住宅取得等資金の贈与の非課税とは?1,000万円まで無税・要件・令和8年末の期限を税理士が解説【2026年版】

「子どもがマイホームを建てるので資金を援助したいが、贈与税がかかるのでは」「祖父母から住宅資金を出してもらう予定だが、非課税で受け取る方法はないか」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズには、住宅取得を控えたご家族から、こうしたご相談が数多く寄せられます。直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税は、父母・祖父母からの住宅資金の贈与を、一定の要件のもとで最大1,000万円まで贈与税ゼロにできる制度です。しかも暦年課税の基礎控除や相続時精算課税と併用でき、非課税とした金額は相続財産に持ち戻されないため、富裕層の生前対策としても効果の大きい制度です。 ただし、この特例には令和8年(2026年)12月31日までという適用期限があり、贈与のタイミング・住宅の要件・翌年3月15日までの取得と居住など、外すと使えなくなる条件がいくつもあります。本記事では、非課税限度額、受贈者・住宅の要件、省エネ等住宅の判定、暦年課税・相続時精算課税との併用、そして落とし穴と対策までを、国税庁の取扱いに基づいて網羅的に解説します。
📋 この記事の目次
  1. 1. 住宅取得等資金の贈与の非課税とは(3行サマリー)
  2. 2. 非課税限度額(省エネ等住宅なら1,000万円)
  3. 3. 受贈者・住宅の要件(表で整理)
  4. 4. 「省エネ等住宅」(1,000万円枠)の要件
  5. 5. 暦年課税・相続時精算課税との併用(実質いくらまで無税か)
  6. 6. 税務調査・申告漏れを防ぐための落とし穴と対策
  7. 7. 実務でどう使うか(まとめの視点)
  8. 8. まとめ
  9. よくある質問(FAQ)

1. 住宅取得等資金の贈与の非課税とは(3行サマリー)

  • 父母や祖父母などの直系尊属から、自分が住むための家(マイホーム)の新築・取得・増改築のための資金の贈与を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税になる制度です(租税特別措置法第70条の2・国税庁No.4508)。
  • 非課税限度額は、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円です。この枠は暦年課税の基礎控除110万円や、相続時精算課税と併用できます。
  • 適用できるのは、令和6年1月1日から令和8年12月31日までに受けた贈与です。贈与を受けた翌年3月15日までにその資金の全額を住宅の取得等に充て、実際に居住する(または居住が確実と見込まれる)ことが必要です。
💡 非課税とした金額は、贈与者が亡くなったときの相続財産への持ち戻し(生前贈与加算)の対象になりません(国税庁No.4161)。暦年課税の通常の贈与は、相続開始前の一定期間分が相続財産に加算されますが、この住宅資金の非課税枠はそれとは切り離され、相続税の計算にも影響しません。ここが富裕層の相続対策として大きなポイントです。

2. 非課税限度額(省エネ等住宅なら1,000万円)

非課税限度額は住宅の性能によって2段階に分かれます。

住宅の区分非課税限度額
省エネ等住宅(省エネ・耐震・バリアフリーのいずれかの基準を満たす住宅)1,000万円
上記以外の住宅500万円

この非課税枠は、贈与を受ける人(受贈者)1人あたりの上限です。父からと母から、あるいは祖父からと父からのように複数の直系尊属から贈与を受けても、非課税にできる合計はこの限度額までです。

3. 受贈者・住宅の要件(表で整理)

非課税の適用を受けるには、贈与を受ける人(受贈者)と取得する住宅の両方が要件を満たす必要があります(No.4508)。主な要件は次のとおりです。

区分主な要件
贈与者受贈者の直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母など)。おじ・おば・配偶者の親は対象外
受贈者の年齢贈与を受けた年の1月1日において18歳以上
受贈者の所得贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下(取得する家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)
資金の使途自分が住むための家屋の新築・取得・一定の増改築等の対価に充てること
取得・居住の期限贈与を受けた年の翌年3月15日までに資金の全額を充てて新築・取得等をし、同日までに居住する(または遅滞なく居住することが確実と見込まれる)
床面積40㎡以上240㎡以下で、その2分の1以上が受贈者の居住用であること
中古住宅の場合昭和57年1月1日以後に建築されたもの、または一定の耐震基準を満たすことが証明されたものなど
増改築の場合工事費用が100万円以上で、居住用部分の工事費が全体の2分の1以上であることなど
💡 特に外しやすいのが「翌年3月15日までに取得・居住」の期限です。贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その資金を全額住宅に充てて引き渡しを受け、原則としてその日までに実際に住み始めていなければなりません。分譲マンションの引き渡しが遅れて期限に間に合わない、といったケースが典型的な失敗です。贈与と住宅取得のスケジュールは必ずセットで組みます。

4. 「省エネ等住宅」(1,000万円枠)の要件

非課税枠を500万円から1,000万円に引き上げるには、取得する住宅が「省エネ等住宅」に当たり、それを証明する書類(住宅性能証明書・建設住宅性能評価書の写しなど)を贈与税の申告書に添付する必要があります。省エネ等住宅とは、次のいずれかの基準に適合する住宅です(新築の場合。No.4508)。

  • 断熱等性能等級5以上、かつ、一次エネルギー消費量等級6以上であること
  • 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上、または免震建築物であること
  • 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること

このいずれか一つでも満たせば省エネ等住宅として1,000万円枠が使えます。なお、省エネ性能の基準は令和6年以降の贈与について引き上げられている(断熱等級5・一次エネ等級6)ため、以前の基準(断熱等級4など)の情報と混同しないよう注意が必要です。

💡 省エネ等住宅かどうかは、住宅の売主・施工会社に確認すれば証明書類を取得できることがほとんどです。1,000万円枠と500万円枠では非課税額が2倍違うため、贈与を実行する前に、取得する住宅が省エネ等住宅に該当するか・証明書を出してもらえるかを必ず確認しておきましょう。

5. 暦年課税・相続時精算課税との併用(実質いくらまで無税か)

この非課税枠は、贈与税の2つの課税方式(暦年課税・相続時精算課税)のどちらとも併用できます。まず非課税枠を差し引き、残った金額に対して基礎控除や特別控除を適用します。

併用パターン無税で受け取れる目安(省エネ等住宅1,000万円枠の場合)
暦年課税と併用非課税1,000万円 + 暦年課税の基礎控除110万円 = 1,110万円まで贈与税0円
相続時精算課税と併用非課税1,000万円 + 相続時精算課税の基礎控除110万円 + 特別控除2,500万円 = 3,610万円まで贈与税0円(特別控除分は相続時に精算)

※ 相続時精算課税を選択できるのは、原則として60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与です(No.4503)。特別控除2,500万円分は相続時に相続財産へ加算して精算される点に留意してください。一方、住宅取得等資金の非課税1,000万円(または500万円)の部分は、相続財産に加算されません

このように、住宅資金の非課税枠は単独で使うより、暦年課税や相続時精算課税と組み合わせることで、まとまった額を無税で次世代へ移せます。特に非課税分が相続財産に持ち戻されないことは、相続税のかかる富裕層にとって、単なる贈与税の節約にとどまらない相続税対策としての価値があります。

6. 税務調査・申告漏れを防ぐための落とし穴と対策

住宅資金贈与の非課税は、要件のどれか一つでも欠けると特例が使えず、多額の贈与税が生じます。よくある失敗と対策を押さえましょう。

❌ 住宅資金贈与でやってしまいがちな失敗
  • 住宅を取得・契約した後に資金の贈与を受けた(先に自己資金で払ってしまい、贈与資金を充てられない)
  • 贈与を受けた翌年3月15日までに引き渡し・居住が間に合わなかった(マンションの引き渡し遅延など)
  • 非課税で贈与税が0円になるからと、贈与税の申告をしなかった(申告が要件で、しないと非課税を受けられない)
  • 省エネ等住宅の証明書類を取得せず、1,000万円枠を使えなかった(500万円しか非課税にならない)
  • 資金を土地の購入だけに充て、期限までに家屋の取得(建物)が伴わなかった
⭕ 住宅資金贈与を確実に非課税にする王道
  • 贈与を先に受けてから、その資金を住宅の取得・新築の対価に充てる(お金の流れを通帳で残す)
  • 住宅の引き渡し・居住開始が翌年3月15日までに確実に収まるようスケジュールを組む
  • 贈与税が0円でも、翌年2月1日〜3月15日に贈与税の申告書と添付書類(戸籍謄本・契約書の写し等)を提出する
  • 省エネ等住宅なら住宅性能証明書などの証明書類を取得し、申告書に添付する(1,000万円枠の要件)
  • 暦年課税・相続時精算課税のどちらと組み合わせるかを、相続全体を見て選択する
💡 最大の落とし穴は「贈与税の申告を忘れる」ことです。非課税で税額が0円になる場合でも、この特例は申告書の提出が適用の条件です。申告しなければ特例を受けられず、原則どおり贈与税が課されます。「0円だから申告不要」は誤りで、期限内申告が必須です。

7. 実務でどう使うか(まとめの視点)

  • 住宅資金贈与の非課税は、マイホームの資金を親・祖父母から無税で受け取れる制度。省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外は500万円まで。
  • 適用期限は令和8年12月31日まで。使う予定があるなら、期限と住宅取得スケジュールを早めに固める。
  • 贈与が先・住宅取得が後翌年3月15日までの取得と居住贈与税の期限内申告——この3点が使えるかどうかの分かれ目。
  • 暦年課税・相続時精算課税と併用でき、非課税分は相続財産に持ち戻されないため、富裕層の相続対策としても有効。
  • どの課税方式と組み合わせるかは、相続税・二次相続まで見据えて設計する。
💬 実務の現場から
——「子や孫の住宅資金を援助したい」というご相談は、弊社でも実際によく頂きます。一般論として申し上げると、住宅資金贈与の非課税は要件を満たせば効果の大きい制度ですが、つまずきやすいのが「贈与と取得の順序・タイミング」と「申告」です。先に自己資金で払ってから贈与を受けてしまう、翌年3月15日までに引き渡しが間に合わない、非課税だからと申告を省いてしまう——こうした一つのつまずきで、特例が使えず多額の贈与税がかかることがあります。私たちが関与する場面では、贈与の実行時期・住宅取得のスケジュール・省エネ証明書の手配・暦年課税と相続時精算課税のどちらを選ぶかまで、相続全体を見据えて一体で設計し、期限内に正しく申告していただいています。

8. まとめ

住宅取得等資金の贈与の非課税は、親・祖父母からの住宅資金を最大1,000万円まで無税で受け取れ、非課税分は相続財産にも持ち戻されない、実務でも人気の高い制度です。要点は次のとおりです。

  • 省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外は500万円まで贈与税が非課税(租税特別措置法第70条の2・No.4508)。適用期限は令和8年12月31日まで。
  • 贈与が先・住宅取得が後翌年3月15日までの取得と居住贈与税の期限内申告が、適用の分かれ目。
  • 省エネ等住宅(1,000万円枠)は断熱等級5かつ一次エネ等級6/耐震等級2以上または免震/高齢者配慮等級3以上のいずれか+証明書が必要。
  • 暦年課税(110万円)や相続時精算課税(110万円+2,500万円)と併用でき、非課税分は生前贈与加算の対象外(No.4161)。
  • 「0円だから申告不要」は誤り。期限内申告が必須

「子や孫の住宅資金を無税で援助したい」「暦年課税と相続時精算課税のどちらで贈与すべきか相続全体で判断したい」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、公認会計士・税理士・米国公認会計士のトリプルホルダーの視点で、贈与の実行時期・金額の設計から、住宅取得スケジュールとの整合、省エネ証明書の手配、二次相続まで見据えた課税方式の選択、贈与税・相続税の申告まで一体でご支援しています。お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

住宅資金の贈与は、いくらまで非課税になりますか?

省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円までです(受贈者1人あたり)。さらに暦年課税の基礎控除110万円と併用すれば、省エネ等住宅で合計1,110万円まで贈与税が0円になります。適用できるのは令和8年12月31日までに受けた贈与です。

贈与税が0円なら、申告はしなくてよいですか?

いいえ。この非課税は贈与税の申告書を提出することが適用の要件です。税額が0円でも、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、非課税の適用を受ける旨を記載した申告書と添付書類を提出しないと、特例を受けられず原則どおり贈与税が課されます。

誰からの贈与でも対象になりますか?

対象は「直系尊属」からの贈与に限られます。父母・祖父母・曽祖父母は該当しますが、おじ・おば、配偶者の親(義父母)からの贈与は対象外です。受贈者は贈与を受けた年の1月1日に18歳以上で、合計所得金額が2,000万円以下であることも必要です。

非課税で受け取った住宅資金は、将来の相続で相続財産に足し戻されますか?

いいえ。この特例で非課税とした金額は、贈与者が亡くなったときの生前贈与加算(相続財産への持ち戻し)の対象になりません。相続税の計算にも影響しないため、相続税対策としても有効です。

相続時精算課税と一緒に使えますか?

使えます。まず非課税枠(1,000万円または500万円)を差し引き、残った金額に相続時精算課税の基礎控除110万円と特別控除2,500万円を適用できます。ただし特別控除2,500万円分は相続時に相続財産へ加算して精算されます(非課税枠の部分は加算されません)。暦年課税・相続時精算課税のどちらを選ぶかは、相続全体を見て判断してください。

出典・参考資料

  • 租税特別措置法第70条の2(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税)
  • 国税庁タックスアンサー No.4508(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税)
  • 国税庁タックスアンサー No.4503(住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例)
  • 国税庁タックスアンサー No.4161(贈与財産の加算と税額控除(暦年課税))
ご利用上の留意事項
本記事は、住宅取得等資金の贈与の非課税に関する一般的な情報提供であり、個別の税務判断に代わるものではありません。非課税の可否・限度額・住宅の要件は事実関係により異なり、適用期限や省エネ基準等の要件は改正により変わることがあります。実際の贈与・住宅取得・申告の判断にあたっては、税理士等の専門家にご確認ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年7月3日

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公認会計士・税理士・米国公認会計士のトリプルホルダーの視点で、住宅資金贈与の非課税枠の使い方から、贈与の実行時期・住宅取得スケジュールとの整合、省エネ証明書の手配、暦年課税と相続時精算課税のどちらを選ぶかの判断、二次相続まで見据えた設計と申告まで一体でご支援しています。子や孫の住宅資金を無税で援助したい方はお気軽にご相談ください。

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」を掲げ、税務顧問・改正対応から資産防衛・相続・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp

この記事は執筆時点の法令・通達に基づいています。最終確認日:2026年8月2日(現行制度との照合を実施)。税制は改正されます。実際のご判断の前に、最新の情報をご確認いただくか、税理士法人 小山・ミカタパートナーズまでご相談ください。