パソコンの耐用年数と償却方法とは
どんな仕事をしていても、もはや必須のツールとなっているのがパソコンでしょう。
販売業、建築業、クリエイター、どんな仕事をしていても絶対にパソコンが必要です。
では、事業用としてパソコンを購入した場合、経理上はどのような処理をすればよいのでしょうか?
今回は、パソコンの耐用年数と償却方法について紹介していきます。
1 税法上のパソコンの取扱い
税法上、パソコンは『固定資産』になります。
一般的にいうと固定資産といえば土地や建物などの不動産をイメージしてしまいますが、税法でいう固定資産とは、販売用などではなく事業のために継続的に使用するもののことを指します。
固定資産になると、購入費用は一括ではなく一定の年数に分割して計上することになります。
これが『減価償却』です。
事業用でパソコンを購入した場合、まず一つの基準となるのがパソコンの購入額です。
税法では、10万円未満のものは『少額減価償却資産』として一括で費用を計上し、10万円以上のものは固定資産として減価償却することになります。
一昔前では、パソコンは1台あたり数十万円を超える高価な機械だったので文句なしで固定資産として減価償却していましたが、最近ではハイスペックでも10万円を下回るものが多く販売されているので、一つの事業年度で一括計上できるケースも増えています。
固定資産となったパソコンは、税法上は『機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表』に記載されている『器具備品の事務機器及び通信機器』に分類されている『電子計算機』として扱うことになります。
耐用年数はパソコンの用途によって異なり、サーバとして使用するものは5年、その他のものは4年と定められています。
つまり、一般的に事務作業などで使用するパソコンは4年かけて減価償却することになるわけです。
また、パソコンがデスクトップタイプの場合、パソコン本体とディスプレイを分けて考えることになります。
パソコン本体の耐用年数は電子計算機として4年になりますが、ディスプレイは『その他の事務機器』に該当するため5年になります。
2 条件次第では10万円以上でも一括計上できる?
先の説明では、事業用としてパソコンを購入した場合、10万円未満のものは少額減価償却資産として一括計上、10万円以上のものは固定資産として減価償却するということでした。
ところが、ある条件次第では10万円以上のパソコンでも一括計上することが可能です。
それが『少額減価償却資産の特例』です。
条件とは
・資本金1億円以下の中小企業であること、または出資を要しない法人で常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人であること
・青色申告をしていること
・年間の少額減価償却資産の取得額が300万円以下
で、これらの条件を満たしている場合、30万円未満の資産は少額減価償却資産として一つの事業年度で購入費用を一括計上することができます。
少額減価償却資産の特例を利用すれば、例えばパソコンを購入した年度の収入が多い場合には、パソコンの購入費用を一括計上することで必要経費を多く算入し所得額を抑えることができるようになります。
この特例措置は、現在のところ平成30年3月31日までの取得に限られています。
何度か取得期限が延長されながら続いている特例措置ですが、今後も同じように延長されるとは限りません。
これまでに使用しているパソコンの耐用年数が満了する、パソコンが老朽化しており買換えを検討しているという中小企業の事業主は、ぜひ期限内の導入で節税を目指していくのはいかがでしょうか?
3 まとめ
今回は、パソコンの耐用年数と償却方法について紹介していきました。
押さえておくべきポイントは、
・10万円未満のパソコンは一括で費用計上、10万円以上のパソコンは固定資産として減価償却する
・パソコンの耐用年数は基本的には4年、サーバ用のものは5年、デスクトップタイプの場合はパソコン本体は4年でディスプレイは5年になる
・青色申告をしている資本金1億円以下の中小企業の場合、年間300万円を上限に、30万円未満のパソコンは『少額減価償却資産の特例』によって一括で費用計上できる
という点です。
特に中小企業や個人事業主にとっては、パソコン購入の支出は大きな出費になると同時に、費用計上次第では大きな節税高価が生まれます。
期限付きの特例措置ですが、上手に利用して節税につなげていきましょう。