外形標準課税の決定版|100%子法人が令和8年4月から対象に、減資10億円ルール、付加価値割・資本割の計算を税理士が解説【2026年版】

「うちは資本金1億円以下だから、外形標準課税は関係ありません」——これまでは、その理解でほぼ正解でした。 ですが令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、この前提が崩れます。親会社の払込資本が50億円を超えるグループの100%子法人は、自社の資本金が1億円以下であっても外形標準課税の対象になり得ます。根拠は地方税法第72条の2第1項第1号ロ、施行日は令和6年改正法附則第1条第4号により令和8年4月1日です。 税理士法人 小山・ミカタパートナーズにも、「持株会社をつくったら子会社の税額が跳ね上がると言われた」「資本金を1億円に減資したのに対象のままだった」といったご相談は実際に寄せられます。過去のご相談の傾向として申し上げると、誤解が集中するのは3か所です。判定の基準を資本金だけで見ていること、対象になると赤字でも課税されるという構造を知らないこと、そして中間申告の判定ルールが別に変わっていることです。 本記事では、外形標準課税の3つの入口、付加価値割・資本割の計算、対象になったときに税負担がどう動くかまでを、条文の原文とあわせて整理します。
📋 この記事の目次
  1. 1. 3行サマリー
  2. 2. 外形標準課税とは何か
  3. 3. 誰が対象になるのか——3つの入口
  4. 4. 対象になると税額はどう動くか
  5. 5. 付加価値割の計算——赤字でも課税される理由
  6. 6. 資本割の計算——持株会社には圧縮特例がある
  7. 7. 激変緩和措置と中間申告の落とし穴
  8. 8. 実務で押さえるべきこと
  9. 9. まとめ
  10. よくある質問(FAQ)

1. 3行サマリー

  • 外形標準課税とは、法人事業税を所得だけでなく事業規模でも課す仕組みです。対象法人は付加価値割・資本割・所得割の3つを合算して申告します(地方税法第72条の2第1項第1号イ)。標準税率は付加価値割1.2%、資本割0.5%、所得割1.0%です(同法第72条の24の7第1項第1号)。
  • 対象になる入口は3つあります。①期末の資本金が1億円超(従来からの基準)、②前事業年度に対象だった法人で払込資本が10億円超(令和7年4月1日以後開始事業年度から。同法附則第8条の3の3)、③払込資本50億円超の特定法人の100%子法人等で、払込資本が2億円超(令和8年4月1日以後開始事業年度から。同法第72条の2第1項第1号ロ)。
  • 対象になると、所得に対する負担は下がります。所得割の標準税率は7.0%から1.0%に下がるためです。しかし付加価値割と資本割は赤字でも課税されます。単年度損益の計算では繰越欠損金を控除しません(同法第72条の18第2項)。ここが最大の構造変化です。

2. 外形標準課税とは何か

法人事業税は、本来「都道府県の行政サービスを受けている対価」という性格(応益課税)を持つ税です。ところが所得だけを課税標準にすると、赤字法人は事業規模が大きくても税を負担しません。そこで平成16年度から、一定規模以上の法人には事業規模そのものにも課税する仕組みが導入されました。これが外形標準課税です。

総務省は制度の意義を次のように説明しています。

外形標準課税は、法人が事業規模に応じて広く薄く負担を担うものであり、税負担の公平性の確保、応益課税としての事業税の性格の明確化、地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化等の観点から重要な意義を有しています。
(総務省「法人事業税における外形標準課税」)

対象法人が申告する3つの課税標準は次のとおりです。

  • 付加価値割……報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料の合計額(収益配分額)と単年度損益との合計額
  • 資本割……資本金等の額
  • 所得割……各事業年度の所得

対象でない法人(中小法人など)は所得割だけを申告します。

3. 誰が対象になるのか——3つの入口

入口① 期末の資本金が1億円超(従来からの基準)

事業年度終了の日において資本金の額または出資金の額が1億円を超える普通法人が対象です。平成16年度から変わっていません。

入口② 減資への対応(令和7年4月1日以後開始事業年度から)

次の要件をすべて満たす法人が対象になります(地方税法附則第8条の3の3)。

  • 前事業年度に外形標準課税の対象であった法人であること
  • 事業年度終了の日時点の資本金の額が1億円以下であること
  • 事業年度終了の日時点の払込資本の額が10億円超であること

条文は次のように読み替えを命じています。

第七十二条の二第一項及び第二項の規定の適用については、当分の間、同条第一項第一号ロ中「一億円以下のもの」とあるのは「一億円以下のもの(前事業年度の事業税についてイに掲げる法人に該当したものであつて、払込資本の額……が十億円を超えるものを除く。)」と……する。
(地方税法附則第8条の3の3)

ここでいう払込資本の額とは、資本金の額または出資金の額と資本剰余金の額の合計額です(地方税法施行令第10条の2、地方税法施行規則第3条の13の4)。施行規則は資本剰余金を「会社計算規則の規定に基づき計算した同令第76条第2項第3号又は第3項第3号に規定する資本剰余金の金額」と定義しています。

💡 つまり、資本金を資本剰余金に振り替える無償減資では対象から外れません。この入口は、外形標準課税を避けるための減資に対応するために設けられたものだからです。

入口③ 100%子法人等への対応(令和8年4月1日以後開始事業年度から)★今期から適用

次の要件をすべて満たす法人が対象になります(地方税法第72条の2第1項第1号ロ(1)(2))。

  • 所得等課税法人以外の法人で、事業年度終了の日において資本金の額が1億円以下であること
  • 特定法人との間にその特定法人による完全支配関係がある法人、または100%グループ内の複数の特定法人に発行済株式等の全部を保有されている法人であること
  • 事業年度終了の日において払込資本の額が2億円超であること

特定法人とは、払込資本の額が50億円を超える法人(外形標準課税の対象外である法人を除きます)および保険業法に規定する相互会社(外国相互会社を含みます)をいいます。

条文は完全支配関係を法人税法第2条第12号の7の6の定義によるとしており、資本金1億円以下でも親会社の規模で判定が動く構造になっています。

💡 見落とされやすい点が2つあります。ひとつは、親会社が日本国内に恒久的施設(PE)を持たない外国法人であっても、特定法人の要件を満たせば、その100%子法人(払込資本2億円超)は外形標準課税の対象になることです。もうひとつは、公布日(令和6年3月30日)以後に資本剰余金を原資とした配当等で減少した払込資本の額は、判定上加算されることです(地方税法第72条の2第1項第1号ロ(1)括弧書)。判定直前の払戻しでは外れません。

M&Aで100%子会社になった場合の特例

産業競争力強化法の特別事業再編計画の認定を受けた事業者が、その計画に従って行うM&Aにより100%子会社となった法人等については、買収から5年を経過する事業年度まで、入口③の対象外となります(地方税法附則第8条の3の4)。対価の額が100億円を超える場合または1億円に満たない場合は除かれます。

なお、その100%子会社等が入口①・②など他の基準で外形標準課税の対象である場合は、この特例の対象になりません

4. 対象になると税額はどう動くか

ここが最も誤解されるところです。対象になると税負担が単純に増えるわけではありません。所得に対する負担はむしろ下がります。

標準税率は次のとおりです(地方税法第72条の24の7)。

区分対象法人対象外
付加価値割1.2%
資本割0.5%
所得割1.0%3.5〜7.0%

(出典:地方税法第72条の24の7第1項第1号・第3号)

所得割の内訳は次のとおりです。

  • 対象法人……所得の額にかかわらず一律1.0%です(同項第1号ハ)。
  • 対象外の法人……年400万円以下の金額は3.5%、年400万円を超え年800万円以下の金額は5.3%、年800万円を超える金額は7.0%の3段階です(同項第3号)。なお3以上の都道府県に事務所等を設けて事業を行う資本金1,000万円以上の法人は、この軽減税率が適用されず一律7.0%となります(同条第5項第2号)。

さらに国税である特別法人事業税が、事業税の所得割額(基準法人所得割額)に上乗せされます。

区分特別法人事業税の税率
外形標準課税の対象法人基準法人所得割額の260%
所得割により課される特別法人基準法人所得割額の34.5%
所得割により課される上記以外の法人基準法人所得割額の37%

(出典:特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律第7条)

この2つを合わせると、所得に対する実質的な負担は次のようになります(標準税率、所得年800万円超の部分)。

  • 対象外の法人……所得割7.0%+特別法人事業税(7.0%×37%=2.59%)=9.59%
  • 対象法人……所得割1.0%+特別法人事業税(1.0%×260%=2.6%)=3.6%

つまり所得に対しては5.99ポイント軽くなります。そのうえで、付加価値額の1.2%と資本金等の額の0.5%が、所得がゼロでも課税されるという構造です。

💡 ここが実務の急所です。利益率が高い会社は有利に、人件費や賃借料が重い会社・赤字の会社は不利になります。損益分岐点が近い会社ほど影響が読みにくいので、事前の試算が要ります。

なお上記はすべて標準税率です。都道府県は標準税率を超える税率(超過税率)を定めることができ、その上限は標準税率の1.2倍(所得割は1.7倍)とされています(地方税法第72条の24の7第9項)。東京都をはじめ超過税率を採用している自治体があるため、実際の試算では申告先の税率を確認してください。

5. 付加価値割の計算——赤字でも課税される理由

付加価値額は次の算式です。

第七十二条の十二第一号の各事業年度の付加価値額は、各事業年度の報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の合計額(第七十二条の二十において「収益配分額」という。)と各事業年度の単年度損益との合計額による。
(地方税法第72条の14)

4つの構成要素を順に見ます。

報酬給与額(第72条の15)……役員・使用人に対する報酬、給料、賃金、賞与、退職手当その他これらの性質を有する給与の合計額と、確定給付企業年金の掛金等の合計額です。法人税の所得計算上損金に算入されるものに限られます。労働者派遣の役務提供を受けた場合は、派遣料の75%を加算します(同条第2項第1号)。派遣に切り替えても課税標準からは外れません。

純支払利子(第72条の16)……支払利子の額の合計額から、その合計額を限度として受取利子の額の合計額を控除した金額です。受取利子が支払利子を上回ってもマイナスにはなりません。

純支払賃借料(第72条の17)……土地または家屋(これらと一体となって効用を果たす構築物・附属設備を含みます)の賃借権等で、存続期間が1月以上のものの対価です。支払額から受取額を控除します。ここでいう賃借権等からは法人税法第64条の2第3項に規定するリース取引に係るものが除かれており、機械設備のリース料は対象外です。

単年度損益(第72条の18)……各事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額で、法人税の所得計算の例により算定します。ただし決定的な例外があります。

前項の規定により第七十二条の十四の各事業年度の単年度損益を算定する場合には、法人税法第二十七条、第五十七条、第五十七条の二、第五十九条第五項、第六十四条の五及び第六十四条の八並びに租税特別措置法第五十五条……の規定の例によらないものとする。
(地方税法第72条の18第2項)

ここに挙げられている法人税法第57条は欠損金の繰越控除の規定です。その例によらないということは、単年度損益の計算では繰越欠損金を控除しないという意味になります。過去の赤字を抱えていても、その事業年度が黒字なら単年度損益はプラスで拾われます。

そして単年度損益がマイナスであっても、報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料の合計(収益配分額)がそれを上回れば、付加価値額はプラスになります。赤字でも付加価値割が発生するのはこの構造によるものです。

雇用安定控除——人件費比率が高い会社の救済

人件費の重い会社への配慮として、次の控除があります。

当該事業年度の収益配分額のうちに当該事業年度の報酬給与額の占める割合が百分の七十を超える法人の付加価値割の課税標準の算定については、当該事業年度の付加価値額……から雇用安定控除額を控除するものとする。
2 前項の雇用安定控除額は、当該事業年度の報酬給与額から当該事業年度の収益配分額に百分の七十の割合を乗じて得た金額を控除した金額とする。
(地方税法第72条の20第1項・第2項)

つまり報酬給与額が収益配分額の70%を超える部分が、そのまま控除されます。労働集約型の事業では必ず確認すべき規定です。

6. 資本割の計算——持株会社には圧縮特例がある

資本割の課税標準は、各事業年度終了の日における法人税法第2条第16号に規定する資本金等の額を基礎に計算します(地方税法第72条の21第1項)。

ここに下限のルールがあります。

前項本文の規定にかかわらず、同項本文の規定により計算した金額が、各事業年度終了の日における資本金の額及び資本準備金の額の合算額又は出資金の額に満たない場合には、……各事業年度の資本金等の額は、各事業年度終了の日における資本金の額及び資本準備金の額の合算額又は出資金の額とする。
(地方税法第72条の21第2項)

税務上の資本金等の額を圧縮しても、資本金+資本準備金を下回る金額にはならないということです。

一方で、持株会社には大きな圧縮特例があります。

第一号に掲げる金額のうちに第二号に掲げる金額の占める割合が百分の五十を超える内国法人の資本割の課税標準の算定については、資本金等の額から、当該資本金等の額に第一号に掲げる金額のうちに第二号に掲げる金額の占める割合を乗じて計算した金額を控除するものとする。
(地方税法第72条の21第6項)

第一号は総資産の帳簿価額、第二号は特定子会社(発行済株式等の総数または総額の50%超を直接または間接に保有する他の法人)の株式等の帳簿価額です。総資産に占める子会社株式の割合が50%を超える持株会社は、その割合分だけ資本金等の額から控除できます。

さらに資本金等の額が1,000億円を超える法人には段階的な圧縮があります(同条第7項)。

資本金等の額の区分課税標準に算入する割合
1,000億円以下の金額100%
1,000億円を超え5,000億円以下の金額50%
5,000億円を超え1兆円以下の金額25%

(出典:地方税法第72条の21第7項。資本金等の額が1兆円を超える場合は1兆円とします)

7. 激変緩和措置と中間申告の落とし穴

新たに対象になった法人の負担軽減(2年間)

入口③(100%子法人等への対応)によって新たに対象になった法人には、2年間の負担軽減があります。従来の課税方式で計算した税額を超える部分について、次の割合が軽減されます(令和6年改正法附則第8条第2項)。

  • 令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度……超える額の3分の2が軽減されます。
  • 令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に開始する事業年度……超える額の3分の1が軽減されます。

(出典:地方税法等の一部を改正する法律(令和6年法律第4号)附則第8条第2項。100円未満の端数は切り上げます)

条文は、実際に申告納付すべき事業税額(令和8年度分基準法人事業税額)が、その法人を所得割のみの法人とみなして計算した税額(比較法人事業税額)を超える場合に、その超える金額の3分の2に相当する金額を控除すると定めています。3年目以降は満額になりますので、この2年のうちに体制を整える設計が要ります。

中間申告の判定ルールが変わっている

見落とされやすい改正がもうひとつあります。中間申告義務を有する外形標準課税の対象法人かどうかの判定が、前事業年度基準に変わりました。

  • 改正前……当該事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日の現況による
  • 改正後……当該事業年度の前事業年度の事業税について外形標準課税の対象法人であるかどうかによる

このため、前事業年度に対象法人であれば、当期の6か月経過日の前日時点で対象外になっていても中間申告の義務があります(地方税法附則第8条の3の3第2項、令和8年4月1日以後開始事業年度においては同法第72条の26第9項)。

8. 実務で押さえるべきこと

❌ よくある失敗
  • 資本金1億円以下という一点だけで「対象外」と判断し、親会社の払込資本を確認していない
  • 資本金を資本剰余金に振り替える無償減資で対象から外れると考えている(払込資本は減らないため外れません)
  • 判定直前に資本剰余金を原資とする配当で払込資本を圧縮する(公布日以後の減少額は加算されます)
  • 付加価値割の単年度損益で繰越欠損金を控除できると考え、赤字だから税額ゼロと見込んでいる
  • 持株会社なのに資本割の圧縮特例(総資産に占める子会社株式50%超)を検討していない
  • 前事業年度に対象法人だったのに、当期が対象外だからと中間申告を失念する
⭕ 王道の進め方
  • グループ全体で払込資本(資本金+資本剰余金)の一覧表を作り、親会社50億円超・子会社2億円超の2つの線で機械的に判定する
  • 外国親会社がある場合は、PEの有無にかかわらず特定法人に該当するかを確認する
  • 対象となる子法人について、付加価値額(報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料・単年度損益)を実額で試算し、所得割の軽減分と比較して純増減を出す
  • 人件費比率が高い会社は雇用安定控除、持株会社は資本割の圧縮特例を先に当てて試算する
  • 激変緩和措置が効く2年間のうちに、グループ内の資本構成・機能配置を見直す
  • 中間申告の判定は前事業年度基準であることを申告カレンダーに反映する

税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、グループ全体の払込資本の棚卸しから、付加価値割・資本割の試算、資本構成の見直しまでを一体でご支援しています。実務でよくお見かけするのは、判定そのものは正しくできているのに、税額インパクトの試算が後回しになっているケースです。所得割が下がる分と付加価値割・資本割が増える分は方向が逆なので、実額を置かないと結論が出ません。

9. まとめ

  • 外形標準課税の入口は3つです。①資本金1億円超、②前事業年度に対象で払込資本10億円超(令和7年4月1日以後開始事業年度から)、③払込資本50億円超の特定法人の100%子法人等で払込資本2億円超(令和8年4月1日以後開始事業年度から)。
  • 払込資本=資本金+資本剰余金です。無償減資でも、判定直前の資本剰余金からの配当でも外れません。
  • 対象になると所得割は7.0%から1.0%に下がりますが、特別法人事業税が37%から260%に上がります。標準税率どうしの比較で、所得に対する負担は9.59%から3.6%へ5.99ポイント軽くなります。
  • 一方で付加価値割1.2%・資本割0.5%は赤字でも課税されます。単年度損益では繰越欠損金を控除しません
  • 新たに対象になる法人には2年間の激変緩和措置(3分の2、3分の1の軽減)があります。この2年が設計の猶予期間です。
  • 中間申告の判定は前事業年度基準に変わっています。当期が対象外でも義務が残ります。
  • 令和8年度税制改正では、外形標準課税に関する改正は行われていません(財務省「令和8年度 税制改正の解説」地方税法等の改正で確認)。

よくある質問(FAQ)

資本金を1億円に減資すれば外形標準課税から外れますか。

外れないケースが3つあります。①前事業年度に対象法人で、払込資本(資本金+資本剰余金)が10億円を超える場合(地方税法附則第8条の3の3)。②払込資本50億円超の特定法人の100%子法人等で、払込資本が2億円を超える場合(同法第72条の2第1項第1号ロ)。③そもそも減資が資本金から資本剰余金への振替であれば、払込資本は変わりません。

払込資本の額とは具体的に何ですか。

資本金の額または出資金の額と、資本剰余金の額との合計額です(地方税法施行令第10条の2)。資本剰余金は「会社計算規則の規定に基づき計算した同令第76条第2項第3号又は第3項第3号に規定する資本剰余金の金額」とされています(地方税法施行規則第3条の13の4)。

親会社が外国法人でも100%子法人の判定に入りますか。

入ります。総務省は、日本国内に恒久的施設(PE)を有しない外国法人であっても、特定法人の要件を満たせば、その外国法人と完全支配関係にある子法人(払込資本2億円超)は外形標準課税の対象になるとしています。

赤字でも外形標準課税はかかりますか。

かかります。付加価値額は収益配分額(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料)と単年度損益の合計額なので、単年度損益がマイナスでも収益配分額がそれを上回れば付加価値額はプラスになります。資本割は資本金等の額に対する課税なので、損益と無関係に発生します。

付加価値割の計算で繰越欠損金は使えますか。

使えません。地方税法第72条の18第2項が、単年度損益の算定にあたって法人税法第57条(欠損金の繰越し)の例によらないと定めています。

人件費が売上の大半を占める会社です。何か軽減はありますか。

雇用安定控除があります。収益配分額のうちに報酬給与額の占める割合が70%を超える場合、報酬給与額から収益配分額の70%を控除した金額が、付加価値額から控除されます(地方税法第72条の20)。

正社員を派遣に切り替えれば報酬給与額は下がりますか。

下がりきりません。労働者派遣の役務の提供を受けた法人は、派遣料として支払う金額の75%を報酬給与額に加算します(地方税法第72条の15第2項第1号)。

機械のリース料は純支払賃借料に含まれますか。

含まれません。純支払賃借料の対象は土地または家屋(一体となって効用を果たす構築物・附属設備を含みます)の賃借権等で、存続期間が1月以上のものに限られます(地方税法第72条の17第2項)。

持株会社です。資本割が重いのですが方法はありますか。

総資産の帳簿価額に占める特定子会社(50%超保有)の株式等の帳簿価額の割合が50%を超える場合、その割合を資本金等の額に乗じた金額を控除できます(地方税法第72条の21第6項)。持株会社では効果が大きい規定です。

M&Aで100%子会社になりました。すぐ対象になりますか。

産業競争力強化法の特別事業再編計画の認定に基づくM&Aであれば、買収から5年を経過する事業年度まで対象外となる特例があります(地方税法附則第8条の3の4)。ただし対価の額が100億円超または1億円未満の場合は除かれ、他の基準で対象となる場合も特例の対象外です。

今期から対象になります。税額はいきなり満額ですか。

いいえ。令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度は超える額の3分の2、令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に開始する事業年度は超える額の3分の1が軽減されます(令和6年改正法附則第8条第2項)。3年目以降が満額です。

当期は対象外なので中間申告は不要ですか。

前事業年度に対象法人であれば必要です。判定は前事業年度基準に改正されており、当該事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日に対象外であっても中間申告の義務があります。

出典・参考資料

ご利用上の留意事項
本記事は、法人事業税の外形標準課税に関する一般的な情報提供であり、個別の判断に代わるものではありません。外形標準課税の対象となるかどうかは、事業年度終了の日における資本金の額、払込資本の額、親会社との完全支配関係の有無および前事業年度の取扱いにより結論が変わります。付加価値額および資本金等の額の算定にあたっては、報酬給与額に含まれる給与の範囲、労働者派遣に係る加算、純支払賃借料の対象となる資産の範囲、雇用安定控除および資本割の圧縮特例の適用可否など、個別に確認を要する事項が多くあります。本記事に記載した税率はいずれも標準税率であり、都道府県が定める超過税率が適用される場合には税額が異なります。実際の申告にあたっては、申告先の都道府県の定めを確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年8月14日

外形標準課税の判定とグループ資本構成の見直しは KMP へ

公認会計士・税理士・米国公認会計士のトリプルホルダーの視点で、グループ全体の払込資本の棚卸し、100%子法人等の判定、付加価値割・資本割の実額試算、雇用安定控除と資本割の圧縮特例の適用可否、激変緩和措置の2年間を使った資本構成の見直しまでを一体でご支援しています。所得割が下がる分と付加価値割・資本割が増える分は方向が逆です。実額を置いて初めて結論が出ます。

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」を掲げ、税務顧問・改正対応から資産防衛・相続・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp

この記事は執筆時点の法令・通達に基づいています。最終確認日:2026年8月2日(現行制度との照合を実施)。税制は改正されます。実際のご判断の前に、最新の情報をご確認いただくか、税理士法人 小山・ミカタパートナーズまでご相談ください。