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2020.02.09

マッサージ代金は確定申告で控除される?

マッサージ代金は確定申告で控除される?

現代人は身体が疲れています。

単に「疲れた」という話ではなく、目の疲れ、肩・腰の疲れなど、現代人特有の負担が人の身体を疲労させています。

疲労が問題になれば浮かび上がって来るビジネスは「疲労回復・健康維持」でしょう。

最近では街のいたるところに「全身もみほぐし 60分 ◯◯円!」などという看板を掲げたマッサージ店を見かけるようになりました。

ところでこのマッサージ店、確定申告で医療費控除の対象として申請できるのでしょうか?

今回はお世話になっている人も多いマッサージ店に焦点を当てて「マッサージ代金は確定申告で控除されるのか?」について考えてみましょう。

1 医療費控除とは?

まずは基本を押さえておきましょう。

確定申告では、収入から必要経費を差し引き、さらに各種控除を差し引いて、実際の利益=所得を算出します。

この各種控除を漏れなく申告することが節税に大きな効果をもたらすわけですが、その中の一つが『医療費控除』です。

医療費控除とは、カンタンにいえば「年間に医療費をたくさん支払った人は大変だったでしょうから所得税を安くしましょう」という制度。

その年の1月1日から12月31日までの間に、同じ生計の家族が支払った医療費が10万円を超えた場合、超過分が収入から控除される仕組みになっています。

よく「年間の医療費が10万円を超えたら超過分の金額が返ってくる」と勘違いしている人がいますが、おそらく高額医療費制度と混同しているのでしょう。

医療費控除は、収入額から控除額が差し引かれて所得税額の算出に影響するだけなので、超過分がそのまま返ってくるわけではありません。

また、年間の医療費の計算は、保険金や補助金などで補填された金額を差し引く必要があることにも要注意です。

例えば、治療費50万円の病気を治療して医療費を支払っていたとしても、生命保険金が50万円支払われていれば、保険金分を差し引いて実質は医療費の負担はなかったと解釈することになります。

2 マッサージは治療?それとも健康維持?

さて、今回の本題をみていきましょう。

マッサージ代金は医療費控除の対象となるのでしょうか?

まず結論から言うと、マッサージ代金は医療費控除の対象になりません。

『所得税法施行令』という法令の第207条には医療費として認められる範囲が示されており、そこには医師のほか「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術」という記載があります。

ここに挙げられた医師と4つの資格はいずれも国家資格で、これらに該当しないマッサージ師がおこなった施術は医療費控除の対象になりません。

例えば、リンパマッサージ師やアロママッサージ師などの資格を掲げているサロンなどは、それぞれの資格を取得していても民間資格であり、法令が医療費として認めてくれません。

街中にある「もみほぐし」系のマッサージ店も、医師やあん摩マッサージ指圧師が在籍しているケースは極々まれですから、医療費控除の対象にはならないのです。

あん摩マッサージ指圧師が在籍するマッサージ店であっても、施術の目的によっては医療費控除の対象にならないので要注意。

マッサージの目的が病気や負傷の治療であれば、そのマッサージは治療行為であり、医療費控除の対象になります。

一方で「ちょっと肩こりが…」とか「マッサージを受けると調子が良くなる」などの健康維持的な目的であれば、医療費控除の対象にはなりません。

既に何らかの傷病名が診断されていて、その治療を根拠にするマッサージであれば問題にはなりませんが、マッサージ店の領収書などには傷病名まで記載してくれる例は稀です。

「怪我のリハビリ治療の一環でマッサージを受けたので医療費控除として申告したい」という方は、根拠となる傷病名を説明できる診断書や領収書などを手控えとして用意しておけば万全でしょう。

3 まとめ

今回はマッサージが医療費控除の対象となるのかを焦点にお話ししました。

大事なポイントだけをおさらいしておきましょう。

・マッサージは「医師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師」の背術に限って医療費控除の対象となる

・一般のマッサージ店による背術は概ね医療費控除として認められない

・医療費控除の対象となるのは治療目的に限られており、健康維持などの目的では医療費控除の対象にはならない

実際の確定申告では、医療費控除の申告内容まで細かく調査されたりヒアリングを受けることは稀。

つまり「申告者の良心に任せる」という部分も強く、治療目的でない領収書でも確定申告が問題なく終了したという事例はありますが、あくまでもチェックをすり抜けた脱法事例です。

申告できる内容のものは堂々と、申告できない内容のものは厳密に納税者の段階で選別するべきでしょう。

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