底地より高いかも??借地権の相続財産評価について
建物所有を目的として土地を借りる権利を借地権と言います。
この借地権も相続の対象となります。
そして、特に都市部においては、借地権の評価額は、借地権が設定されている土地の評価額より大きくなる傾向があり、重要な相続財産を構成します。
以下では、この借地権の相続財産評価について解説します。
借地権の相続財産評価について
借地権の相続財産評価は、借地権が設定されている土地の自用地としての価額に、借地権割合を乗じた金額となります。
ここで、借地権割合とは、国税庁が、全国の各地域について、路線価図又は評価倍率表に定めた割合のことで、国税庁のホームページから誰でも自由に確認することができます。
具体例
例えば、借地権が設定されている土地の自用地としての相続財産評価額が1,000万円だとします。
そして、この土地が所在する地域の借地権割合が80%だとすると、その借地権の評価額は1,000万円×80%=800万円となります。
一方、借地権が設定されている土地(底地と言います)の評価額は1,000万円-800万円=200万円となります。
借地権として評価される条件
相続財産評価上で借地権として評価される条件とは、建物所有を目的として土地を借りているかどうかです。
同じく土地を借りる権利でも、駐車場や資材置場等として利用する権利であれば、相続財産評価上の借地権とはされません。
その他の条件
その他にも
- 賃貸借契約を締結していること
- 地代の支払額が、固定資産税や都市計画税の納税額を上回っていること
等の要件を満たす必要があります。
借地権割合は何故高率となるか
建物所有の土地の賃貸には借地借家法が適用されます。
そして、この法律は、土地の借り手に対して手厚い保護を与えています。
これにより、建物所有の目的で土地を貸し出した場合には、半永久的に借地契約が継続することになり、一度借地権を設定すると、地主には更地の土地としてはまず戻ってこないと言われています。
特に都市部においては、借地権価額は70%~90%と非常に高い割合となっています。
借地権評価額がこのように高額になるのは、借地借家法の借主の手厚い保護規定によって、一度借地権が設定された土地が地主に更地で戻ることはまずない、という関係を反映しています。
借地権の相続と相続放棄について
借地権割合も高率な地域にある土地に設定されている借地権で、しかも、借地権が設定されている土地の自用地としての相続財産評価額が高額な場合には、借地権の相続財産評価額も高額になります。
例えば、借地権が設定されている土地の自用地としての評価額が10億円、借地権割合が90%ならば、その借地権の評価額は9億円となります。
よって、高い相続税を支払うよりも、相続放棄をしたほうが合理的な場合もあります。