同族会社の行為計算否認の決定版|法人税法132条の「不当」とは何か・最高裁の2つの基準を税理士が解説【2026年版】

契約書もある。株主総会の議事録もある。会社法上も何の問題もない。それでも税務署が「その計算は認めません」と言える条文が、法人税法にあります。 同族会社等の行為又は計算の否認(法人税法132条)です。この規定は、私法上まったく有効な取引であっても、それを容認すると法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるときに、税務署長が自分の認めるところにより所得金額を計算し直せるという、極めて強い権限を定めています。 そして日本の会社の圧倒的多数は「同族会社」に該当します。株主3人以下とその同族関係者で発行済株式の50%超——オーナー企業なら、まず間違いなく入ります。 問題は「不当」の中身です。ここは条文に書いてありません。最高裁が判例で埋めてきました。しかも、法人税法132条1項と132条の2では、同じ「不当に」という文言に異なる基準が示されています。 「グループ会社間の貸付けは大丈夫か」「持株会社を作って借入れで株式を買うスキームを勧められた」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズにも、この規定をめぐるご相談は実際に寄せられます。本記事では、条文の地図・2つの判断基準・実務で問題になる場面・混同されやすい制度との違いまでを、税理士が網羅的に解説します。
📋 この記事の目次
  1. 1. 結論(3行サマリー)
  2. 2. 「同族会社」の範囲は思っているより広い
  3. 3. 否認規定は1本ではない――5つの条文の地図
  4. 4. 「不当」の基準①:経済合理性基準(法人税法132条1項)
  5. 5. 「不当」の基準②:制度濫用基準(法人税法132条の2)
  6. 6. 実務でどこが問題になるか
  7. 7. 混同されやすい3つの制度との違い
  8. 8. 近年の動きをどう受け止めるか
  9. 9. まとめ
  10. 出典・参考資料
  11. よくある質問(FAQ)

1. 結論(3行サマリー)

  • 同族会社の行為・計算で、これを容認した場合に法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるとき、税務署長はその行為・計算にかかわらず所得金額や税額を計算できます(法人税法132条1項)
  • 「不当」の判断基準は、132条1項は経済合理性基準(純経済人の行為として不合理・不自然か)、132条の2は制度濫用基準(組織再編成に関する税制の各規定を租税回避の手段として濫用したか)です
  • 否認規定は法人税だけではありません。所得税法157条・相続税法64条にも同じ構造の規定があり、法人税で否認されると株主個人の所得税・相続税にも波及します(法人税法132条3項)
⚠️ 「契約書があるから大丈夫」は通用しません … この規定は、私法上の法律行為が有効であることを前提に、税額の計算だけを引き直すものです。形式が整っていることは、否認されない理由になりません。判断されるのは、その取引に経済的な合理性があるかです。

2. 「同族会社」の範囲は思っているより広い

まず、自社が対象になるかを確認します。

法人税法は同族会社をこう定義しています。会社の株主等の3人以下、ならびにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人および法人が、その会社の発行済株式または出資の総数または総額の50%を超える数または金額の株式または出資を有する場合その他政令で定める場合における、その会社(法人税法2条10号)。

「特殊の関係のある個人」=同族関係者

政令が定める個人の範囲は次のとおりです(法人税法施行令4条1項)。

  • 株主等の親族
  • 株主等と婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者
  • 個人である株主等の使用人
  • 上記以外の者で、株主等から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの
  • 上記の者と生計を一にするこれらの者の親族

法人については、判定会社の株主等の1人(およびその特殊関係個人)が他の会社を支配している場合のその他の会社が同族関係者になります(同条2項)。「支配している場合」とは、発行済株式の50%超を有する場合、または事業の重要な部分の譲渡・解散・合併等の決議に係る議決権役員の選任・解任に関する決議に係る議決権の50%超を有する場合などです(同条3項)。

