設備投資で使える減税とは?中小企業経営強化税制・投資促進税制を税理士が解説【2026年版】

「機械やソフトを買うなら、使える税制優遇があると聞いた」「即時償却と税額控除は、どちらを選べば得なのか」——設備投資を検討する経営者から、税理士法人 小山・ミカタパートナーズには、こうした設備投資減税に関するご相談が数多く寄せられます。中小企業が設備投資をするとき、税負担を大きく軽くできる2つの代表的な制度が、中小企業経営強化税制中小企業投資促進税制です。うまく使えば、買った年に取得価額の全額を経費にしたり(即時償却)、税額そのものを7〜10%減らしたり(税額控除)できます。 一方で、この2つは対象設備・手続き・優遇の中身が異なり、特に経営強化税制は「設備を買う前に計画の認定を受ける」という段取りを外すと使えません。どちらの制度で、即時償却と税額控除のどちらを選ぶかで、手元に残るキャッシュも変わります。本記事では、両制度の違いと使い分けを、国税庁の一次情報にもとづいて網羅的に解説します(いずれも適用期限は令和9年(2027年)3月31日まで)。
📋 この記事の目次
  1. 1. 設備投資減税は2つある(3行サマリー)
  2. 2. 中小企業投資促進税制(措置法42条の6)
  3. 3. 中小企業経営強化税制(措置法42条の12の4)
  4. 4. 即時償却と税額控除はどちらが得か
  5. 5. 設備投資減税でやりがちな失敗と王道
  6. 7. まとめ
  7. よくある質問(FAQ)

1. 設備投資減税は2つある(3行サマリー)

  • 中小企業投資促進税制——一定の機械装置などを買うと、特別償却30%(通常の減価償却に取得価額の30%を上乗せ)または税額控除7%が使える制度です。事前の計画認定は不要で、申告だけで適用できる手軽さが特長です(国税庁No.5433)。
  • 中小企業経営強化税制——経営力向上計画の認定を受けて対象設備を買うと、即時償却(取得価額の全額を初年度に損金)または税額控除10%(資本金3,000万円超は7%)が使える、より効果の大きい制度です(国税庁No.5434)。
  • どちらも令和9年3月31日まで——両制度とも、令和7年度税制改正で適用期限が令和9年(2027年)3月31日までに延長されました。設備の取得・事業供用がこの期限内であることが必要です。
💡 大まかには、手軽さの投資促進税制/効果の大きい経営強化税制と整理できます。経営強化税制のほうが即時償却・税額控除10%と優遇が大きい分、経営力向上計画の認定という手続きが必要です。同じ設備なら、まず経営強化税制が使えないかを検討し、要件や段取りが合わなければ投資促進税制、という順で考えるのが実務です。

2. 中小企業投資促進税制(措置法42条の6)

まず手軽に使えるのが中小企業投資促進税制です(租税特別措置法第42条の6、国税庁タックスアンサーNo.5433)。青色申告の中小企業者等が対象設備を取得して事業に使った場合に、次のいずれかを選べます。

優遇の種類内容使える法人
特別償却基準取得価額の 30% を通常の減価償却に上乗せ資本金1億円以下の中小企業者等
税額控除基準取得価額の 7% を法人税額から控除資本金 3,000万円以下 の法人・個人のみ

対象となる主な設備(いずれも新品)

  • 機械装置:1台または1基の取得価額が160万円以上
  • 一定の工具・測定検査工具(一定金額以上)
  • ソフトウェア:1つの取得価額が70万円以上(複数合計で70万円以上を含む)
  • 貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)、内航船舶(取得価額の一部)

手続きは簡単で、経営力向上計画などの事前認定は不要です。対象設備を取得・事業供用し、確定申告書に必要な明細を添付するだけで適用できます。税額控除は控除しきれない額を1年間繰り越せます(控除は当期の法人税額の20%が上限。経営強化税制と合わせての上限です)。適用期限は取得・事業供用が令和9年3月31日までです。

3. 中小企業経営強化税制(措置法42条の12の4)

より効果が大きいのが中小企業経営強化税制です(租税特別措置法第42条の12の4、国税庁タックスアンサーNo.5434)。中小企業等経営強化法にもとづく経営力向上計画の認定を受け、その計画に記載した特定経営力向上設備等を取得・事業供用した場合に、次のいずれかを選べます。

優遇の種類内容
即時償却取得価額の 全額 を、事業に使った年度の損金に算入できる
税額控除取得価額の 10%(資本金 3,000万円超 1億円以下の法人は 7%)を法人税額から控除

対象設備の類型(計画にどの類型で載せるかを決めます)

類型内容確認する先
A類型(生産性向上設備)旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上する設備工業会等の証明書
B類型(収益力強化設備)投資利益率が年平均 7%以上 となる投資計画の設備経済産業局の確認
D類型(経営資源集約化設備)M&A(事業承継等)の後に、修正ROA等を高める設備経済産業局の確認
E類型(経営規模拡大設備)売上高100億円超を目指す中小企業向け(令和7年度に新設)経済産業局の確認
💡 C類型(デジタル化設備)は令和7年(2025年)3月31日で廃止され、代わりに売上高100億円超を目指す企業向けのE類型が新設されました(令和7年度税制改正)。またB類型の投資利益率の要件が、年平均5%以上から7%以上に引き上げられています。「以前の情報でC類型で申請しようとしていた」という取り違えに注意してください。

最大の注意点は手続きの順番です。経営強化税制は原則として、設備を取得する前に経営力向上計画の認定を受けておく必要があります。類型に応じた証明書・確認書の取得から計画の申請・認定まで時間がかかるため、設備投資を決めたら早い段階で逆算して動くことが不可欠です。適用期限は取得・事業供用が令和9年3月31日までです。

4. 即時償却と税額控除はどちらが得か

両制度に共通する最大の悩みが、即時償却(特別償却)と税額控除のどちらを選ぶかです。性質がまったく違います。

即時償却は、買った年に取得価額の全額を損金にできて節税額が大きく見えます。しかしこれは課税の繰り延べです。通常なら数年に分けて計上する減価償却費を前倒しするだけで、トータルの損金額は変わりません。翌年以降は償却費が減る(またはなくなる)ため、その分だけ将来の所得(税金)は増えます。

税額控除は、取得価額の7〜10%を法人税額そのものから直接引く制度です。減価償却は通常どおり別に計上できるため、トータルの税負担が確実に減ります。ただし控除額は当期の法人税額の20%が上限で、超過分は1年しか繰り越せないため、十分な黒字(納税)が出ていることが前提になります。

大まかな使い分けは次のとおりです。

⭕ 税額控除は「純粋な減税」
  • 即時償却が向く——今期に大きな利益が出ていて税負担が重く、まず手元資金を厚くしたい。将来も継続して利益が出る見込みで、繰り延べのデメリットが小さい。
  • 税額控除が向く——毎期安定して黒字(納税)があり、トータルの税額を確実に減らしたい。設備を長く使い、減価償却も通常どおり計上したい。
💡 資金繰りを最優先するなら即時償却、トータルの得を取るなら税額控除、が基本の考え方です。実際には利益計画・資金繰り・翌期以降の設備投資予定をあわせて試算し、どちらが自社にとって有利かを決めます。

5. 設備投資減税でやりがちな失敗と王道

❌ 設備投資減税でやってしまいがちな失敗
  • 経営強化税制で、設備を取得・事業供用してから経営力向上計画を出そうとして間に合わない(原則は取得前の認定)
  • C類型で申請する前提で進めてしまう(令和7年3月末で廃止済み)
  • 税額控除を選んだが当期の黒字が小さく、控除枠(法人税額の20%)を使い切れない
  • 中古資産・貸付用資産は原則対象外なのに、対象と誤認して申告する
  • 補助金と併用したが、圧縮記帳との関係を整理せず二重取りのように処理してしまう
⭕ 設備投資減税を活かす王道
  • 設備投資を決めたら、取得の前に「どちらの制度・どの類型・即時償却か税額控除か」を税理士と設計する
  • 経営強化税制は、証明書・確認書の取得から計画認定までのスケジュールを逆算して動く
  • 即時償却か税額控除かは、利益計画と資金繰りで試算して選ぶ(迷ったら継続黒字なら税額控除が有利なことが多い)
  • ものづくり補助金などの補助金との併用可否、圧縮記帳の適用を事前に確認する
  • 対象設備の要件(金額・新品・事業供用時期)を、発注前にチェックする

よくある質問(FAQ)

中小企業経営強化税制と投資促進税制は、何が違うのですか?

投資促進税制は、事前の計画認定が不要で、特別償却30%または税額控除7%が使える手軽な制度です(国税庁No.5433)。経営強化税制は、経営力向上計画の認定を受ける必要がある代わりに、即時償却または税額控除10%(資本金3,000万円超は7%)と優遇が大きい制度です(国税庁No.5434)。効果が大きいのは経営強化税制ですが、手続きに時間がかかります。

即時償却と税額控除は、どちらを選ぶべきですか?

即時償却は取得価額の全額を初年度に損金化できますが、これは課税の繰り延べで、トータルの税負担は変わりません。税額控除は取得価額の7〜10%を法人税額から直接引く純粋な減税です。今すぐ資金を厚くしたいなら即時償却、トータルで得をしたいなら税額控除が基本で、利益計画と資金繰りをあわせて判断します。

設備を買った後でも経営強化税制は使えますか?

原則として、経営強化税制は設備を取得する前に経営力向上計画の認定を受けておく必要があります。認定には証明書・確認書の取得など時間がかかるため、設備投資を決めたら早めに逆算して手続きを始めてください。事前の準備を怠ると、優遇が受けられなくなります。

適用期限はいつまでですか?

中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制とも、令和7年度税制改正で適用期限が令和9年(2027年)3月31日までに延長されました。対象設備の取得・事業供用がこの期限内であることが必要です。

補助金でもらった設備でも減税は使えますか?

補助金を受けた設備でも制度自体は使えますが、補助金には圧縮記帳(受贈益を繰り延べる処理)が絡むため、特別償却・税額控除との関係を整理する必要があります。二重に有利になりすぎないよう調整するルールがあるため、補助金と設備投資減税を併用する場合は、事前に処理方法を確認してください。

7. まとめ

設備投資をする中小企業には、税負担を大きく軽くできる2つの制度があります。要点は次のとおりです。

  • 中小企業投資促進税制は、事前認定不要で特別償却30%または税額控除7%(資本金3,000万円以下)。機械装置160万円以上・ソフト70万円以上などが対象(国税庁No.5433)。
  • 中小企業経営強化税制は、経営力向上計画の認定を受けて即時償却または税額控除10%(資本金3,000万円超は7%)。A・B・D・E類型があり、C類型は令和7年3月末で廃止(国税庁No.5434)。
  • 即時償却は課税の繰り延べ、税額控除は純粋な減税。資金繰り重視なら即時償却、トータルの得なら税額控除。
  • どちらも令和9年3月31日まで。経営強化税制は原則取得前の計画認定が必須で、段取りの逆算が成否を分ける。

「機械やソフトの投資で、どちらの制度が使えるか診断したい」「即時償却と税額控除のどちらが自社に有利か試算したい」「経営力向上計画の認定スケジュールを組みたい」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、公認会計士・税理士・米国公認会計士のトリプルホルダーの視点で、設備投資減税の制度選択から即時償却・税額控除の有利判定、経営力向上計画・補助金との併用設計までを一体で伴走します。設備の発注を決める前の、お早めの段階でご相談ください。

出典・参考資料

ご利用上の留意事項
本記事は、中小企業の設備投資に係る税制優遇に関する一般的な情報提供であり、個別の税務判断に代わるものではありません。対象設備・適用要件・優遇割合・適用期限・経営力向上計画の認定手続き等は、法人の区分・設備の種類・取得時期等の事実関係により異なり、制度の要件は改正により変わることがあります。実際の適用にあたっては、税理士等の専門家および認定機関にご確認ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年7月14日

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」を掲げ、税務顧問・改正対応から資産防衛・相続・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp

この記事は執筆時点の法令・通達に基づいています。最終確認日:2026年8月2日(現行制度との照合を実施)。税制は改正されます。実際のご判断の前に、最新の情報をご確認いただくか、税理士法人 小山・ミカタパートナーズまでご相談ください。