニセ税理士を利用してしまわないように注意しましょう。

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