マイホームが欠陥住宅だった!払い戻しは受けられる?
人の一生の中で最も高い値段の買い物といえば、やはりマイホーム。
おそらく1,000万円を超える買い物といえば、一部の高級自動車やクルーザーなどを除けば住宅くらいのものでしょう。
ところが、一大決心のうえで購入したマイホームが実は欠陥住宅だった!となれば、その怒りは並大抵のものではないはずです。
ここで考えられるのは、きちんと納得がいくように修繕してもらうか、それとも支払った代金の払い戻しをうけるか、の2択でしょう。
一体、購入した住宅が欠陥住宅だった場合はどうなるのでしょうか?
1 買主を保護する『住宅瑕疵(かし)担保責任履行法』とは?
ひと昔前には、欠陥住宅といえば雨漏りがする、壁紙が剥がれる、柱が歪んでいる、床が斜めになっているなど、住み難さや不快感につながるものが大半でした。
最近では、建築基準に準じた耐震性が確保されていないなどの重大な法令違反によって住宅だけでなく住む人の生命をも脅かすものが大きく注目されています。
いずれにしても家人が安心して住むことができない住宅は、住宅としての役割を果たしているとは言い難いシロモノです。
住宅を建てるのが地場の小さな工務店や個人の大工だった時代から一変して大手住宅メーカーに成り代わった現代では、明らかな欠陥住宅でも大企業が勝訴してしまったり、景気低迷の煽りを受けて住宅メーカーが倒産してしまうことで欠陥住宅に対する補償が果たされないという事態が急増してしまいました。
そこで国は『住宅瑕疵担保責任履行法』という法律を施行し、住宅の買主を保護する施策をとりました。
もともと、民法は「木造で5年間、RC造で10年間は欠陥を無償で修繕する」という『瑕疵担保責任』を規定しており、さらに住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称『品確法』)は「新築住宅の重要部分や雨漏りなどに対して10年間保証する」と規定して、住宅の買主の保護を進めてきました。
ところが、住宅メーカーの倒産などによって欠陥住宅の修繕を受けられない、買主が自費で修繕することになる、などの事態が急増したため、新たに『住宅瑕疵担保責任履行法』を施行したのです。
この法律では、売主に対して
・国土交通大臣指定の住宅専門の保険会社の保険に加入する
・平成21年10月1日以降に供給した戸数に応じた供託金を裁判所に預ける
という義務を課しました。
これによって、これまで泣き寝入りをするしかなかったようなケースでも欠陥住宅の修繕などが保証されるようになったのです。
2 「修繕は納得できない!代金の払い戻しを要求する!」は通用しない?
さて、民法や品確法、住宅瑕疵担保責任履行法によって保証されているのは「欠陥住宅を修繕してもらう責任やその費用」だと考えることができますね。
では、いくら法律や保険が保証してくれていても「欠陥住宅だなんてケチがついたから修繕の必要はない!新たに住宅を購入して引っ越すから代金を払い戻して欲しい」と考えた場合はどうなるのでしょうか?
例えば、少々高額なものでもマイカー程度なら代金を払い戻すことで解決したという事例もあるでしょう。
ところが、残念ながら一度建ててしまった住宅に関しては「欠陥があることを理由に全額払い戻した」という事例はほとんどありません。
おそらく、弁護士に依頼しても全額払い戻しや解体して新たに住宅を建築するなどのリセット的な補償は受けられないでしょう。
住宅は原価だけでも相当な高額がかけられている商品ですから、売主側は全額返金や解体後の再建築などは絶対に避けようとします。
当然、相手も弁護士に委任するし、丁寧な対応をする売主であっても「瑕疵担保責任を果たすことで補償したい」と主張するでしょう。
既に販売され使用されてきたマイカーに新たな欠陥が発見された場合でも、リコール修理によって完治する欠陥は「責任を持って修理する」という対応です。
欠陥住宅を購入してしまった方にとっては腹立たしい限りかもしれませんが、過度に売主側の負担が増すような対応は裁判を通じてでも決定されないようです。
3 まとめ
今回は残念ながら欠陥住宅を購入してしまった方が考える「欠陥住宅に対する払い戻しは可能か?」について話を進めてみました。
残念ながら、欠陥住宅といえども払い戻しによる補償は望めないので、瑕疵担保責任によって納得がいくまで修繕を求めることが最もクレバーな選択だといえるでしょう。
幸い、住宅瑕疵担保責任履行法によって修繕費用の負担が生じないように法整備されているので、第三者の検査機関などによる点検で早めに欠陥を発見して修繕を求めましょう。