個人事業税は租税公課?事業主貸?個人事業税の仕訳
個人事業に対して所得に応じて課税される『個人事業税』。
個人事業税は都道府県に対して納める地方税ですが、会計処理においてはどのように仕訳けられるのでしょうか?
自分自身で税金の申告をおこなっている個人事業主も多いので、個人事業税の仕訳について正しく理解しておく必要があるでしょう。
今回は、自分自身で日頃の経理や税金の申告をおこなっている個人事業主の方が絶対に知っておくべき「個人事業税の仕訳」について紹介していきます。
1 個人事業税とは?
まずは「個人事業税って何だ?」という個人事業主のために、基本を学んでおきましょう。
個人事業税とは、個人事業に対して課せられる税金です。
年間の所得額に応じて課せられますが、所得に応じて国に納める所得税とは別に、さらに都道府県に納めるのが個人事業税です。
個人事業に対して課せられるといっても、全ての個人事業主に対して課せられるのではなく、70種類の課税対象業種に該当する個人事業に対してのみ、個人事業税が課せられます。
個人事業税は、「(事業収入−必要経費−事業主控除290万円)×職種ごとの税率」という計算方法で算出されます。
税率は対象職種ごとによって3~5%に定められています。
個人事業税にも専用の申告用紙がありますが、実際のところは、確定申告をおこなうことによって国と都道府県の税の情報がリンクするため、個人事業税のみについて個別に申告する必要はありません。
確定申告をすることで、毎年8月に郵送される納付書に従い、8月と11月の2回に分けて納税することになります。
2 個人事業税は『租税公課』で仕訳ける
個人事業税は個人事業の所得に応じて都道府県に納める税金だということはご理解頂けたでしょう。
では、個人事業税は会計上ではどのように仕訳けるべきなのでしょうか?
「私は会計処理のことはさっぱり分からない」という個人事業主のために、なぜ個人事業税の仕訳が問題になるのかを説明しておきましょう。
会社の会計帳簿には『勘定科目』というものがあります。
勘定科目とは、カンタンに言えば収入や支出の名目です。
そして、勘定科目によっては、いかに会社のお金で支出していても必要経費として計上できないものがあります。
必要経費として認められないと、確定申告(所得税の申告)や個人事業税の申告において、その分だけ経費がかかっておらず、所得=儲けが生じていたと判断され税金が課せられることになります。
つまり、必要経費として認められない支出が多ければ多いほど、税金は高くなるのです。
事業主個人の所得税や住民税は、勘定科目上では『事業主貸』に仕訳けることになりますが、事業主貸は必要経費に計上できません。
では個人事業税はどうなるのか?というと、個人事業税は『租税公課』に仕訳けられます。
租税公課とは、広い意味では国税や地方税、罰金などの公的な負担金のことを指しますが、会計上では「必要経費として認められる税金」とされています。
つまり、個人事業税を納税した支出は必要経費として計上し、次回の確定申告では控除の対象となります。
租税公課に仕訳けられるのは、個人事業税のほかに
・固定資産税
・不動産取得税
・自動車税
・登録免許税
などがあります。
自動車税など個人としての使用する部分と事業として使用する部分とが共存するような税金の場合は、割合で按分して事業部分は租税公課で、個人部分は事業主貸として仕訳けます。
3 まとめ
個人事業税の仕訳について紹介していきました。
押さえておくべきポイントは「個人事業税による支出は『租税公課』になる」ということ。
租税公課に仕訳けられた支出は、確定申告時には必要経費として計上することができます。
特に自分で経理や税の申告まで全てをこなしている個人事業主の方は、もれなく必要経費に計上して節税に努めていきましょう。