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2020.02.14

不動産物件の上空に高圧線が通った!価値が下がるの?

不動産物件の上空に高圧線が通った!価値が下がるの?

不動産の価値は、基本的には固定資産税評価額で決まります。

ただし固定資産税評価額はあくまでも台帳上の数字。

物件の状況によって本当の価値が決まります。

その一例が「所有している不動産物件の上空に高圧線が通った場合」です。

電力のことに詳しくなくても何となく良い気分はしないものですから、不動産の価値が下がってしまうのではないかという予想はできますよね。

今回は、不動産物件の上空に高圧線が通った場合を想定して、不動産の価値にどのような影響を与えるのかを考えていきましょう。

1 高圧線とは?

今回の話を正しく理解するには『高圧線』とはなにか?という大前提を理解しておく必要があるでしょう。

一般的に家庭に引き込まれる前の電線のことを高圧線だと思っている人が多いだろうとは思いますが、実は街中に立てられている電信柱を中心に走っている電線は高圧線ではありません。

高圧線とは、専門的には『特別高圧』の送電線のことを指し、特別高圧に該当するのは7,000ボルト以上の電流が流れているもののみです。

家庭に引き込まれる前の電線は正しくは『配電線』と呼ばれ、配電線には6,600ボルトの電流しか流れていません。

高圧線は、発電所で作った電力を変電所まで送る電線で、街中でみかける電線の電力とは比較にならないほど強大な電力が流れています。

高圧線の電力が17万ボルト未満の場合は、一番下の電線から3m以上の水平距離が離れていないと建築物は建てられません。

さらに、17万ボルトを超えると電線の直下にあたる土地は建築物不可、さらに一番外側の電線の位置から最低でも6m程度の距離を保たないと建築物は建てられません。

こんな建築条件がついてしまうくらいですから、もちろん、不動産の価値は著しく下がることは容易に想像できますね。

2 実際にどれくらい下がる?高圧線下地の価値

高圧線の下にある土地のことを『高圧線下地(かじ)』と呼びます。

高圧線下地には

・断線など事故の危険がある

・景観を損なう

・雨天などに不快音が鳴る

・電磁波などの健康被害が気になる(科学的な根拠は別問題として)

など、不動産の価値を下げる要因が数多くあります。

何ら説明がなく無断で自分が所有している不動産の上空に高圧線が通ることはありませんが「物件を見た時点では気がつかなかった」というケースは稀にあるでしょう。

あえて高圧線下地の不動産のメリットを挙げるとすれば

・電力会社から『線下補償料』が支払われる

・鉄塔が避雷針になるため落雷の危険が少ない

というくらいです。

では、実際に高圧線下地はどれくらい不動産の価値が下がるのでしょうか?

上空の高圧線の電力や周辺事情、個別の不動産の事情などによって異なりますが、都内郊外で同じ地域の土地付き一戸建て住宅の価格を比較した場合に1,000万円近くの差が生じた例もあります。

反対に、同じ住宅団地の中では大差がない例もあり、一概に「不動産の価格が安くなる」とは言い切れません。

ただし、相続税の事例などでは、高圧線下地の相続時に、不動産鑑定評価によって30%以上も評価額が下がった例も多くあります。

3 まとめ

今回は自分が所有している不動産物件の上空に高圧線が通った場合を想定して、不動産の価値にどのような影響を与えるのかを紹介しました。

確かに、高圧線下地は不動産鑑定評価などで著しく価値が下がる事例が多く、結論としては「高圧線下地の価値は下がる」と言えます。

ただし、住宅情報サイトなどで検索すると高圧線下地には一定の需要があることが分かります。

建築制限などの規制はありますが、2階建の一戸建て住宅くらいなら屋上を設けない限り不自由はありません。

相続税などの計算においては積極的に価値を下げて節税を目指すべきですが、売買に関しては思ったほどマイナス要素にはならない、とも言えるようですね。

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