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2019.12.17

マンションを相続…減価償却費はどうなる?

マンションを相続…減価償却費はどうなる?

相続は故人の財産を引き継ぐことです。

不動産や預貯金などのプラスの財産はもちろん、借入金や未払金などのマイナスの財産も相続人が引き継ぐことになります。

では、耐用年数以内で減価償却が終わっていない不動産を相続した場合はどうなるのでしょうか?

今回は相続した不動産の減価償却について紹介します。

1 取得価額や未償却残額はそのまま引き継ぐ

例えば、平成29年1月に父親が亡くなり、すぐに父親所有だった鉄筋コンクリート造のマンションを相続したとします。

このマンションは父親が平成20年1月に1億円で新築したものでした。

鉄筋コンクリート造の耐用年数は47年間、償却率は0.022ですから、年間220万円が償却されてきたことになります。

これまでの8年間で減価償却されてきたので、220万円?8年間=1,760万円が償却済みとなり、8,240万円が未償却のままです。

この場合、相続人は取得価額と未償却残額を引き継ぐことになります。

つまり相続人は「1億円でマンションを取得し、いまだ8,240万円は減価償却していない」という状況でマンションを相続することになります。

2 取得日と償却方法は引き継げない

相続した不動産の取得価額と未償却残額は引き継いで相続すると説明しましたが、このように説明すると「そのまま引き継がないものがある」ということはお分かりでしょう。

未償却の不動産を取得した場合は、元々の所有者、つまり被相続人による取得日と償却方法は引き継げません。

先の例にもう一度登場してもらいましょう。

このマンションは相続人の父親が平成20年1月に取得したものですが、相続人がマンションを相続したのは平成29年1月です。

税法では、不動産の取得理由について相続もこれに含んでいるので、相続人が不動産を取得した日は「相続開始の日」になります。

これと混同しやすいのが、不動産売却による譲渡所得の場合です。

譲渡所得の場合、取得日は元々の所有者(被相続人)が取得した日になります。

もう一つ、引き継げないのが償却方法です。

減価償却の方法には『定額法』と『定率法』があります。

毎年度同額を費用計上するのが定額法、取得後の当初は多く計上されて以後は年々計上額が減少するのが定率法です。

どちらも最終的に減価償却される金額は同じですが、費用計上のスピードが異なると覚えておけばよいでしょう。

税法では、建物の償却方法は「定額法のみ」と定められており、相続した財産が不動産の場合はあまり頭を悩ませることはないかも知れません。

平成28年まではエレベーターやガス設備などの『付属設備』は定率法による償却方法が可能でしたが、一般的に定率法による減価償却の計算が複雑であるために定額法に一本化されています。

元々の所有者が付属設備を定率法で償却していても、相続人は定額法でしか償却できなくなっているので、これから相続が発生する方は注意が必要になります。

3 まとめ

今回はマンションなどの不動産を相続した場合の減価償却についてお話ししました。

ポイントとなるのは

・取得価額と未償却残額はそのまま引き継ぐ

・取得日と償却方法は引き継げず、取得日は相続の日、償却方法は定額法のみとなるという2点です。

以前と比べると改正点が多いので、不明点があれば専門家に尋ねて最新の情報を入手して手続きに誤りがないようにしましょう。

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