つまり、社長とその家族、社長の別会社を合わせて50%を超えれば同族会社です。オーナー企業・資産管理会社・持株会社は、ほぼ確実に該当します。

同族会社でなくても対象になる法人がある

見落とされやすいのですが、法人税法132条1項は、同族会社以外の法人も対象にしています。次の3つすべてに該当する内国法人です(同項2号)。

  • 3以上の支店、工場その他の事業所を有すること
  • その事業所の2分の1以上に当たる事業所につき、その事業所の所長・主任その他の事業の主宰者またはその親族等(所長等)が、前にその事業所において個人として事業を営んでいた事実があること
  • その事実がある事業所の所長等が有する株式・出資の合計額が、発行済株式・出資の3分の2以上に相当すること

個人事業を法人化して束ねた形態を想定した規定です。

3. 否認規定は1本ではない――5つの条文の地図

「行為計算否認」と一括りにされますが、条文は複数あり、税目も適用場面も異なります

条文税目
法人税法132条法人税
法人税法132条の2法人税(組織再編成)
法人税法132条の3法人税(通算法人)
所得税法157条所得税(株主等)
相続税法64条相続税・贈与税
  • 法人税法132条(同族会社等の行為又は計算の否認)……同族会社等の法人税。最も一般的
  • 法人税法132条の2(組織再編成に係る行為又は計算の否認)……合併・分割・現物出資・現物分配・株式交換等・株式移転に係る法人税。同族会社でなくても適用されます
  • 法人税法132条の3(通算法人に係る行為又は計算の否認)……グループ通算制度を適用する通算法人の法人税
  • 所得税法157条(同族会社等の行為又は計算の否認等)……同族会社の行為・計算により、株主等である居住者の所得税の負担を不当に減少させる場合
  • 相続税法64条(同族会社等の行為又は計算の否認等)……同族会社等の行為・計算により、その株主・社員やその親族等の相続税・贈与税の負担を不当に減少させる場合

1つ否認されると、他の税目にも波及する

条文は互いを参照しあっています。法人税法132条1項の規定は、所得税法157条1項・相続税法64条1項・地価税法32条1項の適用があったときについて準用されます(法人税法132条3項)。所得税法157条3項、相続税法64条2項にも同じ構造の準用規定があります。

つまり、会社側で否認されれば、株主個人の所得税や相続税・贈与税の側でも引き直しが起こりうるということです。「法人税だけの問題」と考えるのは危険です。

132条の2は組織再編成の当事者以外にも及ぶ

132条の2は、更正・決定の対象となる法人を3つ挙げています(同条各号)。

  • 合併等をした法人、または合併等により資産・負債の移転を受けた法人
  • 合併等により交付された株式を発行した法人
  • 上記の法人の株主等である法人

再編の当事会社だけでなく、その株主である法人も対象です。持株会社を挟んだグループ再編では、この点の確認が要ります。

4. 「不当」の基準①:経済合理性基準(法人税法132条1項)

条文に「不当」の定義はありません。ここを埋めてきたのが最高裁です。

国税庁の税務大学校が公表した論説は、132条1項の不当性要件について、最高裁が従来から「純経済人の行為として不合理・不自然かどうか」という経済合理性基準で判断すると判示してきたと整理しています。経済合理性基準を確定したとされるのは最高裁 昭和53年4月21日判決で、その原審である札幌高裁 昭和51年1月13日判決が基準を示したとされています。

ユニバーサルミュージック事件で枠組みが具体化された

この基準を、現代的な国際的グループ内取引にあてはめたのがユニバーサルミュージック事件です。

最高裁 令和4年4月21日 第一小法廷判決(令和2年(行ヒ)第303号、民集76巻4号480頁)。日本法人が同一企業グループのフランス法人から資金を借り入れ、その支払利息を損金に算入したところ、課税庁が一連の組織再編等を不自然・不合理として法人税法132条により更正処分を行った事案です。最高裁は国の上告を棄却し、納税者が勝訴しました

判決が示した枠組みは、実務上そのまま使えます。

  • 不当性要件にいう行為・計算とは、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものであって、法人税の負担を減少させる結果となるものをいう
  • 同族会社による金銭の借入れについては、その借入れの目的や融資条件等の諸事情を総合的に考慮して判断すべき
  • 借入れを含む一連の取引全体が経済的合理性を欠くときは、その借入れは目的において不合理と評価される

ポイントは2つです。第一に、「税金が減ったこと」自体は否認の理由にならないこと。減少に加えて経済的合理性の欠如が必要です。第二に、判断の単位が借入れ単体ではなく一連の取引全体でありうること。個々の契約が市場条件に沿っていても、全体の設計が説明できなければ危ういという意味です。

5. 「不当」の基準②:制度濫用基準(法人税法132条の2)

同じ「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」という文言でも、組織再編成の否認規定(132条の2)については別の基準が示されています。

ヤフー事件・最高裁 平成28年2月29日判決(民集70巻2号242頁)。これは132条の2に関する最高裁の初めての判断で、「不当に」の意義を、組織再編成に関する税制に係る各規定を租税回避の手段として濫用することと示しました。

そのうえで、該当性の判断において考慮すべき事情として、次の2点が挙げられています。

  • その行為・計算が、通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり、実態とはかい離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるかどうか
  • 税負担の減少以外に、そのような組織再編成を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか

同じ文言に2つの基準がある、という事実を押さえる

税務大学校の論説は、この状況を「両条文の同じ文言における不当性要件について、最高裁で異なる解釈が示されている」と整理しています。実務家として重要なのは、学説上の当否ではなく、適用条文によって主張の組み立て方が変わるという点です。

  • 132条1項で争われるなら、経済的合理性(取引の目的・条件・一連の設計の合理性)を説明する
  • 132条の2で争われるなら、制度の趣旨・目的に照らした濫用でないこと、すなわち事業目的の存在手順・形式の自然さを説明する
💡 正式名称で押さえる … 根拠条文は法人税法第132条(同族会社等の行為又は計算の否認)同第132条の2(組織再編成に係る行為又は計算の否認)同第132条の3(通算法人に係る行為又は計算の否認)所得税法第157条(同族会社等の行為又は計算の否認等)相続税法第64条(同族会社等の行為又は計算の否認等)です。同族会社の定義は法人税法第2条第10号、同族関係者の範囲は法人税法施行令第4条にあります。

6. 実務でどこが問題になるか

否認規定が持ち出されやすいのは、「税務上の効果が大きく、事業上の説明が弱い」取引です。実務では次の場面で論点になります。

(1) グループ内の借入れ・債務の付け替え

親会社や海外関連会社から資金を借り、支払利息を損金にする設計です。ユニバーサルミュージック事件そのものの構図であり、借入れの目的・融資条件・資金使途・返済計画の説明が要になります。金利水準が独立当事者間の条件と整合していることは前提であって、それだけでは十分ではありません。

(2) 資産管理会社・持株会社の設立と株式の移動

オーナーの資産を法人に移す設計は、それ自体が否認対象になるものではありません。問題は、設立や株式移動の順序・時期・価格が、税負担の減少以外の理由で説明できるかどうかです。

(3) 役員報酬・役員退職金の水準

不相当に高額な役員給与は損金不算入の規定(法人税法34条2項)で処理されるのが通常ですが、同族関係者への支給の設計そのものが問題視される局面もあります。

(4) 不動産の同族間売買・賃貸借

時価と乖離した価格での売買、相場と乖離した賃料設定は、低額譲渡や寄附金の論点と重なりつつ、行為計算否認の対象にもなりえます。

(5) 組織再編成による欠損金の引継ぎ

繰越欠損金を持つ会社を取り込む再編は、132条の2の中心的な適用場面です。ヤフー事件はまさにこの類型でした。事業目的の記録が決定的に重要になります。

❌ よくある失敗
  • 契約書と議事録さえ整えれば否認されないと考える
  • 税務メリットの説明資料しか残っていない(取締役会に出したのが節税効果の試算だけ)
  • グループ内の貸付けを、返済計画も資金使途の記録もないまま続ける
  • 再編の順序を税額試算だけで決め、事業上の理由を後から作る
  • 法人税だけを見て、株主個人の所得税・相続税への波及を確認しない
⭕ 王道の進め方
  • 取引を決める会議の資料に、税負担以外の事業目的を必ず併記して残す
  • グループ内融資は、目的・金額・金利・返済計画・資金使途を独立当事者間の取引として書面化する
  • 再編は手順と時期の理由を記録する(「なぜこの順序か」「なぜこの時期か」)
  • 一連の取引を全体として説明できるかを、着手前に第三者の目で点検する
  • 法人税・所得税・相続税の3税目に分けて影響を洗い出す
💬 実務の現場から
過去のご相談の傾向として申し上げると、否認のリスクが高い案件には共通点があります。提案を受けた側が、その取引の事業上の意味を自分の言葉で説明できないことです。税負担の計算は精緻なのに、「なぜこの会社をこの順番で作るのか」を尋ねると答えが出てこない。守秘義務がありますので詳細は控えますが、構図としては、税効果の資料しか残っていない案件ほど、後から事業目的を立証しにくくなるというのが実感です。私たちが関与する場面では、実行前に「税務メリットを全部消しても、この取引をやる理由があるか」を確認するようにしています。

7. 混同されやすい3つの制度との違い

行為計算否認は、名前や効果が似た制度と取り違えられがちです。整理します。

(1) 財産評価基本通達6項(総則6項)との違い

総則6項は、相続税・贈与税の財産評価において、通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる場合に、国税庁長官の指示を受けて評価する取扱いです。適用されるのは評価額であり、取引そのものを引き直すものではありません。これに対し相続税法64条は、同族会社等の行為・計算を否認して課税価格を計算し直す規定です。根拠が通達か法律かという違いもあります。

(2) 同族会社の留保金課税との違い

特定同族会社の留保金課税は、一定の同族会社が所得を社内に留保した場合に追加の法人税を課す制度です。行為計算否認と異なり、個別の取引の合理性を問うものではなく、留保額に応じて機械的に課税されます。同じ「同族会社」を対象にしますが、性質はまったく違います。

(3) 寄附金・役員給与の損金不算入との違い

グループ内の資金移動や役員への支給は、まず寄附金の損金不算入(法人税法37条)や役員給与の損金不算入(同法34条)といった個別規定で処理されます。行為計算否認は、個別規定では捉えきれない場合の受け皿として位置づけられるものです。実務では、まず個別規定の適用を検討し、そのうえで否認規定のリスクを見る順序になります。

8. 近年の動きをどう受け止めるか

法人税法132条の2をめぐっては、ヤフー事件以降、課税庁側の主張が認められる事例が続いてきましたが、報道によれば、繰越欠損金の引継ぎが争われた事案(いわゆるPGM事件)について、東京地方裁判所は令和6年9月27日に納税者の主張を認め、東京高等裁判所も令和7年7月23日に国の控訴を棄却したとされています。完全支配関係にある法人間の適格合併について、事業の移転および合併後の事業の継続は不当性要件の判断において特に重視すべき要素とはいえないとの判断が示されたと報じられています。

もっとも、実務の設計は確定した最高裁判例を基準に組み立てるのが原則です。すなわち、132条1項は経済合理性基準(ユニバーサルミュージック最判)132条の2は制度濫用基準(ヤフー最判)という2本の柱で考え、そのうえで下級審の動向を参考情報として見る、という順序になります。

なお、財務省が公表した「令和8年度 税制改正の解説」のうち、所得税法等の改正・法人税法等の改正・租税特別措置法等(所得税関係)の改正・同(法人税関係)の改正の全文を検索したところ、「行為又は計算」「第132条」「否認」のいずれも0件でした。令和8年度税制改正による行為計算否認規定の見直しは行われていません。条文は動いていないが、解釈は判例で動く——この規定の性格を端的に表しています。

9. まとめ

  • 同族会社等の行為・計算で法人税の負担を不当に減少させる結果となるものは、税務署長が引き直すことができます(法人税法132条1項)。私法上有効な取引であっても対象です
  • 「同族会社」は株主等3人以下とその同族関係者で発行済株式の50%超。オーナー企業はほぼ該当します(同法2条10号、同法施行令4条)
  • 「不当」の基準は条文ごとに違います。132条1項=経済合理性基準(最高裁 令和4年4月21日・ユニバーサルミュージック事件)、132条の2=制度濫用基準(最高裁 平成28年2月29日・ヤフー事件)
  • 否認は法人税だけで終わりません。所得税法157条・相続税法64条に同じ構造の規定があり、株主個人にも波及します
  • 実務の防御は書式ではなく記録です。税負担の減少以外の事業目的を、意思決定の時点で書き残しておくことに尽きます

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よくある質問(FAQ)

当社は同族会社ですか?

株主等の3人以下と、これらの同族関係者(親族・事実婚の相手・使用人・生計維持者など)が、発行済株式または出資の総数・総額の50%を超えて保有していれば同族会社です(法人税法2条10号、同法施行令4条)。社長個人の持株が50%以下でも、家族や社長が支配する別会社の持分を合算して判定します。

契約書があり、会社法上の手続も踏んでいます。それでも否認されますか?

されることがあります。この規定は私法上の法律行為の有効性を否定するものではなく、税額の計算だけを引き直すものです。手続の適正さは否認されない理由になりません。判断されるのは経済的合理性です。

「不当に減少」とは、税金が減れば該当するということですか?

違います。最高裁は、不当性要件にいう行為・計算を「経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものであって、法人税の負担を減少させる結果となるもの」と判示しています(最高裁 令和4年4月21日第一小法廷判決)。税負担の減少に加えて、経済的合理性の欠如が必要です。

132条1項と132条の2で基準が違うのはなぜですか?

最高裁が、132条の2の「不当に」の意義を「組織再編成に関する税制に係る各規定を租税回避の手段として濫用すること」と示した一方(ヤフー事件・最高裁 平成28年2月29日判決)、132条1項については従来から純経済人の行為として不合理・不自然かどうかという経済合理性基準で判断してきたためです。国税庁の税務大学校の論説も、両条文の同じ文言について異なる解釈が示されていると整理しています。実務ではどの条文で争われるかによって主張の組み立てが変わると理解してください。

同族会社でなければ132条の2は関係ありませんか?

関係あります。132条の2は組織再編成に係る規定であり、条文上、同族会社であることは要件になっていません。合併等をした法人、資産・負債の移転を受けた法人、交付された株式を発行した法人、およびこれらの株主等である法人が対象です。

法人税で否認されると、社長個人にも影響しますか?

ありえます。法人税法132条1項の規定は、所得税法157条1項・相続税法64条1項・地価税法32条1項の適用があったときについて準用されると定められており(法人税法132条3項)、所得税法157条3項・相続税法64条2項にも同趣旨の準用規定があります。法人税・所得税・相続税の3方向で影響を確認する必要があります。

総則6項と同じものですか?

違います。財産評価基本通達6項は、相続税・贈与税の財産評価が著しく不適当な場合に国税庁長官の指示を受けて評価する通達上の取扱いです。相続税法64条は、同族会社等の行為・計算を否認して課税価格を計算し直す法律上の規定です。根拠も対象も異なります。

否認されないために、いま何をしておくべきですか?

意思決定の時点で、税負担の減少以外の事業目的を書面に残すことです。取締役会や経営会議の資料に節税効果の試算しか残っていない状態が、最も立証に困ります。グループ内融資であれば目的・金額・金利・返済計画・資金使途を、再編であれば手順と時期を選んだ理由を、実行前に記録してください。

出典・参考資料

スキームの実行前リスク評価は KMP へ

公認会計士・税理士・米国公認会計士のトリプルホルダーの視点で、グループ内融資・持株会社の設計・資産管理会社を使った承継について、行為計算否認のリスク評価と、後から立証できる記録の整え方をご支援しています。提案されたスキームの安全性に迷われた段階でご相談ください。実行後に事業目的を作ることはできません。

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士

この記事は執筆時点の法令・通達に基づいています。最終確認日:2026年8月2日(現行制度との照合を実施)。税制は改正されます。実際のご判断の前に、最新の情報をご確認いただくか、税理士法人 小山・ミカタパートナーズまでご相談ください。