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2019.09.24

相続税対策に信託登記を利用しよう!

相続税対策に信託登記を利用しよう!

相続税対策として、信託を利用する方法も有効です。
信託を利用すれば、相続財産の乱費を防いだり、遺産分割協議を経ることなく特定の相続財産を特定の相続人に承継させることができます。
信託を行うと、信託登記を行いますが、以下では、この信託登記の手続きや概要について解説します。

信託登記とは

信託登記は、委託者から受託者への財産権の移転登記と信託の登記の2種類の登記から成り立ちます。
信託行う場合には、通常の移転登記と信託の登記の2つの登記を行う必要があります。

例えば、委託者Aが所有する土地を信託財産として、Aが受託者である不動産業者であるBに当該土地を信託し、Bが当該土地を利用して不動産投資を行い収益を上げ、その収益を委託者Aが指定した受益者Cに対して与える信託契約が締結されたとします。

この場合、まず、委託者Aから受託者Bに対して、信託財産である土地の所有権移転登記を行います。
この所有権移転登記は通常の移転登記と変わりません。
しかし、このままだと、当該土地が信託財産であることが第三者に公示されません。

そこで、信託の登記も同時に行います。
信託の登記が行われると、登記簿に対象不動産が信託財産である旨の表示がなされ、第三者がその財産が信託財産であることが分かるようになります。

信託登記の方法について

信託登記は信託財産の所有権移転登記と同時に申請しなくてはなりません。
所有権移転登記に必要な書面は、通常の所有権移転登記に必要と変わりありません。
一方、信託登記に必要な書面は、信託契約書、信託目録等となります。
よって、信託登記を行う場合には、それらの書面が追加的に必要になります。

信託登記の登記申請書には、以下の事項などを記載します。  

・委託者、受託者、受益者の氏名又は名称及び住所
・受益者の指定に関する条件等があるときは、その条件
・信託財産管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
・受益代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
・信託の目的
・信託財産の管理方法
・信託の終了の事由

信託登記は、通常の所有権移転登記申請書と、上記の事項を記載した信託登記申請書を一緒に登記所に提出することにより行います。
なお、登録免許税については、信託登記には信託財産の評価額に4/1,000を乗じた金額が課税されますが、所有権移転登記の方は非課税となります。

民事信託及び家族信託とは

信託の受託者は、信託会社や信託銀行であることが多いです。
このように、委託者が信託財産を信託専門機関に預けるような信託を商事信託といいます。
一方、委託者の家族が受託者になる信託のことを民事信託又は家族信託といいます。

民事信託や家族信託は、主に相続税対策や、委託者の老後の介護等のために行われます。
例えば、祖父が孫の名義で預金口座を開設して、孫の名義で預金を行うことがよくありますが、この預金(名義預金といいます。)は、そのままでは、相続税の節税対策としては、全く機能しません。

それは、名義預金は、名目上は名義人の財産でも、実質は被相続人の財産とみなされ、相続税の課税対象財産として取り扱われるからです。
しかし、同じ名義預金でも、この通帳を信託財産として信託契約を締結しておけば、相続が開始しても、当該預金が相続財産として取り扱われませんので、相続税対策となります。

また、例えば、Aと同居するAの子Bが、Aの介護を行っている場合、Aが、Bが余裕を持って介護を行なえるように、Aが大家を務める不動産(アパート)を信託財産としてBに信託し、Bが受託者兼受益者として、アパートの家賃収入を受け取り、介護費用に充当するという形態の家族信託もあります。

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