住宅ローン控除とは?控除率0.7%・令和8年の借入限度額・子育て世帯の上乗せまで税理士が解説【2026年版】

「マイホームを買うと税金が10年以上戻ると聞いたけれど、いくら戻るのか、自分の家は対象なのかが分からない」——住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅取得を後押しする最も金額の大きい税制優遇のひとつです。年末のローン残高の0.7%が、毎年の所得税(と一部は住民税)から直接差し引かれます。しかも令和8年(2026年)からは制度が5年延長され、省エネ性能の高い既存住宅への支援拡充・床面積要件の緩和など、内容が見直されました。税理士法人 小山・ミカタパートナーズでも、経営者・個人の住宅取得にあたって「うちは控除をいくら受けられるか」というご相談が実際に寄せられます。 本記事では、住宅ローン控除の仕組み(控除率0.7%・控除期間)、令和8年改正後の住宅の環境性能ごとの借入限度額(国土交通省の一次資料に基づく正確な表)、子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せ、所得・床面積などの適用要件、所得税から引ききれないときの住民税控除、初年度の確定申告と必要書類まで、2026年(令和8年)時点の最新の取扱いで網羅的に解説します。根拠は租税特別措置法第41条、概要は国税庁タックスアンサー No.1211-1に示されています。
📋 この記事の目次
  1. 1. 住宅ローン控除とは何か(3行サマリー)
  2. 2. ★令和8年(2026年)入居の借入限度額【国交省の一次表】
  3. 3. 「子育て世帯・若者夫婦世帯」とは
  4. 4. ★適用を受けるための主な要件
  5. 5. 所得税から引ききれないときは住民税からも控除
  6. 6. ★よくある失敗と王道(初年度の確定申告・繰上返済)
  7. 7. 初年度の確定申告と必要書類
  8. 9. まとめ
  9. よくある質問(FAQ)

1. 住宅ローン控除とは何か(3行サマリー)

  • 住宅ローンを使ってマイホームを取得・新築・増改築した人が、年末のローン残高 × 0.7% を、毎年の所得税から直接差し引ける制度です(控除=税額そのものが減る)。
  • 控除を受けられる期間は、新築・買取再販は原則13年、中古(既存)住宅は原則10年(令和8年改正で省エネ性能の高い既存住宅は13年に拡充)。
  • 合計所得金額2,000万円以下などの要件があり、初年度は必ず確定申告が必要(会社員は2年目以降、年末調整で受けられます)。

「所得控除」ではなく「税額控除」である点が住宅ローン控除の強みです。たとえば年末残高3,000万円なら、その年の控除額は 3,000万円 × 0.7% = 21万円。納めるべき所得税からそのまま21万円が引かれます。

2. ★令和8年(2026年)入居の借入限度額【国交省の一次表】

控除額は「年末残高 × 0.7%」ですが、残高をいくらまで控除対象にできるか(借入限度額)は、住宅の環境性能で変わります。令和8年度税制改正で住宅ローン減税は5年延長(令和8年1月1日〜令和12年12月31日入居が対象)され、限度額は次のとおりです。カッコ内は「子育て世帯・若者夫婦世帯」への上乗せ後の限度額です。

住宅の性能区分借入限度額(一般世帯)借入限度額(子育て・若者夫婦世帯)控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅新築・買取再販4,500万円5,000万円13年
長期優良住宅・低炭素住宅既存(中古)3,500万円4,500万円13年
ZEH水準省エネ住宅新築・買取再販3,500万円4,500万円13年
ZEH水準省エネ住宅既存(中古)3,500万円4,500万円13年
省エネ基準適合住宅新築・買取再販2,000万円3,000万円13年(※)
省エネ基準適合住宅既存(中古)2,000万円3,000万円13年
その他の住宅(省エネ基準を満たさない)新築支援対象外支援対象外
その他の住宅(省エネ基準を満たさない)既存(中古)2,000万円2,000万円10年

(出典:国土交通省「住宅ローン減税等の住宅取得等促進策に係る所要の措置」別紙1。控除率はいずれも0.7%) ※ 省エネ基準適合住宅の新築は令和8年(2026年)入居分が借入限度額2,000万円(子育て世帯3,000万円)・13年。令和9年(2027年)以降の入居は原則支援対象外ですが、令和9年末までに建築確認を受けた等の場合は借入限度額2,000万円・控除期間10年で適用を受けられます。

最大控除額のイメージ:新築の長期優良住宅を子育て世帯が取得した場合、借入限度額5,000万円 × 0.7% × 13年 = 最大455万円。一般世帯の省エネ基準適合住宅(新築)なら 2,000万円 × 0.7% × 13年 = 最大182万円が上限の目安です(実際は毎年のローン残高と納税額により決まります)。

💡 令和6年(2024年)以降に新築する場合、原則として省エネ基準を満たさない「その他の住宅」は住宅ローン控除を受けられません。これから家を建てる方は、省エネ基準適合・ZEH水準・長期優良のいずれかに該当するかが、控除を受けられるかどうかの分かれ目になります。性能の証明書類は契約・引渡し時に必ず受け取ってください。

3. 「子育て世帯・若者夫婦世帯」とは

借入限度額の上乗せ(カッコ内の額)を受けられるのは、次のいずれかに当てはまる世帯です(国土交通省)。

  • 19歳未満の子を有する世帯、または
  • 夫婦のいずれかが40歳未満の世帯

該当するかどうかは、原則としてその年の12月31日時点で判断します。共働きで夫婦それぞれがローンを組む「ペアローン」の場合は、それぞれが要件を満たせばそれぞれの借入分について控除を受けられます。

4. ★適用を受けるための主な要件

住宅ローン控除を受けるには、次の要件をすべて満たす必要があります(国税庁 No.1211-1)。

要件内容
自分で住む取得・新築から6か月以内に入居し、その年の12月31日まで引き続き住んでいること
合計所得金額その年の合計所得金額が2,000万円以下であること
床面積原則40㎡以上(令和8年改正で50㎡→40㎡に緩和)。ただし40㎡以上50㎡未満の住宅は、その年の合計所得金額が1,000万円以下の場合に限り対象。店舗併用は床面積の2分の1以上が居住用であること
借入金返済期間が10年以上の住宅ローンであること(親族・知人からの借入は対象外)
住宅の性能新築は原則として省エネ基準適合以上であること(その他の住宅の新築は原則対象外。第2章参照)
💡 令和10年(2028年)以降に入居する新築住宅は、土砂災害特別警戒区域などの「災害レッドゾーン」に所在する場合、住宅ローン控除の対象外になります(建替え・既存住宅・リフォームは対象)。これも令和8年度改正で加わった要件です(国土交通省)。

5. 所得税から引ききれないときは住民税からも控除

住宅ローン控除は所得税から差し引きますが、その年の所得税額より控除額が大きく、引ききれない場合は、残りを翌年度の住民税から控除できます。住民税からの控除には上限があり、前年の課税総所得金額等の5%(最高9万7,500円)までです(令和4年以降入居分。国税庁 No.1211-1・総務省)。

たとえば控除額が21万円でも、その年の所得税が15万円しかなければ、所得税から15万円・住民税から最大6万円(上限の範囲内)といった形で控除されます。「納めた税金以上には戻らない」のが税額控除の基本で、住民税控除はその取りこぼしを一定範囲で救済する仕組みです。

6. ★よくある失敗と王道(初年度の確定申告・繰上返済)

❌ やりがちな失敗
  • 会社員だから年末調整で済むと思い込み、初年度に確定申告をせず、その年の控除を取りこぼした
  • これから建てる家が省エネ基準を満たさず、新築なのに控除を受けられなかった
  • 性能を証明する書類(住宅性能評価書・省エネ性能証明書等)を引渡し時に受け取らず、申告で慌てた
  • 借入金の返済期間を短く設定しすぎて10年未満になり、要件を外した/繰上返済で残り返済期間が10年未満になった
  • 自分の所得税額を超える控除を期待し、「満額455万円戻る」と誤解していた(戻るのは納めた税額の範囲+住民税の上限まで)
⭕ 王道の対応
  • 初年度は必ず確定申告する(2年目以降、給与所得者は年末調整で控除可)
  • 新築は省エネ基準適合以上を満たすか、契約前に確認する。性能証明書は引渡し時に必ず受領
  • 返済期間は10年以上を確保。繰上返済をするなら、残りの返済期間が10年未満にならない範囲で行う
  • 借入限度額・控除期間は性能と入居年で決まるため、入居のタイミングまで含めて試算する
💬 実務の現場から
——弊社にも、「住宅ローン控除の初年度の申告を忘れていた」「ふるさと納税と医療費控除も一緒に申告したいが、住宅ローン控除と併用できるか」といったご相談が実際に寄せられます。一般論として申し上げると、住宅ローン控除は税額控除なので、ふるさと納税の限度額計算に影響することがあり、初年度はまとめて整理するのが安全です。私たちが関与する場面でも、初年度の確定申告で住宅・医療費・寄附をならべて、取りこぼしのない申告になっているかを確認しています。

7. 初年度の確定申告と必要書類

住宅ローン控除は、入居した年の翌年に確定申告をして初めて受けられます。会社員の方も初年度は確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で控除できます。

初年度の主な必要書類

  • 確定申告書、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 金融機関が発行する住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書
  • 登記事項証明書(床面積・取得年月日の確認)
  • 売買契約書・工事請負契約書の写し(取得対価の確認)
  • 認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合の場合は、住宅性能評価書の写しや住宅省エネルギー性能証明書など性能を証する書類
  • マイナンバー、本人確認書類、給与所得者は源泉徴収票の内容

2年目以降は、税務署から送られる「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と、金融機関の年末残高証明書を勤務先に提出すれば、年末調整で控除を受けられます。

よくある質問(FAQ)

住宅ローン控除はいくら戻りますか?

毎年「年末のローン残高 × 0.7%」が、その年の所得税から差し引かれます。たとえば年末残高3,000万円なら年21万円。ただし戻るのは実際に納めた所得税の範囲までで、引ききれない分は翌年度の住民税から最高9万7,500円まで控除されます(国税庁 No.1211-1)。

会社員でも確定申告が必要ですか?

初年度は必要です。入居した年の翌年に確定申告をして初めて控除を受けられます。2年目以降は、税務署発行の控除証明書と金融機関の年末残高証明書を勤務先に提出すれば、年末調整で控除できます。

中古住宅でも住宅ローン控除は使えますか?

使えます。令和8年改正で、省エネ性能の高い既存住宅は借入限度額が引き上げられ、控除期間も13年に拡充されました(長期優良・ZEH・省エネ基準適合は子育て世帯で最大4,500万円・13年)。省エネ基準を満たさない「その他の住宅」の中古は2,000万円・10年です(国土交通省)。

繰上返済をすると控除はどうなりますか?

繰上返済自体は問題ありませんが、繰上返済によって当初からの返済期間が通算で10年未満になると、その後は住宅ローン控除を受けられなくなります。期間短縮型の繰上返済をする場合は、残りの返済期間が10年を切らないか確認しましょう。

ふるさと納税や医療費控除と併用できますか?

併用できます。ただし住宅ローン控除は税額控除のため、所得税・住民税の負担状況によってはふるさと納税の実質負担2,000円で収まる上限に影響する場合があります。初年度はまとめて試算するのが安全です。

9. まとめ

住宅ローン控除は、マイホーム取得を長期にわたって支える、金額の大きい税額控除です。令和8年(2026年)入居からの要点は次のとおりです。

  • 控除額は年末残高 × 0.7%。控除期間は新築・買取再販が原則13年、中古は原則10年(省エネ性能の高い既存住宅は13年に拡充)。
  • 借入限度額は住宅の環境性能で変わる。新築の長期優良住宅は一般4,500万円・子育て世帯5,000万円など(国交省の一次表のとおり)。
  • 子育て世帯・若者夫婦世帯(19歳未満の子がいる、または夫婦どちらかが40歳未満)は借入限度額が上乗せされる。
  • 主な要件は合計所得2,000万円以下・床面積40㎡以上(40〜50㎡は所得1,000万円以下)・返済期間10年以上。新築は省エネ基準適合以上が原則。
  • 初年度は確定申告が必須。所得税から引ききれない分は住民税から最高9万7,500円まで控除。

「自分の家はどの区分でいくら控除を受けられるか」「ふるさと納税・医療費控除と一緒に初年度の申告をどう整理するか」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」として、経営者・個人の住宅取得にまつわる税務から、所得全体を見据えた申告・節税の設計まで伴走しています。お気軽にご相談ください。

出典・参考資料

  • 租税特別措置法 第41条(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)
  • 国税庁 タックスアンサー No.1211-1「住宅借入金等特別控除の概要(住宅借入金等特別控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
  • 国土交通省「住宅ローン減税」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
  • 国土交通省「令和8年度税制改正概要/住宅ローン減税等の住宅取得等促進策に係る所要の措置(別紙1・令和7年12月)」 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001975750.pdf
ご利用上の留意事項
本記事は、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)に関する一般的な情報提供であり、個別の税務判断に代わるものではありません。借入限度額・控除期間・適用要件は住宅の性能・入居年・世帯構成・所得により異なります。制度内容は令和8年度税制改正の関係法令の成立により変更される場合があり、最新の借入限度額や証明手続きは関係法令成立後に確定します。実際の申告にあたっては、国税庁・国土交通省の最新情報および税理士等の専門家にご確認ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年6月15日

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」を掲げ、税務顧問・改正対応から資金調達・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp