なぜ?確定申告の書類が送られてこない理由
確定申告の書類は例年12月から1月の間に税務署から郵送されてきます。
確定申告の書類が送られてくると「今期もそんな時期になったか」と暗い気分になる事業主も少なくないようですね。
ところで、1月の末から2月になると、税務署には「確定申告の書類が届かないのだが?」という問い合わせが多く寄せられるそうです。
なぜ確定申告の書類が送られてこないのでしょうか?
これにはちゃんと理由があるようです。
今回は、確定申告の時期が近づいてきても税務署から書類が送られてこない方の疑問を解決していきましょう。
1 確定申告の書類が送られてこない2つの理由
確定申告の書類が送られてこないという事業主は、概ね2つの理由のうちのどちらかに該当します。
まず考えられるのが「前年に確定申告をしなかった」という場合です。
故意に確定申告をしなかったのであれば脱税ですが、ここではそんなことを考える方はいないだろうと信じて、可能性のお話をしましょう。
確定申告は、収入から必要経費と各種控除を差し引いて所得を算出したうえで、所得に税率を乗じて課税されます。
例えば、事業が上手くいかず算出した所得がマイナスに転じてしまった場合、税率を乗じようにも基礎となる所得がマイナスなので所得税が課税されません。
もう少し詳しく言えば、たとえ差し引くことができる必要経費が0だったとしても、全ての納税者に等しく38万円の基礎控除が与えられているので、年間の収入が38万円以下の場合は所得税が非課税になります。
そして、所得税が非課税の場合は確定申告の必要がありません。
実際には、赤字になってしまった損失部分を翌年以降の黒字から差し引く損益通算のためにも確定申告をするべきですが「申告の義務がないので確定申告をしなかった」ということも有り得ますよね。
確定申告の書類には「翌年以降送付不要」というチェック欄があり、ここに◯印をつけない限り翌年は確定申告の書類が郵送されてきます。
つまり「何もしなくても確定申告の書類が郵送されてくる」のではなく「自分自身が『不要』だと言わなかったから郵送されてくる」のであり、確定申告をしなかった場合はその手続きをしていないので翌年は確定申告の書類が送られてこないのです。
もう一つの理由が「e-Taxを利用している」という場合です。
e-Taxはインターネットを利用して確定申告をするシステムですが、e-Taxを利用すると翌年以降は確定申告の書類は郵送されません。
国税庁はe-Taxの積極的な利用を推進しており、現在の利用率は所得税申告者の50%を超えています。
とはいえ「前年はe-Taxによる電子申告をしたが、システムに不満があったので当年は通常の申告方法に戻す」という方針になれば、確定申告の書類が送られてこないので困惑するでしょう。
確定申告の書類が送られてこないという問い合わせの多くが、これら2つの理由のどちらかに該当している可能性があるそうです。
2 確定申告の書類が送られてこない場合の対処法
さて、確定申告の書類が送られてこない理由を突き詰めたところで、それでも確定申告をしないといけない事実に変わりはありません。
あれこれ言っても仕方がないので、打開策を考える必要がありますね。
確定申告の書類が送られてこない場合の対処法として
・税務署を訪ねて、直接書類をもらう
・税務署に返信用封筒を送り、書類の郵送を依頼する
・国税庁のホームページから様式をダウンロードする
・e-Taxを利用する
これらの方法が考えられます。
書類が送られてこないからといって「今回は確定申告は不要」ということは絶対に有り得ないので、自分にとって都合が良い対処方法をとると良いでしょう。
3 まとめ
今回は、いざその身になってみると意外と焦ってしまう、確定申告の書類が送られてこない理由とその対処方法について紹介しました。
最後にポイントだけおさらいしておきましょう。
・確定申告の書類が送られてこない場合は、前年に確定申告をしていない、または前年にe-Taxを利用して確定申告をしていることが考えられる
・確定申告の書類が送られてこなくても確定申告の義務がないわけではない
ので、税務署で入手する、国税庁のホームページからダウンロードするなど、自分で書類を入手する必要がある確定申告の書類が送られてこない理由は意外とカンタンです。
国税庁はe-Taxを利用した電子申告を推奨しているので、このような悩みを避けるためにもe-Taxの利用を検討してみるのも良いですね。