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2019.11.25

被災者の強い味方!災害減免法とは?

被災者の強い味方!災害減免法とは?

近年、我が国は大規模な災害に襲われ続けいています。

東北の大震災以後、関東や九州、中国地方でも大きな地震が相次いで発生しました。

大規模な災害は、人の生命が危険にさらされるほか、自宅や家財などの大切な財産も奪い去ってしまいます。

命からがら難を逃れても、自宅を失い安心して寝る場所もない、多くの財産を失ってその後の生活が安定しないという事態を引き起こします。

そこで今回は、大規模な災害によって財産に損害を受けた被災者にとって強い味方となる『災害減免法』について紹介しましょう。

1 災害減免法は最大で所得税が全額免除!

災害減免法は正式には『災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律』といいます。

その名のとおり、被災者の税負担を軽減し、税金の徴収を待ったり還付することを定めた法律です。

災害減免法では、その年の所得額に応じて所得税が減額されます。

まず、災害減免法を適用できるのは年間所得が1,000万円以下の場合のみです。

所得額1,000万円を超える場合は災害減免法ではなく、様々な損失を補てんできる『雑損控除』を利用することになります。

所得額が500万円以下の場合、所得税は100%免除になります。

500万円超から750万円以下で50%、750万円超から1,000万円以下で25%の軽減です。

最大で所得税が全額免除になるわけですから、被災者にとっては非常に強い味方になるわけですね。

2 災害減免法の適用条件は?

災害減免法による所得税の減免を受けるには、大前提として「災害による資産の損失」を被っていることが条件となります。

災害減免法でいう『災害』とは、地震、火災などのほか、風水害も含まれます。

最近は大規模な震災被害などの被害を受けた地域が多いので、災害というと世間の耳目を集めるような大規模災害をイメージしがちですが、台風による水害、降雪による災害なども対象になります。

災害減免法の適用条件として重要なのは「住宅や家財などの資産が、時価の50%以上の損害を受けた場合」に適用されるという点でしょう。

少しわかりにくいので、詳しく説明します。

災害減免法の対象となる資産は、住宅や日常生活に必要な家具や衣服などを指します。

日常生活には必要のない別荘や、生活に必要なものの程度を超える娯楽品や骨とう品などは、この法でいう資産には該当しません。

これらの資産が災害によって受けた損害額が時価、つまり「現在の購入金額-減価償却費」の50%以上になる必要があります。

さらに、この損害額の計算では、損害保険などで支払を受けた保険金を差し引く必要があります。

つまり、災害減免法の適用を受けるには「災害で損失した資産の時価-(資産が受けた損害額+支払を受けた保険金等)=資産の50%以上」となる必要があるわけです。

では、災害による損害額が資産の50%未満の場合はどうなるのでしょうか?

この場合は、災害減免法ではなく『雑損控除』によって救済されることになります。

雑損控除は自然災害だけでなく、盗難や人為的な火災なども対象となり、所得金額が控除されるので結果的には所得税が減額されます。

所得額や災害による損害額によっては、災害減免法よりも雑損控除を利用したほうが有利なケースもあるので、専門家に相談してシミュレーションをしてみると良いでしょう。

3 まとめ

今回は、災害によって損害を受けた方を税制面で救済する『災害減免法』について紹介しました。

ここでおさらいしておきましょう。

・災害減免法は、地震や風水害などによって、住宅や生活に必要な家財道具などへの損害が時価の50%以上の場合(保険金などを差し引く)に適用される

・年間所得1,000万円以下が対象となり、1,000万円を超える場合は雑損控除を利用することになる

・減免額は所得額によって異なり、所得500万円以下では所得税の100%が免除される

今回紹介した災害減免法のほかにも、地方自治体によっては固定資産税や都市計画税、不動産取得税などを軽減する措置を採用している場合があります。

災害によって財産に損害を受けた方は、ぜひ最寄の市町村役場や税務署に相談してみましょう。

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