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2020.02.24

『確定申告書第四表(損失申告用)』はいつ作成する?

『確定申告書第四表(損失申告用)』はいつ作成する?

わが国の所得税は「儲けた分を申告して適正な税金を納めましょう」という基本的な仕組みがあります。

これが事業主のみなさんが毎年頭を抱えるイベントの『確定申告』ですね。

ところで、所得税は儲けた分だけ税額が高くなる仕組みですが、それでは反対に損失が発生した場合はどうなるのでしょうか?

この場合、マイナスが生じましたという結果を申告することになります。

この「マイナスが生じました」という申告をする際に登場するのが『確定申告書第四表(損失申告用)』です。

今回は『確定申告書第四表(損失申告用)』の出番について紹介していきましょう。

1 青色申告の場合、損失は確定申告で控除される

まずは所得税の基本に立ち戻ってみましょう。

所得税は、年間の収入から必要経費と各種控除を差し引いて『所得』を算出し、所得額に応じて課税されます。

どんな人でも、どんな事業をしていても、たとえ必要経費が全くかからなかったとしても、38万円の基礎控除があるので年間の収入が38万円以下の場合は所得税が課税されません。

つまり算出した所得額が0円から38万円までの人は所得税が課税されないので確定申告も基本的には不要になります。

(ここでは所得税についてを述べていますが、確定申告をしないと個別に住民税の申告をする必要があることを考慮すれば、たとえ非課税であっても確定申告をするほうが賢明です)

では、算出した所得額が0円を下回ってマイナスに転じた場合はどうでしょう?

所得額0円から38万円の場合は所得額が非課税になるので、当然、マイナスの場合は所得税がかからないことは分かりますね。

算出した所得額がマイナスに転じ、青色申告をしている場合は、その年の損失を翌年以降3年間にわたって黒字から差し引くことができます。

これを『繰越控除』といいます。

繰越控除を受けるには、当然、非課税であっても確定申告をしておく必要があります。

たとえ所得税が非課税であったとしても「この年はマイナスでした」と申告しておかないと、翌年以降に差し引くための損失を把握することができませんからね。

そのための確定申告を『損失申告』といいます。

損失申告をしておけば、翌年以降に生じた黒字からマイナス分を差し引くことができます。

2 『確定申告書第四表(損失申告用)』の出番

『損失申告』といっても、することは通常の確定申告となんら変わりません。

年間の収入から必要経費と各種控除を差し引いて所得額を算出し、マイナスが生じていますという結果を導き出して、確定申告をするだけです。

ただし、税務署に提出する書類が異なります。

ここで登場するのが今回の主役である『確定申告書第四表(損失申告用)』です。

損失申告では、申告書Bに加えて『申告書第四表(損失申告用)』を作成し提出する必要があります。

この損失申告用の書類を作成すれば、確定申告した翌年以降3年間はその年度のマイナス分を黒字から差し引くことができます。

申告書第四表を見ると『経常所得』のほかにマイナス分を記載する「所得の種類」の欄は

・譲渡

・一時

・山林

・退職

・株式等の譲渡

・上場株式等の配当

・先物取引

しかありません。

つまり、事業などによる所得のほかでは、ここに挙げた7種類の所得しかマイナス分を控除することはできないということに注意が必要です。

3 まとめ

今回は所得にマイナスに転じた場合に提出する『確定申告書第四表(損失申告用)』について紹介しました。

今回紹介した損失申告については、しっかり確定申告をしておかないと翌年以降に繰越す際にも税務署が把握できません。

基本的には申告義務がなくなるとはいえ「所得がマイナスに転じる場合でも確定申告をする」ということを覚えておきましょう。

もし、損失申告のことを知らずに「一昨年がマイナスに転じたので、昨年は確定申告をしなかった」という方がいても安心してください。

前年から遡って3年以内の場合は『期限後申告』で損失分を申告することができます。

ただでさえ事業がマイナスに転じた場合は運営や生活が苦しくなるもの。

損失申告で以後の事業で手元に残るキャッシュをしっかりと増やす準備をしましょう。

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