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2019.12.16

『要介護ならOK』は間違い?障害者控除の認定基準

『要介護ならOK』は間違い?障害者控除の認定基準

所得税や住民税を算出する際には、基礎控除、配偶者控除、扶養控除など様々な控除を受けることができます。

これら各種控除の中で、実は誤解が多いのが『障害者控除』です。

「要介護認定を受けた親がいるから、障害者控除控除を受けられる」と思っている方がいますが、障害者控除の認定要件は要介護度のみでは満たされません。

今回は障害者控除の認定基準について紹介しましょう。

1 障害者控除とは?

障害者控除とは、読んで字のごとく、納税者が障害者である場合または障害者を扶養する場合に受けられる控除です。

障害の等級によって『障害者』と『特別障害者』、特別障害者と同居または生計を一つにしている場合は『同居特別障害者』に分類されます。

控除額もそれぞれ異なり、

・所得税の場合は障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円

・住民税の場合は障害者26万円、特別障害者30万円、同居特別障害者53万円

が所得控除されます。

2 認定基準の肝は『適用法令』にアリ!

障害者控除が適用されるには、まさにズバリ「障害者であること」が要件となりますが、実はこの要件が限定的であり、思いの外該当しない場合があるのです。

この場合の障害者とは「税法上の障害者」という考え方をする必要があります。

では、どのような要件を満たせば税法上の障害者になるのか、順に見ていきましょう。

1 常に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態にある人(=特別障害者)

2 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判断により知的障害者と判定された人(重度の場合は特別障害者)

3 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(障害等級1級は特別障害者)

4 身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に身体上の障害がある人として記載されている人(障害等級1級または2級は特別障害者)

5 精神または身体に障害者のある年齢65歳以上の人で、障害の程度が1、2または4に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人(市町村長等や福祉事務所長から特別障害者の認定を受けている人は特別障害者)

6 戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人(恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は特別障害者)

7 原子爆弾被爆者に対する援護にかんする法律の規定により厚生労働大臣の認定基準を受けている人(=特別障害者)

8 その年の12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で複雑な介護を必要とする人(=特別障害者)

以上8項目のいずれかを満たす場合は障害者控除の対象となります。

ここで問題となるのはタイトルにも掲げたとおり『要介護認定』です。

要介護認定の根拠となっている法律は『介護保険法』であり、上記8項目には登場しません。

「ウチの父は要介護認定を受けている障害者だから障害者控除を受けられるだろう」と思いきや、介護保険法によって障害者と認定されているだけであり、税法上の障害者とは認められないのです。

ただし要介護認定を受けている場合は⑤の要件にある「市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人」に該当すると判断される場合もあります。

各自治体の運用によって異なりますが、市町村長等から『障害者控除対象者認定』を受けることができれば障害者控除の対象者となるので、要介護認定を受けている家族がいる方は市町村の税務窓口に相談すると良いでしょう。

3 まとめ

障害者控除の認定基準について紹介しました。

単に「介護認定を受けていれば障害者控除を受けられる」というのは間違いですが、認定基準を満たす要件として判断されることもあるので、市町村への相談は必須となります。

この逆で、市町村から障害者控除対象者認定を受けていれば、要介護認定を受けていなくても障害者控除が受けられます。

重要なポイントは

「どの法令によって障害者と認定されているのか?」

「市町村長から障害者控除対象者認定を受けているのか?」

となることを覚えておきましょう

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