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2020.02.28

ペット不可物件でペットを飼った住民に賠償請求できる?

ペット不可物件でペットを飼った住民に賠償請求できる?

ひと昔前ならペットといえば犬や猫くらいのもので、どちらにしても鳴き声や出入りなどで「あの家は犬を飼っているな」と周囲に認知されたものでした。

ペットを伴う入居は不可という不動産物件で犬や猫を飼っていれば、管理者などが気付きやすく、すぐに違反行為をしていることが露見していましたね。

しかし、最近はムダ吠えをしない品種が選ばれたり、犬や猫ではなくフェレットやハムスター、爬虫類などもペットとして人気を集めているため、物件の所有者や管理者に露見しにくい状況になっており、退去後にペットを飼っていた事実が発覚することも珍しくなくなりました。

ペットを飼っていた物件は、臭いや傷など、物件の原状回復に手間も費用もかかってしまい、大きな損害が生じます。

今回は、ペット不可物件でペットを飼った住民に対する賠償請求について触れてみましょう。

1 ペットが入居していた物件の原状回復費用は?

室内でペットを飼うと、ペット自身や排泄物の匂いがクロスに染み付いてしまったり、爪や牙によって床や柱などが傷つきます。

例えば小型犬などのようにケージに収まって飼育できていた場合は損害が抑えられますが、室内で放し飼いにしていれば、物件は激しく損傷することになるでしょう。

物件の仕様、飼っていたペットの種類や大きさ、飼い方、年数などによって大きく差がありますが、ペットを飼っていた物件の原状回復には数十万単位の費用がかかります。

単身用のワンルーム物件でも、ペットの臭いが染み付いていたために壁面クロスを全面張替え、傷が多いため柱とフローリングも交換となれば、最低でも20万円、高ければ50万円近い修繕費用が必要になることがあります。

これがファミリー向けの物件であったり、損傷の度合いが高ければ、80万円前後の費用が必要になった例もあります。

ペット入居後の原状回復に高額な費用がかかることは、ペットを飼おうとしている住民にも、ペット入居の可・不可を検討している物件所有者にもしっかりと認識しておいて頂きたいことですね。

2 ペット不可物件でペットを飼った場合の賠償請求は可能?

物件の賃貸借契約を交わす時点で、必ず説明をするはずのペット入居可・不可。

これに違反すれば、当然違約金を支払ってもらうという心算はあるはずですが、今一同しっかりチェックしなおして頂きたいのが「違約金の定め」です。

もし賃貸借契約書に「ペットの入居は不可とする」という記載のみで違約金についての定めを記載していない場合、ペット飼育を理由とした違約金の請求はできません。

しっかりと「ペット飼育が判明した時点で違約金を支払ったうえで退去を求める」という記載があるかを確認しておきましょう。

では、違約金の定めがなかったり、違約金の規定額では原状回復費用に追いつかないという場合はどうでしょうか?

例えば、家賃10万円のペット不可物件で、全体の原状回復費用が50万円かったとします。

敷金として家賃2ヶ月分の20万円を支払いを受けていたので、残り30万円の責任について検討していたとしましょう。

不動産業者や物件の所有者としては「違反行為をしていたのだから残り30万円全てを借主の責任で」と全額の賠償を求めたくなるでしょう。

しかし、原状回復費用の全てがペットによるものだと言い切ってしまうには少々無理があります。

実際には、ペットの入居にかかわらず退去後はクロスを張り替える予定だった箇所もあったはずで、しかも通常の使用による劣化は借主に対する責任はないというガイドラインも存在しています。

現実的には、明らかにペットによる汚れや傷を具体的に指摘して、超過分の責任範囲を問うことになるでしょう。

そのためには、入居の直前の状態を撮影するなどの方法で健全な状態を記録しておくことが重要です。

「ペットを飼うという違反があれば全ての劣化に悪意があったとみなす」という理論は乱暴すぎるので、明らかにペットの飼育による責任箇所を明らかにして和解を目指すのがベスト。

ペットの飼育による原状回復は、金額が大きくなるためトラブルに発展することが多く、訴訟問題に発展することも少なくありません。

トラブルに発展するおそれが強い場合は、早めに弁護士などの専門家に相談することをオススメします。

3 まとめ

ここでは、ペット不可物件でペットを飼った住民に賠償請求ができるのかを考えていきました。

ペットを飼育すると必ず発生する臭いや損傷の問題。

ペット不可の条件を付した物件で住民がペットを飼育することは契約違反に該当しますが、違約金の定めがないと違約金を請求することはできません。

また、違約金の有無にかかわらず、ペットの飼育に起因する損傷などについては賠償を求めることが可能ですが、原状回復費用が高額になるため、ペット飼育を原因とした損傷部分などを明らかにして提示する必要があります。

ペット飼育に関する原状回復問題は、不動産賃貸においてよく起こりやすいトラブルです。

賃貸借契約書を交わす際に、文面での記載と併せて口頭で丁寧に説明を加えたうえで、入居前の状態を撮影するなどして記録を残しておきましょう。

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