副業の税金は「20万円」がカギ|確定申告・住民税・事業所得と雑所得を税理士が解説【2026年版】

「副業の収入が20万円を超えたら確定申告がいるって本当?」「会社にバレずに副業したい」「副業の利益は事業所得?それとも雑所得?」——働き方が多様になり、副業に取り組む方が増えるなかで、税理士法人 小山・ミカタパートナーズにも、毎年この時期になると副業の税金に関するご相談が数多く寄せられます。とくに住民税の決定通知が会社に届く6月前後は、「副業が会社に知られないか」というご質問が増えます。 副業の税金は、ポイントを押さえれば決して難しくありません。本記事では、誤解されやすい「20万円ルール」の正体所得税と住民税の違い、そして税額を大きく左右する「事業所得」と「雑所得」の分かれ目まで、2026年(令和8年)時点の最新の取扱いで、網羅的に整理します。数字は国税庁の一次情報で裏づけたうえで解説します。
📋 この記事の目次
  1. 1. 副業の税金、まず押さえる3つの結論(3行サマリー)
  2. 2. 「20万円ルール」の正体——所得税は不要でも住民税は必要
  3. 3. 副業は何所得?「事業所得」と「雑所得」の分かれ目
  4. 4. 「事業所得」か「雑所得」かで、税金はこんなに変わる
  5. 5. 副業は会社にバレる?住民税の「普通徴収」という論点
  6. 7. まとめ
  7. よくある質問(FAQ)

1. 副業の税金、まず押さえる3つの結論(3行サマリー)

  • 会社員の副業は、給与・退職以外の所得が年20万円を超えると所得税の確定申告が必要です(これが「20万円ルール」)。
  • ただし20万円以下でも住民税の申告は別途必要です。住民税に20万円の特例はありません。ここが最大の落とし穴です。
  • 副業の利益が「事業所得」か「雑所得」かで、損益通算・青色申告特別控除・損失の繰越が使えるかが変わり、納める税金が大きく違ってきます。

この3つを順番に解説していきます。

2. 「20万円ルール」の正体——所得税は不要でも住民税は必要

20万円は「収入」ではなく「所得」

まず大前提として、副業の税金で出てくる「20万円」は、売上などの収入金額ではなく、収入から必要経費を引いた「所得」の金額です。

💡 所得 = 収入金額 − 必要経費。たとえば副業の売上が50万円でも、経費が35万円かかっていれば所得は15万円となり、20万円以下になります。

確定申告が必要になる「20万円ルール」

国税庁 タックスアンサー No.1900 では、給与所得者で確定申告が必要となる人として、次のように示されています。

💡 1か所から給与を受けていて年末調整が済んでいる方でも、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要です(国税庁 No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」)。

つまり、会社で年末調整を受けている会社員の場合、副業の所得が20万円を超えたら所得税の確定申告が必要、20万円以下なら所得税の確定申告は原則不要、というのが「20万円ルール」です。

❗ 住民税には「20万円ルール」がない

ここが、副業で最も多くの方が見落とすポイントです。20万円ルールはあくまで「所得税」の話であり、住民税にはこの特例がありません

副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない場合でも、住民税は1円の所得からでも申告が必要です。お住まいの市区町村へ住民税の申告を行います。これを怠ると、住民税の申告漏れとなります。

副業の所得所得税の確定申告住民税の申告
20万円超必要確定申告をすれば別途不要(税務署から市区町村へ連携)
20万円以下原則不要必要(市区町村へ住民税の申告)
💡 確定申告(所得税)をした場合は、その情報が市区町村へ回るため、別に住民税の申告をする必要はありません。住民税の申告が必要になるのは、「所得税の確定申告をしない(20万円以下など)が、副業の所得はある」というケースです。

20万円以下でも確定申告が必要になる場合

なお、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)、ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)などでそもそも確定申告をする人は、副業の所得が20万円以下であっても、その所得を含めて申告する必要があります。「20万円以下だから申告しなくてよい」は、確定申告自体をしない人に限った話だと理解してください。

3. 副業は何所得?「事業所得」と「雑所得」の分かれ目

副業の利益は、その実態によっておもに「事業所得」「雑所得(業務に係る雑所得)」に区分されます。原稿料・ネット販売・配達・コンサルティングなど、副業の多くはこのどちらかに該当します。

令和4年の通達改正——カギは「帳簿書類の保存」

かつて「副業収入300万円以下は一律で雑所得」とする案が示され、大きな議論になりました。しかしパブリックコメントを経て、令和4年10月7日付で所得税基本通達35-2が改正され、現在は次の考え方に整理されています。

💡 その所得を得る活動について帳簿書類の記帳・保存があれば、収入金額が300万円以下であっても、原則として「事業所得」に区分されます。一方、帳簿書類の記帳・保存がない場合は、原則として「業務に係る雑所得」に区分されます(令和4年10月7日付 所得税基本通達35-2の改正)。

ただし帳簿さえあれば必ず事業所得になるわけではなく、最終的には営利性・継続性・企画遂行性などを総合して社会通念で判定されます。たとえば、収入がごくわずかで赤字が続き、節税目的が明らかといったケースでは、帳簿があっても事業所得と認められないことがあります。

区分帳簿書類の記帳・保存原則の取扱い
事業所得あり収入300万円以下でも原則「事業所得」(社会通念で総合判定)
業務に係る雑所得なし原則「雑所得」

雑所得でも記帳・保存・書類添付が求められる場合

「雑所得だから記帳は不要」ではありません。前々年分の業務に係る雑所得の収入金額に応じて、次の義務が生じます(国税庁 No.2080 等)。

前々年の業務に係る雑所得の収入金額求められる対応
300万円以下特段の義務なし
300万円超現金預金取引等関係書類の保存(5年間)
1,000万円超確定申告書に収支内訳書の添付

4. 「事業所得」か「雑所得」かで、税金はこんなに変わる

事業所得と雑所得は、使える特典がまったく異なります。副業の手取りを左右する重要ポイントです。

項目事業所得業務に係る雑所得
他の所得との損益通算できる(赤字を給与所得などと相殺可)できない
青色申告特別控除(最大65万円)使える(要件を満たせば)使えない
純損失の繰越控除(3年)できるできない
青色事業専従者給与使える使えない
30万円未満の少額減価償却資産の特例使える(青色)使えない

たとえば、副業を始めた初年度に設備投資などで30万円の赤字が出た場合、事業所得(青色申告)なら給与所得と損益通算して所得税・住民税を減らせますが、雑所得では赤字を切り捨てとなり、給与の税金は1円も減りません。

❌ やりがちな失敗
  • 副業の利益を「雑所得」で申告し、青色申告特別控除(最大65万円)も損益通算も使えていなかった
  • 帳簿を一切つけず、「事業所得」として申告したが、実態が伴わず税務調査で雑所得に否認された
  • 赤字の副業を事業所得にして給与と相殺する「節税」だけを狙い、営利性・継続性を説明できなかった
⭕ 王道の対応
  • 副業を継続的・本格的に行うなら、開業届と青色申告承認申請書を提出し、日々帳簿をつけて保存する
  • 帳簿に基づき、実態として営利性・継続性・企画遂行性があることを説明できる状態にしておく
  • 青色申告特別控除(最大65万円)の電子申告・電子帳簿保存などの要件を確認し、特典を取りこぼさない
💡 青色申告特別控除の最大65万円は、正規の簿記による記帳に加え、e-Tax(電子申告)または優良な電子帳簿の保存などの要件を満たした場合に適用されます(国税庁 No.2072)。要件を満たさない場合は55万円・10万円となります。
💬 実務の現場から
——弊社にも、「副業を雑所得で申告していたが、本当は事業所得にできたのではないか」というご相談が実際に寄せられます。過去のご相談の傾向として申し上げると、副業を始めたばかりの方ほど、開業届や青色申告承認申請書の提出期限を逃し、初年度の有利な特典を使えていないケースが少なくありません。私たちが関与する場面では、副業の実態を丁寧に伺ったうえで、事業所得・雑所得のどちらが妥当か、青色申告でどこまで手取りを守れるかまで一緒に整理します。

5. 副業は会社にバレる?住民税の「普通徴収」という論点

「副業を会社に知られたくない」というご相談は非常に多いものです。仕組みを正しく理解しておきましょう。

なぜ会社に伝わるのか——住民税の特別徴収

会社員の住民税は通常、給与から天引きされます(特別徴収)。市区町村は、あなたの「給与+副業」の所得を合算して住民税を計算し、その通知を会社へ送ります。すると、給与の割に住民税が多いことから、副業の存在を会社が察知することがあります。住民税の決定通知が会社に届く5〜6月に表面化しやすいのは、このためです。

副業分を自分で納める「普通徴収」

副業が事業所得・雑所得である場合、確定申告書(または住民税の申告)で住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に選ぶと、副業分の住民税の納付書が自分宛に届き、会社の給与天引きとは切り離せる場合があります。

ただし注意点があります。

  • 副業がアルバイト・パートなどの「給与所得」の場合は、原則として普通徴収を選べません(給与は特別徴収が原則のため、本業の給与と合算される)。
  • 自治体の事務処理によっては、普通徴収を希望しても合算されることがあります。

そもそも「隠す」より「正しく申告」が鉄則

申告そのものをしない「無申告」は、もっとも避けるべき対応です。税務署は支払調書・反面調査・銀行口座・マイナンバーなどから所得を把握しており、副業の無申告・過少申告は、いずれ把握される前提で考えるべきです。発覚すれば、本来の税額に加えて無申告加算税・延滞税、悪質な場合は重加算税が課されます。会社の就業規則上の問題は税務とは別ですが、税務上は「正しく申告する」ことが、結果的に最も安全でコストの低い選択です。

よくある質問(FAQ)

副業の収入が20万円を超えたら申告? それとも所得が20万円?

「所得(収入−必要経費)」が20万円を超えたら所得税の確定申告が必要です。収入そのものの金額ではありません。

副業の所得が20万円以下なら、何もしなくていい?

いいえ。所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は必要です。住民税には20万円の特例がありません。

副業の必要経費にはどんなものが入る?

その副業の売上を得るために直接かかった費用(仕入・通信費・交通費・消耗品など)です。自宅兼用の家賃・光熱費・通信費などは、業務で使った割合を合理的に按分した部分のみが経費になります。プライベート分は経費にできません。

赤字の副業でも申告したほうがいい?

事業所得(青色申告)であれば、赤字を給与所得などと損益通算でき、税金が戻る場合があります。雑所得の赤字は他の所得と通算できません。

開業届はいつまでに出す?青色申告は?

開業届は事業開始から1か月以内が目安です。青色申告をしたい年は、原則その年の3月15日まで(その年の1月16日以降の新規開業なら開業日から2か月以内)に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。

7. まとめ

副業の税金は、次の3点を押さえれば大きく外しません。

  • 会社員の副業は、給与・退職以外の「所得」が年20万円を超えると所得税の確定申告が必要。20万円は収入ではなく所得。
  • 20万円以下でも住民税の申告は必要。住民税に20万円ルールはない——ここが最大の落とし穴。
  • 副業の利益が事業所得か雑所得かで、損益通算・青色申告特別控除(最大65万円)・損失の繰越が使えるかが変わる。継続的に取り組むなら開業届・青色申告・帳簿の保存が王道。

副業は、正しく申告すれば過度に恐れる必要はありません。むしろ事業所得・青色申告を使いこなせば、手取りを守りながら堂々と続けられます。「自分の副業は事業所得にできるのか」「青色申告でどこまで節税できるか」「住民税はどう扱えばよいか」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」として、副業・個人事業の税務を入口から伴走支援しています。お気軽にご相談ください。

出典・参考資料

  • 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
  • 国税庁 タックスアンサー No.1350「事業所得の課税のしくみ(事業所得)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm
  • 国税庁 タックスアンサー No.1500「雑所得」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm
  • 国税庁 タックスアンサー No.2072「青色申告特別控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
  • 国税庁 タックスアンサー No.2070「青色申告制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
  • 国税庁 タックスアンサー No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm
  • 国税庁「所得税基本通達の制定について(雑所得関係)の一部改正」(令和4年10月7日付) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf
  • 所得税法 第120条(確定所得申告)、地方税法(住民税の申告義務)、所得税基本通達35-2
ご利用上の留意事項
本記事は、副業の税金に関する一般的な情報提供であり、個別の税務判断に代わるものではありません。事業所得・雑所得の区分は帳簿の有無だけでなく営利性・継続性等を踏まえ実態で判定されます。住民税の取扱い(普通徴収の可否等)は自治体により運用が異なる場合があります。実際の判断にあたっては、最新の法令・通達をご確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年6月4日

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」を掲げ、税務顧問・改正対応から資金調達・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp