ふるさと納税のやり方を税理士が解説|ワンストップ特例と確定申告・限度額・2025年ポイント禁止まで【2026年版】

「ふるさと納税って、結局どうやれば一番得をするの?」——毎年この時期になると、経営者の方からも、ご家族や従業員の方からも、こうしたご質問をいただきます。返礼品がもらえてお得、という入口は知られていても、「2,000円の自己負担で済む上限はいくらか」「ワンストップ特例と確定申告はどちらを選ぶべきか」「2025年10月のポイント禁止で何が変わったのか」となると、正確に答えられる方は意外と多くありません。 本記事では、税理士法人 小山・ミカタパートナーズが、ふるさと納税の仕組み・控除の計算・ワンストップ特例と確定申告の使い分け・2025年の制度改正・よくある失敗までを、2026年(令和8年)6月時点の最新ルールにもとづいて網羅的に整理します。数字は総務省・国税庁の一次情報で裏づけ、自己負担2,000円の検算もお見せします。
📋 この記事の目次
  1. 1. まず押さえる3つの結論(3行サマリー)
  2. 2. ふるさと納税の仕組み——「節税」ではなく「税金の前払い+返礼品」
  3. 3. 控除はいくら戻る?——3つの控除を具体例で検算する
  4. 4. 上限額(限度額)の決まり方——「住民税所得割の約2割」が目安
  5. 5. ワンストップ特例 vs 確定申告——どちらを選ぶか
  6. 6. 2025年10月の制度改正——ポイント付与の禁止と地場産品基準
  7. 7. 経営者・高所得者が間違えやすいポイント
  8. 8. まとめ
  9. よくある質問(FAQ)

1. まず押さえる3つの結論(3行サマリー)

  • ふるさと納税は「節税」ではありません。寄附額のうち自己負担2,000円を除いた全額が、所得税の還付と翌年の住民税の減額という形で戻ってくる仕組みで、納める税金の総額はほぼ変わりません。得をするのは返礼品の分です。
  • 全額が戻る寄附額には上限(限度額)があります。上限の核心は、住民税特例分が「住民税所得割額の20%」までという頭打ちです。これを超えて寄附すると、超えた分は自己負担になります。
  • 控除を受ける手続きは2つ。確定申告が不要な給与所得者で寄附先が5自治体以内なら「ワンストップ特例」、それ以外(自営業者・医療費控除や住宅ローン控除〔初年度〕などで確定申告する人・6自治体以上)は「確定申告」です。ワンストップを出しても確定申告をすると、ワンストップは無効になる——ここが最大の落とし穴です。

2. ふるさと納税の仕組み——「節税」ではなく「税金の前払い+返礼品」

ふるさと納税は、応援したい自治体に「寄附」をすると、その寄附額から自己負担2,000円を差し引いた額が、所得税と住民税から控除される制度です(地方税法 第37条の2・第314条の7/所得税法 第78条の寄附金控除)。

ここで多くの方が誤解されるのが、「ふるさと納税をすると税金が安くなる(節税になる)」という理解です。正確には違います。あなたが本来住んでいる自治体に納めるはずだった住民税の一部を、別の自治体に先に納めているだけで、税負担の合計はほとんど変わりません。それでも人気なのは、寄附のお礼として届く返礼品(寄附額の3割以内)があるからです。実質2,000円の負担で、それ以上の価値の返礼品が受け取れる——ここが本質です。

💡 だからこそ「ふるさと納税で節税できますか」と聞かれたら、私たちは「税額そのものはほぼ変わりません。お得なのは返礼品の分です」と正直にお伝えします。納税額を下げる本来の節税(所得控除・税額控除の活用)とは性質が異なる、という整理が出発点です。

3. 控除はいくら戻る?——3つの控除を具体例で検算する

ふるさと納税の控除は、次の3つの部分で構成されます(国税庁 タックスアンサー No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」)。

控除の種類計算式
① 所得税からの控除(還付)(寄附額 − 2,000円)× 所得税の税率(復興特別所得税2.1%を上乗せした率)
② 住民税からの控除(基本分)(寄附額 − 2,000円)× 10%
③ 住民税からの控除(特例分)(寄附額 − 2,000円)×(100% − 10% − 所得税の税率)

①②③を合計すると、ちょうど「寄附額 − 2,000円」になります。これが「自己負担2,000円で全額が戻る」の正体です。実際に検算してみましょう。

【前提】 給与所得者・寄附額30,000円・所得税率10%(課税所得195万円超330万円以下のゾーン)・上限額の範囲内とする。

  • ① 所得税からの控除:(30,000 − 2,000)× 10.21%(所得税10%+復興特別所得税2.1%上乗せ)= 28,000 × 0.1021 = 2,858円(確定申告なら還付、ワンストップなら下記③に合算)
  • ② 住民税・基本分:(30,000 − 2,000)× 10% = 2,800円
  • ③ 住民税・特例分:(30,000 − 2,000)×(100% − 10% − 10.21%)= 28,000 × 79.79% = 22,341円
  • 合計:2,858 + 2,800 + 22,341 = 27,999円 ≒ 28,000円(=寄附額30,000円 − 自己負担2,000円)

このように、上限の範囲内であれば、実質2,000円の負担で30,000円分の寄附(=最大9,000円相当の返礼品)が成立します。

4. 上限額(限度額)の決まり方——「住民税所得割の約2割」が目安

「では、いくらまで寄附すれば自己負担2,000円で収まるのか」。ここが一番知りたいところでしょう。カギは、3つの控除のうち③住民税の特例分に上限があることです。

💡 特例分の上限=住民税所得割額の20%(地方税法)。寄附が増えて特例分(③)が住民税所得割額の20%を超えると、超えた部分はもう住民税から控除されず、そのまま自己負担になります。つまり「自己負担2,000円で収まる寄附の上限=ざっくり住民税所得割額の約2割」が、限度額の本質です。

限度額は、年収だけでなく家族構成・他の所得控除(社会保険料・生命保険料・医療費控除・住宅ローン控除など)によって一人ひとり変わります。だからこそ、ネット上の早見表は「独身・給与のみ・他の控除なし」という前提のモデルケースにすぎません。正確な上限は、ご自身の源泉徴収票(または住民税の課税明細)の数字を、総務省の試算表や各ふるさと納税サイトのシミュレーターに入れて確認するのが確実です。

  • 総務省「寄附金控除額の計算シミュレーション(Excel)」 https://www.soumu.go.jp/main_content/000408218.xlsx
  • 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
💡 経営者・役員の方は特に注意が必要です。役員報酬の金額や、その年の業績連動賞与退職金・不動産や株式の譲渡益などで「その年の住民税所得割額」が大きく変わると、限度額も連動して上下します。「去年と同じ感覚で寄附したら上限を超えていた」というのは、所得が変動しやすい経営者によくあるパターンです。大きな所得の変動が見込まれる年は、年末に近づいてから上限を見直すのが安全です。

5. ワンストップ特例 vs 確定申告——どちらを選ぶか

控除を受けるには、①ワンストップ特例制度②確定申告 のどちらかの手続きが必要です。何もしなければ、寄附はただの「持ち出し」で終わり、控除は一切受けられません。

ワンストップ特例が使える人・使えない人

ワンストップ特例は、寄附先の自治体に申請書を送るだけで確定申告なしに控除が受けられる、給与所得者向けの簡易制度です(総務省「ふるさと納税の流れ」)。使えるのは次の両方を満たす人です。

  • もともと確定申告をする必要がない給与所得者であること(医療費控除・住宅ローン控除の初年度・副業の申告などで確定申告をする人は対象外)
  • 1年間の寄附先が5自治体以内であること(6自治体以上は確定申告が必要。なお、同じ自治体に複数回寄附しても「1自治体」とカウント)

申請期限は、寄附した翌年の1月10日に各自治体へ必着です。期限を過ぎたら、確定申告に切り替えれば控除は受けられます。

❗ 最大の落とし穴:「ワンストップを出した後に確定申告」をすると、ワンストップが無効になる

ここは実務でもっとも事故が多い点です。ワンストップ特例の申請をしていても、後から確定申告をすると、提出済みのワンストップ申請はすべて無効になります。確定申告の書類に、ふるさと納税の寄附金控除を自分で書き直さないと、控除が丸ごと消えてしまうのです。

「医療費控除を受けるために確定申告したら、ふるさと納税の控除が消えていた」——これは毎年必ず起こるミスです。確定申告をする年は、ワンストップは当てにせず、寄附した全自治体分を確定申告にまとめて記載するのが鉄則です。

❌ やりがちな失敗
  • ワンストップ申請を出したから安心して、医療費控除のために確定申告→ふるさと納税分を書き忘れ、控除がゼロに
  • 寄附先が気づかぬうちに6自治体以上になり、ワンストップが使えないのに申請だけ出していた
  • 申請書を出したが、翌年1月10日必着の期限に間に合わなかった
  • 寄附した名義(クレジットカードの名義など)と、控除を受けたい人の名義が違っていた
⭕ 王道の対応
  • 確定申告をする予定がある年は、最初から確定申告で全自治体分をまとめる(ワンストップに頼らない)
  • 寄附は5自治体以内に絞る(返礼品の数ではなく「自治体の数」で管理する)
  • 申請書は年末の寄附ほど早めに返送し、1月10日必着に余裕をもって間に合わせる
  • 寄附・決済は「控除を受ける本人の名義」で行う
💡 ワンストップ特例と確定申告では、戻り方が少し違います。ワンストップの場合は所得税からの還付がなく、①②③のすべてが翌年6月以降の住民税からまとめて控除されます。確定申告の場合は、①が所得税の還付(または納税額の減少)、②③が住民税の控除に分かれます。最終的に自己負担2,000円で全額戻るという結論は同じなので、どちらが得・損ということはありません。

6. 2025年10月の制度改正——ポイント付与の禁止と地場産品基準

近年、ふるさと納税は毎年のようにルールが見直されています。2026年6月時点で特に押さえるべきは、2025年(令和7年)10月1日から施行された改正です(総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」)。

  • 仲介サイトによるポイント付与の禁止:寄附額に応じて各ポータルサイトが独自に付与していたポイント(〇〇ポイント還元キャンペーン等)が、2025年10月1日以降は禁止されました。自治体が支払う手数料がポイントの原資になっており、制度の趣旨に反する、というのが総務省の判断です。
  • 押さえておきたい区別:禁止されたのは「仲介サイトが寄附の対価として付与するポイント」です。クレジットカード決済そのものに通常つくカード会社のポイント(買い物全般に付くもの)は、これとは別の話で、引き続き利用できます。
  • 返礼品の地場産品基準の厳格化:返礼品は「寄附額の3割以内・その地域の地場産品」という基準がかねてより定められており、運用が一段と厳格化されています。
💡 「ポイント分の上乗せ」を前提にお得度を計算していた方は、2025年10月以降は前提が変わっています。とはいえ、自己負担2,000円で返礼品(寄附額の3割相当)が受け取れるという制度の根幹は変わっていません。お得度の中心が「サイトのポイント」から「返礼品そのもの」に戻った、と理解するのが正確です。

7. 経営者・高所得者が間違えやすいポイント

ふるさと納税は個人の制度ですが、経営者・役員・資産家の方ほど、限度額や手続きでつまずきやすい論点があります。実務でよくお見かけするものを整理します。

  • 住宅ローン控除(初年度)との併用:住宅ローン控除の初年度は確定申告が必須です。この場合ワンストップは使えず、確定申告でふるさと納税を申告します。控除の順番の関係で限度額に影響が出ることもあり、シミュレーターで併用を前提に確認するのが安全です。
  • 医療費控除・iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)との併用:これらで課税所得が下がると、ふるさと納税の限度額も下がります。「医療費がかさんだ年は、ふるさと納税の上限も下がる」という連動を見落とさないことです。
  • ふるさと納税は社会保険料を下げない:所得税・住民税には効きますが、社会保険料の算定(標準報酬)には影響しません。手取り全体の設計の中では、効く範囲を正しく区切ることが大切です。
  • 所得が大きく動く年:株式・不動産の譲渡益、役員退職金など一時的に所得が跳ねる年は、限度額も大きく上がります。逆に、退任・減配などで所得が下がる年は上限も下がります。「例年どおり」で寄附すると過不足が出ます。
💬 実務の現場から
——弊社にも、ふるさと納税について「自分の上限額がいくらか分からない」「確定申告でふるさと納税分をどう書くのか」というご相談が、年末から確定申告の時期にかけて実際に寄せられます。過去のご相談の傾向として申し上げると、つまずきやすいのは①確定申告をするのにワンストップを当てにしてしまうケース、②その年の所得変動を織り込まずに上限を超えてしまうケースの2つです。私たちが関与する場面では、源泉徴収票やその年の所得の見込みから限度額を一緒に確認し、確定申告での記載まで含めて取りこぼしのない形に整えます。

よくある質問(FAQ)

ふるさと納税をすると、結局どれくらい得しますか?

納める税金の総額はほとんど変わりません。お得なのは「返礼品(寄附額の3割相当)」の分です。上限の範囲内なら、自己負担2,000円で、それ以上の価値の返礼品が受け取れる、と理解するのが正確です。

自分の限度額(上限)はどうやって調べますか?

年収だけでなく家族構成や他の控除によって変わるため、源泉徴収票や住民税の課税明細の数字を、総務省の試算表や各ふるさと納税サイトのシミュレーターに入力して確認するのが確実です。ネットの早見表は「独身・給与のみ・他の控除なし」のモデルケースである点に注意してください。

ワンストップ特例と確定申告、どちらが得ですか?

最終的に自己負担2,000円で全額戻るという結論は同じで、有利・不利はありません。確定申告が不要な給与所得者で寄附先が5自治体以内ならワンストップが簡単です。医療費控除や住宅ローン控除(初年度)などで確定申告をするなら、ふるさと納税も確定申告にまとめます。

ワンストップ特例を申請した後に確定申告をしても大丈夫ですか?

確定申告をすると、提出済みのワンストップ申請はすべて無効になります。確定申告の中で、寄附した全自治体分の寄附金控除を必ず自分で記載してください。書き忘れると控除が丸ごと受けられなくなります。

2025年10月からポイントがもらえなくなったと聞きました。損になりますか?

仲介サイトが寄附の対価として付与していたポイントは2025年10月から禁止されました。ただし、自己負担2,000円で返礼品(寄附額の3割相当)が受け取れるという制度の根幹は変わっていません。クレジットカード決済に通常つくカード会社のポイントは引き続き利用できます。

確定申告でふるさと納税を申告するには何が必要ですか?

寄附先から届く「寄附金受領証明書」、または特定事業者(ふるさと納税サイト)が発行する「寄附金控除に関する証明書」を使い、確定申告書の寄附金控除欄に記載します。e-Taxなら証明書データの取り込みも可能です。

8. まとめ

ふるさと納税は、次の3点を押さえれば迷いません。

  • ふるさと納税は節税ではなく「税金の前払い+返礼品」。税額の合計はほぼ変わらず、得をするのは返礼品(寄附額の3割相当)の分。自己負担は2,000円。
  • 自己負担2,000円で収まる上限の核心は「住民税特例分=住民税所得割額の20%まで」。正確な限度額は源泉徴収票の数字を入れてシミュレーターで確認する。
  • 手続きはワンストップ特例(確定申告不要・5自治体以内・翌年1月10日必着)か確定申告のどちらか。確定申告をする年はワンストップが無効になるので、全自治体分を確定申告にまとめる。

ふるさと納税そのものは個人で完結できる制度ですが、経営者・役員の方は「その年の所得がいくらになるか」で限度額が動くため、年末の役員報酬・賞与・資産の売却計画と一体で考えると、過不足なく活用できます。税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」として、経営者個人の所得設計から会社の税務顧問まで、入口から伴走支援しています。お気軽にご相談ください。

出典・参考資料

  • 国税庁 タックスアンサー No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm
  • 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」(控除の計算式・特例分の所得割20%上限) https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
  • 総務省「ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ」(ワンストップ特例・5自治体・1月10日必着) https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/procedure.html
  • 総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」(2025年10月施行・ポイント付与の禁止) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000126.html
  • 国税庁「令和7年分 確定申告特集|ふるさと納税をされた方へ」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/furusato.htm
  • 地方税法 第37条の2・第314条の7(寄附金税額控除)、所得税法 第78条(寄附金控除)
ご利用上の留意事項
本記事は、ふるさと納税に関する一般的な情報提供であり、個別の税務判断に代わるものではありません。控除の上限額は、年収・家族構成・各種所得控除によって一人ひとり異なります。制度は毎年見直されるため、実際のご判断にあたっては、最新の総務省・国税庁の情報をご確認のうえ、必要に応じて税理士等の専門家にご相談ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年6月7日

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」を掲げ、税務顧問・改正対応から資金調達・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp