事業計画書の作り方|融資・補助金が通る数値計画の作り方を税理士が解説【2026年版】

「融資を申し込むのに事業計画書が必要と言われたが、何をどう書けばいいか分からない」「補助金の審査で計画書の点が伸びない」——創業期の経営者から、税理士法人 小山・ミカタパートナーズに数多く寄せられるご相談です。事業計画書は、単に提出を求められる書類ではありません。金融機関や審査員が「この会社にお金を出して大丈夫か」を判断する、たった一つの根拠です。 本記事では、銀行融資と補助金の両方で通用する事業計画書の作り方を、構成要素・数値計画の組み立て方・審査で見られるポイントまで、認定経営革新等支援機関の税理士が網羅的に解説します。
📋 この記事の目次
  1. 1. 事業計画書とは何か(3行サマリー)
  2. 2. 事業計画書の標準的な構成(公庫の創業計画書がベース)
  3. 3. 一番大事なのは「数値計画」——根拠のある数字を作る
  4. 4. 融資の審査で見られるポイント(銀行・公庫の目線)
  5. 5. 補助金の事業計画書で「点を取る」コツ
  6. 6. 自分で作るか、専門家と作るか
  7. 8. まとめ
  8. よくある質問(FAQ)

1. 事業計画書とは何か(3行サマリー)

  • 事業計画書とは、何の事業を・どう進めて・いくら儲け・どう返す(成長する)かを、文章と数字で示した書類です。
  • 融資(銀行・日本政策金融公庫)でも補助金でも、審査の合否は事業計画書の説得力で決まります
  • 大切なのは美しい文章ではなく、「数字に根拠があり、お金が回ること」を示すことです。

事業計画書は、相手(融資担当者・審査員)に「貸したい」「採択したい」と思わせるための営業資料です。読み手が誰かを意識し、その人が知りたいことに過不足なく答えるのが基本姿勢になります。

2. 事業計画書の標準的な構成(公庫の創業計画書がベース)

何を書けばよいか迷ったら、日本政策金融公庫の「創業計画書」の項目が一つの完成された型です。公庫が公開している創業計画書は、次の8項目で構成されています。

項目書く内容
① 創業の動機なぜこの事業を始めるのか。経験・想い・市場機会
② 経営者の略歴等過去の職歴・実績。事業との関連性(ここが信用の核)
③ 取扱商品・サービス何を売るか。セールスポイント・販売ターゲット
④ 取引先・取引関係等販売先・仕入先・外注先と、その掛取引の条件
⑤ 従業員何人を雇うか(常勤・パート)
⑥ お借入の状況既存の借入(住宅ローン・車のローン等)
⑦ 必要な資金と調達方法設備資金・運転資金と、自己資金・借入の内訳
⑧ 事業の見通し(月平均)創業当初と軌道に乗った後の売上・経費・利益

補助金の事業計画書は様式が異なりますが、「現状の課題→解決策→投資→効果(売上・付加価値・賃上げ)」という流れは共通です。いずれも、上の8項目を自分の言葉と数字で埋められれば、骨格は完成します。

3. 一番大事なのは「数値計画」——根拠のある数字を作る

事業計画書の合否を分けるのは、文章よりも数値計画です。とくに重要なのが次の3つです。

① 売上計画(根拠が命)

「売上見込み1,000万円」とだけ書いても、審査では評価されません。売上は必ず分解して根拠を示します

💡 売上の根拠の作り方(例):飲食店なら「客単価 × 席数 × 回転数 × 営業日数」、美容室なら「単価 × 1日の施術数 × 稼働日数」、BtoBなら「顧客数 × 平均受注額 × 受注頻度」。このように要素に分解し、各数字の出どころ(相場・実績・見積り)を添えると、一気に説得力が増します。

② 損益計画(利益が出る構造か)

売上から、原価・人件費・家賃・経費を引いて、利益が残る構造になっているかを示します。創業当初は赤字でも、何か月目から黒字化し、借入をどう返していくかの道筋を描くことが重要です。

③ 資金繰り計画(黒字でも倒産しない設計)

利益が出ていても、入金より先に支払いが来れば資金はショートします。「いつ・いくら入って・いくら出るか」を月単位で並べた資金繰り表で、手元資金が尽きないことを示します。ここを軽視した計画は、金融機関に「現場を分かっていない」と見抜かれます。

❌ やりがちな失敗
  • 売上を「これくらい欲しい」という願望で書き、根拠がない
  • 黒字の損益計画だけ作り、入出金のタイミング(資金繰り)を見ていない
  • 自己資金がほとんどないのに、全額を借入で賄う計画にしている
  • 経費(特に人件費・社会保険料・税金)を低く見積もり、利益を多く見せてしまう
⭕ 王道の対応
  • 売上は必ず要素分解して、各数字の根拠(相場・見積り・実績)を添える
  • 損益計画と資金繰り表をセットで作り、手元資金が尽きないことを示す
  • 自己資金を一定割合用意し、「自分も身銭を切っている」ことを示す
  • 経費・税金・返済を保守的に見積もり、それでも回ることを示す

4. 融資の審査で見られるポイント(銀行・公庫の目線)

金融機関が事業計画書で見ているのは、突き詰めれば「貸したお金が、利益から返ってくるか」の一点です。具体的には次を確認しています。

着眼点審査で見られること
返済能力利益(とくに税引後利益+減価償却)で、毎年の返済を賄えるか
自己資金自分でいくら用意したか。公庫の新規開業資金では要件は撤廃されたが、実務では2〜3割程度の自己資金が望ましい
経営者の経験その事業の経験・実績があるか(②経営者の略歴の重要性)
計画の根拠売上・利益の数字に、第三者が納得できる裏づけがあるか
資金使途借りたお金を何に使うか(設備か運転か)が明確か

なお、決算を重ねた既存企業の融資では、事業計画書に加えて決算書が重視されます。銀行が決算書のどこを見るか(債務償還年数・自己資本比率など)は、別記事「銀行が『貸したくなる』決算書の条件」で詳しく解説しています。

💬 実務の現場から
——弊社にも、「自分で書いた計画書で融資を申し込んだが、希望額に届かなかった」というご相談が実際に寄せられます。過去のご相談の傾向として申し上げると、つまずきの多くは『数字の根拠が薄い』ことにあります。私たちが関与する場面では、売上の積み上げ根拠づくりから資金繰り表の作成、面談の想定問答まで一緒に準備し、グループのユウシサポと一体で金融機関との折衝までご支援しています。

5. 補助金の事業計画書で「点を取る」コツ

補助金(ものづくり補助金・新事業進出補助金・事業承継M&A補助金など)は、審査員が点数をつけて採択を決めます。融資が「返せるか」を見るのに対し、補助金は「社会的・経済的にどれだけ価値を生むか」を見ます。点を取るコツは次のとおりです。

  • 公募要領の加点項目に沿って書く:賃上げ、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の向上、生産性向上などが評価されます。求められている指標を、計画の中で数値目標として明確に示します。
  • 「現状の課題→解決策→投資→効果」の論理をつなぐ:なぜこの投資が必要で、その結果どんな数字(売上・付加価値・雇用)がどれだけ伸びるかを、因果が通る形で書きます。
  • 数値目標を具体的に:「売上を伸ばす」ではなく「3年後に付加価値額を年率○%向上」など、検証可能な数字で示します。

補助金は採択されても後払い(精算払い)が原則です。先に自己資金や「つなぎ融資」で投資を立て替える必要があるため、補助金と融資はセットで設計するのが実務の鉄則です。

6. 自分で作るか、専門家と作るか

事業計画書は自分で作ることもできます。ただし、融資・補助金の獲得額は、計画書の完成度で数百万円〜数千万円単位で変わります。とくに次のような場合は、認定経営革新等支援機関(税理士など)と一緒に作る価値が大きくなります。

  • 創業融資で、できるだけ多くの金額を、有利な条件で引きたい
  • 補助金で確実に採択を狙いたい(加点・数値計画の作り込みが必要)
  • 数値計画(損益・資金繰り)に自信がない
  • 金融機関との面談・折衝の進め方が分からない

認定経営革新等支援機関の関与は、補助金の申請要件や加点になる場合もあります。「どこに相談すればよいか分からない」という段階でも、まずはご相談ください。

よくある質問(FAQ)

事業計画書に決まった様式はありますか?

融資先・補助金ごとに様式が異なります。創業融資なら日本政策金融公庫の「創業計画書」、補助金なら各公募要領の様式に従います。様式が自由な場合も、本記事の8項目+数値計画を押さえれば十分です。

売上計画はどこまで細かく書けばいいですか?

「客単価×客数×営業日数」など、第三者が検算できるレベルまで分解します。各数字の根拠(相場・見積り・自分の経験値)も添えてください。願望ベースの数字は逆効果です。

自己資金はいくら必要ですか?

公庫の新規開業資金では自己資金要件は撤廃されましたが、実務では総額の2〜3割程度の自己資金があると審査で有利です。自己資金は「計画性と本気度」を示す材料になります。

赤字の計画では融資は通りませんか?

創業当初の一時的な赤字は問題になりにくく、重要なのは「何か月目から黒字化し、返済できるか」の道筋です。黒字化のシナリオと資金繰りを示せれば評価されます。

補助金はもらえれば返さなくていいのですか?

原則返済不要ですが、後払い(精算払い)のため先に投資を立て替える必要があります。採択後に交付決定額の一部返還を求められる事後要件(収益納付など)がある制度もあるため、公募要領の確認が必要です。

8. まとめ

事業計画書は、融資・補助金の合否を決める「お金を引き出すための設計図」です。ポイントは次のとおりです。

  • 構成は、公庫の創業計画書8項目を土台にすれば迷わない。
  • 合否を分けるのは文章より数値計画。売上は根拠ある分解で、損益と資金繰り表をセットで作る。
  • 融資は「返せるか」、補助金は「どれだけ価値を生むか」を見られる。相手の目線で書く。
  • 補助金は後払い。融資(つなぎ資金)とセットで設計するのが実務の鉄則。

「融資でできるだけ多く引きたい」「補助金で採択を狙いたい」「数値計画に自信がない」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、認定経営革新等支援機関として、事業計画書づくりから数値計画の作成、グループのユウシサポと一体での金融機関折衝・補助金申請まで伴走支援しています。資金調達をお考えの方は、動く前にお気軽にご相談ください。

出典・参考資料

  • 日本政策金融公庫「創業計画の書き方」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/business-plan/
  • 中小企業庁・各補助金事務局 公募要領(ものづくり補助金・新事業進出補助金・事業承継M&A補助金 等)
ご利用上の留意事項
本記事は、事業計画書の作成に関する一般的な情報提供であり、個別の融資・補助金の採否や条件を保証するものではありません。各制度の要件・様式・自己資金の取扱いは変更される場合があります。実際の申請にあたっては、各制度の最新の公募要領・募集要項および税理士等の専門家にご確認ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年6月8日

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」を掲げ、税務顧問・改正対応から資金調達・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp