海外赴任の税金はどうなる?出国時の年末調整・非居住者の課税範囲・納税管理人を税理士が解説【2026年版】

「来月から海外赴任が決まったが、日本の税金はどうなるのか」「赴任中も日本の実家のマンションを人に貸している。申告はどうすればよいか」「役員のまま海外の子会社に出す予定だが、報酬から源泉徴収は必要か」——海外に人を送り出す企業と、送り出される本人の双方から、税理士法人 小山・ミカタパートナーズには、こうしたご相談が実際に寄せられます。 海外赴任の税務は、「出国の前」「赴任している間」「帰国した後」の3つの局面に分けて考えると、驚くほど整理しやすくなります。そして、どの局面でも判断の起点はただ一つ、その人が所得税法上の「居住者」なのか「非居住者」なのかです。 本記事では、出国時の年末調整、非居住者の間に日本で課税される所得の範囲、納税管理人の届出、住民税の扱い、帰国後の確定申告まで、国税庁の一次資料にもとづいて、赴任者本人と人事・経理の双方が使える形で解説します。
📋 この記事の目次
  1. 1. 海外赴任の税金(3行サマリー)
  2. 2. すべての起点——「居住者」と「非居住者」の区分
  3. 3. 出国の前にやること——出国時の年末調整と準確定申告
  4. 4. 赴任している間——日本で何に課税されるのか
  5. 5. 納税管理人——出国前に決めておくべき最重要の手続き
  6. 6. 住民税と社会保険はどうなるのか
  7. 7. 帰国した後——居住者に戻る
  8. 8. よくある失敗と王道
  9. 9. まとめ
  10. よくある質問(FAQ)

Table of Contents

1. 海外赴任の税金(3行サマリー)

💡 混同されやすいのですが、「海外に住んでいるから日本の税金は一切関係ない」わけではありません。住んでいる場所で切れるのは給与への課税であって、日本にある資産から生じる所得への課税は切れません。日本にマンション・駐車場・株式・ゴルフ会員権などを残したまま出国する方は、必ず本記事の第4章と第5章をお読みください。

2. すべての起点——「居住者」と「非居住者」の区分

定義

所得税法は、個人の納税義務者を居住者非居住者に区分し、課税される所得の範囲に違いを設けています。

区分定義課税所得の範囲
非永住者以外の居住者日本国内に住所を有する者、または日本国内に現在まで引き続き1年以上居所を有する者のうち、非永住者以外の者国内および国外において生じたすべての所得
非永住者居住者のうち、日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において日本国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下である者国外源泉所得以外の所得、および国外源泉所得で日本国内において支払われ、または国外から送金されたもの
非居住者居住者以外の個人国内源泉所得のみ

(出典:国税庁タックスアンサーNo.2010「納税義務者となる個人」 ※令和7年4月1日現在法令等。根拠法令=所得税法第2条、第5条、第7条)

1年以上か、1年未満か

会社員の海外赴任で実務上の分かれ目になるのは、赴任予定期間です。

  • 国外における在留期間があらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除き、1年以上の予定で海外の支店等に転勤・出向した人は、原則として日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者になります(所得税法施行令第15条)。
  • 逆に、1年未満の予定の出張・研修であれば、原則として居住者のままです。
💡 判定は「実際に何年いたか」ではなく、出国の時点で予定されていた期間で行うのが原則です。当初1年未満の予定で出国し、後から延長になった場合と、当初から1年以上の予定だった場合とでは、出国時の処理が変わります。辞令・赴任命令書に赴任期間の記載を残しておくことが、そのまま税務上の説明資料になります。

「住所」とは生活の本拠

所得税法上の「住所」とは、各人の生活の本拠をいいます。国内に生活の本拠があるかどうかは、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断します。「居所」とは、生活の本拠という程度には至らないものの、その人が現実に居住している場所をいいます。

(出典:国税庁タックスアンサーNo.2012「居住者・非居住者の判定(複数の滞在地がある人の場合)」。根拠法令=所得税法第2条、第3条、第7条、所得税法施行令第13条〜第15条、所得税基本通達2−1、3−1〜3−3)

国税庁は、同じページで次の2点を明示しています。実務でよく誤解される点なので、そのまま引用の形で押さえてください。

  • 滞在日数のみによって判断するものではないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合であっても、わが国の居住者となる場合がある。
  • 1年の間に居住地を数か国にわたって転々と移動する、いわゆる「永遠の旅人(Perpetual Traveler)」の場合であっても、その人の生活の本拠がわが国にあれば、わが国の居住者となる

両方の国で居住者になってしまったら

外国(A国)の居住者になるかどうかは、A国の法令によって決まります。その結果、日本でも居住者、A国でも居住者と判定される双方居住者になることがあります。この場合、日本とA国との間に租税条約があれば、その規定(いわゆるタイ・ブレーカー・ルール)に従っていずれの国の居住者であるかを判定します。必要に応じ、両国当局による相互協議が行われることもあります(同No.2012)。

3. 出国の前にやること——出国時の年末調整と準確定申告

出国時年末調整とは

海外に転勤・出向する人については、居住者としての最後の給与支給の際に年末調整を行い、源泉徴収された所得税および復興特別所得税を精算する必要があります(No.1920)。

対象となるのは、次のすべてを満たす人です。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出している居住者であること
  • その年の年末調整の対象となる、その年中に支払うべきことが確定した給与等の支給額が2,000万円以下であること
  • 1年以上の予定で海外に転勤することになったこと

この場合、給与等の支払を行う者は、その居住者が海外に出国する日までに年末調整をしなければなりません(国税庁タックスアンサーNo.2517「海外に転勤する人の年末調整と転勤後の源泉徴収」)。

控除は「いつの時点」で判定するのか

出国時年末調整でもっとも間違えやすいのが、各控除の判定時点です。国税庁の説明に沿って整理すると、次のとおりです。

控除の種類金額・判定の基準
社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除・小規模企業共済等掛金控除出国する日(居住者であった期間)までに支払われた金額に限られる
扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除出国の時に控除の対象となる者に係る所得控除額を控除できる
・生計を一にしていたかどうか、親族関係にあったかどうか出国の時の現況で判定
・合計所得金額の判定出国の時の現況により見積もったその年1月1日から12月31日までの合計所得金額で判定
基礎控除出国の時にその年の合計所得金額が2,500万円以下の者は控除できる
所得金額調整控除出国の時にその年の給与等の収入金額が850万円を超える者で、特別障害者に該当する者、年齢23歳未満の扶養親族を有する者、または特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する者は、(給与等の収入金額。1,000万円を超える場合は1,000万円)−850万円の10パーセント相当額を給与所得の金額から控除できる
特定親族特別控除令和7年12月1日に施行され、令和7年分の所得税から適用される控除

(出典:No.2517、No.1920)

年末調整でこれらの適用を受けようとする場合は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」「給与所得者の特定親族特別控除申告書」「給与所得者の基礎控除申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」および「所得金額調整控除申告書」を、出国までに会社へ提出する必要があります(No.2517)。

💡 ここが人事・給与担当者の腕の見せどころです。「12月にやる年末調整」を、その人だけ出国日に前倒しでやると考えてください。ただし保険料控除だけは「出国日までに支払った分」に切り取られ、扶養の判定は「出国時の現況で1年分を見積もる」という、通常の年末調整とは異なる時点ルールが入ります。出国のバタバタで申告書の回収が漏れると、控除がまるごと落ちます。赴任辞令が出た日に、申告書の回収スケジュールを逆算するのが実務の王道です。

準確定申告が必要になる場合

給与収入が2,000万円を超える人や、主たる給与以外に一定の収入があるなど確定申告が必要な人は、納税管理人の届出をしない場合、出国するまでに確定申告(準確定申告)をしなければなりません(No.1920)。

(ただし、確定申告書の提出期限が令和4年1月1日以後となる確定申告で、控除しきれなかった外国税額控除の額、源泉徴収税額または予定納税の額がある場合を除きます。)

つまり、出国前に納税管理人を届け出ておけば、申告期限は通常どおり翌年3月15日になります。届け出ないと、出国日が申告期限になってしまいます。これが納税管理人を出国前に決めておくべき最大の理由です。

4. 赴任している間——日本で何に課税されるのか

非居住者は国内源泉所得のみが課税対象です。では、その国内源泉所得とは何か。国税庁は次のように列挙しています。省略せず、全項目を掲載します。

番号国内源泉所得の内容
(1)恒久的施設帰属所得、国内にある資産の運用または保有により生ずる所得、国内にある資産の譲渡により生ずる所得
(2)組合契約等に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの
(3)国内にある土地、土地の上に存する権利、建物および建物の附属設備または構築物の譲渡による対価
(4)国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価(映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者、科学技術・経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務提供の対価)
(5)国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価
(6)日本の国債、地方債、内国法人の発行した債券の利子、外国法人が発行する債券の利子のうち恒久的施設を通じて行う事業に係るもの、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等
(7)内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等
(8)国内で業務を行う者に貸し付けた貸付金の利子で国内業務に係るもの
(9)国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料またはその譲渡の対価、著作権の使用料またはその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの
(10)給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に基因するもの、公的年金等、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等に基因するもの
(11)国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品
(12)国内にある営業所等を通じて締結した保険契約等に基づく年金等
(13)国内にある営業所等が受け入れた定期積金の給付補てん金等
(14)国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分配
(15)その他の国内源泉所得(国内において行う業務または国内にある資産に関し受ける保険金、補償金または損害賠償金に係る所得など)

(出典:国税庁タックスアンサーNo.2878「国内源泉所得の範囲」。根拠法令=所得税法第5条、第161条、第162条、第164条、所得税法施行令第282条。なお(1)(15)以外は源泉徴収の対象となり、租税条約に異なる定めがある場合は租税条約に従います)

以下、赴任者が実際に直面する順に見ていきます。

4-1. 給与——原則として日本の課税はない。ただし役員は別

非居住者が国外勤務で得た給与には、原則として日本の所得税は課税されません。上の表の(10)のとおり、給与のうち国内源泉所得となるのは国内において行う勤務に基因するものだからです。

ところが、内国法人の役員は扱いが違います。

  • 内国法人(本店または主な事務所が日本国内にある法人)の役員として国外で勤務した場合、その給与は日本国内で生じたものとして、支払を受ける際に20.42パーセント(所得税20パーセント、復興特別所得税0.42パーセント)の税率で源泉徴収されます。
  • ただし、役員であっても、その内国法人の使用人として常時海外において勤務を行う場合には、その勤務に対する給与について源泉徴収の必要はありません。たとえば、内国法人の取締役が海外支店の支店長など使用人として常時勤務している場合がこれに当たります。

(出典:国税庁タックスアンサーNo.1929「海外で勤務する法人の役員などに対する給与の支払と税務」。根拠法令=所得税法第2条、第5条、第161条、第162条、第164条、第170条、所得税法施行令第15条、第285条、所得税基本通達161−42)

💬 実務の現場から
「取締役のまま現地法人の社長として出しているが、日本本社から払っている報酬に源泉徴収は要るのか」というご相談は、実際によくお寄せいただきます。守秘義務がありますので詳細は控えますが、一般論として申し上げると、論点は肩書きではなく、その人が「役員として」働いているのか「使用人として常時海外で」働いているのかです。日本本社の経営会議に常時参加して意思決定に関与しているのか、それとも現地の業務執行に専念しているのか。職務分掌と実際の稼働実態が判断材料になります。ここを曖昧にしたまま源泉徴収をしていなかったために、後から不納付加算税・延滞税とともに追徴されるという構図は、決してめずらしくありません。

4-2. 賞与——計算期間に国内勤務が含まれるとき

海外で勤務している使用人や、使用人として常時海外で勤務している役員に対して、国内において賞与・ボーナスが支払われ、その計算期間内に日本で勤務した期間が含まれている場合には、日本での勤務期間に対応する金額に対して20.42パーセントの税率で源泉徴収が必要です。給与等の総額のうち国内において行った勤務に対応する部分の金額は、原則として按分により計算します。

なお、給与等の計算期間の中途において居住者から非居住者となった場合、給与等の計算期間が1か月以下であれば、その計算期間のうちに日本での勤務期間が含まれていても源泉徴収をしなくてもよいこととされています(給与等の全額が日本での勤務に対応する場合には、20.42パーセントの税率で源泉徴収が必要です)。

(出典:No.2517。根拠法令=所得税法第161条、第162条、第164条、第212条、第213条、所得税法施行令第285条、所得税基本通達161−41、161−42、212−5)

4-3. 日本の不動産を貸している——20.42パーセントの源泉徴収と申告

赴任中に日本のマンションを賃貸に出すケースは非常に多く、ここでつまずく方が目立ちます。

  • 国内にある不動産の賃貸料については、原則として、非居住者がその支払を受ける際に20.42パーセントの税率で源泉徴収されます。
  • ただし、不動産等の賃貸料で、自己またはその親族の居住の用に供するために借り受けた個人から支払われるものについては、源泉徴収は不要です。
  • 源泉徴収された場合でも、その源泉徴収税額の還付を受けるための申告を行うことができます。

(出典:国税庁タックスアンサーNo.1926「海外勤務中に不動産所得などがある場合」国税庁タックスアンサーNo.2884「源泉徴収義務者・源泉徴収の税率」

💡 実務上とても重要な非対称があります。借り手が「法人」なら源泉徴収され、借り手が「自分または親族が住むために借りた個人」なら源泉徴収されない、という区分です。社宅として法人が借り上げる場合は20.42パーセントが天引きされ、家族向けに個人へ貸す場合は天引きされません。そして天引きされた場合でも、必要経費(減価償却費・管理費・固定資産税・借入金利子など)を差し引いた実際の所得で計算し直せば、多くの場合は還付になります。管理会社に任せきりで申告をしていないと、取られっぱなしになります。

4-4. 日本の不動産を売った——10.21パーセントの源泉徴収

非居住者が日本国内にある不動産を売却したときの所得(譲渡所得)には、日本で所得税が課税されます。譲渡所得の金額の計算方法は、居住者の場合と同様です。

  • 非居住者が国内にある土地等の不動産を売却して受け取る譲渡対価は、原則として10.21パーセント(所得税10パーセント、復興特別所得税0.21パーセント)の税率で源泉徴収されます。この源泉徴収税額の還付を受けるための申告を行うこともできます。
  • ただし、その譲渡対価が1億円以下で、その土地等を購入した人が自己またはその親族の居住用に購入した場合は、源泉徴収されません。

(出典:国税庁タックスアンサーNo.1932「海外勤務中に不動産を売却した場合」、No.2884)

申告期限は原則として、その年の翌年2月16日から3月15日までです。確定申告書を提出するときまでに、あらかじめ納税管理人を定めて届け出る必要があります(同No.1932)。

4-5. 株式を売った——課税されるのは限られた6類型

給与所得者が海外勤務中であれば、一般的には恒久的施設を有しない非居住者に該当します。恒久的施設を有しない非居住者が株式等を譲渡した場合、申告対象の国内源泉所得として課税されるのは、次の1から6のいずれかに該当する所得だけです。

番号課税対象となる株式等の譲渡による所得課税方式
1買集めによる株式等の譲渡による所得(同一銘柄の内国法人の株式等を買い集め、その所有者である地位を利用して、その株式等をその内国法人もしくはその特殊関係者に対し、またはこれらの者もしくはその依頼する者のあっせんにより譲渡することによる所得)申告分離課税
2事業譲渡類似の株式等の譲渡による所得(内国法人の特殊関係株主等である非居住者が行う、その内国法人の一定の株式等の譲渡による所得)申告分離課税
3税制適格ストックオプションの権利行使により取得した特定株式等の譲渡による所得申告分離課税
4不動産関連法人の一定の株式の譲渡による所得申告分離課税
5日本に滞在する間に行う内国法人の株式等の譲渡による所得申告分離課税
6日本国内にあるゴルフ場の株式形態のゴルフ会員権の譲渡による所得総合課税

(出典:国税庁タックスアンサーNo.1936「海外勤務中に株式を譲渡した場合」。根拠法令=所得税法第2条、第5条、第7条、第161条、第164条、第165条、所得税法施行令第15条、第280条、第281条、租税特別措置法第29条の2、第37条の10、第37条の11、第37条の12、租税特別措置法施行令第19条の3)

上記2の「一定の株式等の譲渡」とは、次の(1)および(2)の両方を満たす場合の、譲渡年における(2)の株式または出資の譲渡をいいます。

  • (1) 譲渡年以前3年以内のいずれかの時において、その内国法人の特殊関係株主等がその内国法人の発行済株式または出資の総数または総額の25パーセント以上に相当する数または金額の株式または出資を所有していたこと。
  • (2) 譲渡年において、その非居住者を含むその内国法人の特殊関係株主等が最初にその内国法人の株式または出資の譲渡をする直前の、その内国法人の発行済株式または出資の総数または総額の5パーセント以上に相当する数または金額の株式または出資の譲渡をしたこと。

上記4の「不動産関連法人」とは、株式の譲渡の日から起算して365日前の日からその譲渡の直前の時までの間のいずれかの時において、その有する資産の価額の総額のうちに、国内にある土地等(およびその有する資産の価額の総額のうちに国内にある土地等の価額の合計額の占める割合が50パーセント以上である法人の株式など一定の資産)の価額の合計額の占める割合が50パーセント以上である法人をいいます。

なお、これらに該当する場合であっても、租税条約により日本で課税されないことがあります(同No.1936)。

💡 裏を返せば、上場株式を証券口座で普通に売買している限り、非居住者期間中の譲渡益は日本で課税されないのが原則です。一方で、オーナー経営者が自社株を海外赴任中に譲渡する場合は、上の2(事業譲渡類似)に真正面から当たり得ます。さらに、赴任前の段階で国外転出時課税(いわゆる出国税)の対象になる可能性もあります。株式を持っている人の海外赴任は、辞令が出た瞬間から税務の設計対象だとお考えください。

5. 納税管理人——出国前に決めておくべき最重要の手続き

納税管理人とは

納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わってする人のことです。法人でも個人でも構いません(No.1926)。

非居住者が、確定申告書の提出、税務署等からの書類の受け取り、税金の納付や還付金の受け取り等、納税義務を果たすために定めるものです(No.1923)。

いつ、誰が、どこへ届け出るのか

確定申告等が必要となる場合には、納税管理人を定め、「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を、その非居住者の納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。

  • この届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は納税管理人あてに送付されます。
  • ただし、確定申告書は非居住者の納税地を所轄する税務署長に対して提出します(納税管理人の住所地の税務署ではありません)。
  • 帰国して居住者になるなど、先に選任していた納税管理人を解任する場合も、同じ届出書を提出します。
  • 納税管理人を変更する場合は、既に届け出ている納税管理人を届出書により解任したうえで、届出書により新たな納税管理人を選任します。

(出典:No.1923。根拠法令=所得税法第2条、第5条、第7条、第15条、第120条、第161条、第164条、第165条、第166条、所得税法施行令第15条、国税通則法第12条、第117条、国税通則法施行令第39条、国税通則法基本通達117関係2)

届け出たかどうかで、申告のしかたが変わる

ここが本章の核心です。国税庁は3つの場面に分けて説明しています。

場面申告の内容と期限
(1) 出国の時までに納税管理人を指定した場合その年1月1日から出国する日までの間(居住者期間)に生じたすべての所得と、出国した日の翌日からその年12月31日までの間(非居住者期間)に生じた国内源泉所得の合計額について、翌年2月16日から3月15日までに納税管理人を通じて確定申告および納税をする
(2) 納税管理人を指定しないで出国する場合居住者期間に生じたすべての所得について、出国の日までに確定申告(準確定申告)をする。さらに非居住者期間に国内源泉所得が生じる場合は、居住者期間に生じたすべての所得と非居住者期間に生じた国内源泉所得との合計額について、納税管理人を通じるなどして、翌年2月16日から3月15日までに確定申告および納税をする
(3) 年を通じて海外に勤務している場合海外勤務となった年の翌年以後も、日本国内に国内源泉所得があり、その所得の金額が基礎控除額を超える場合には、原則として翌年2月16日から3月15日までに納税管理人を通じて確定申告をする

(出典:No.1926)

💡 (2)のパターンは、同じ年について2回申告することになるという点に注意してください。出国日までの準確定申告と、翌年3月15日までの本申告です。出国前に納税管理人を届け出ておけば、申告は翌年3月の1回で済みます。出国直前は引越し・ビザ・引継ぎで手いっぱいになりますから、この一手間を先に済ませておくだけで、後の負担がまったく変わります。

出国した年の所得控除は、どこまで使えるのか

出国年の確定申告で使える所得控除には、細かい線引きがあります。国税庁の説明を整理すると次のとおりです。

控除の種類適用の範囲
医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除居住者期間内に支払った金額を基に計算する
配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除(令和7年分以後)、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除海外に出発する日までに納税管理人の届出をした場合はその年の12月31日届出をしないで出国した場合はその出国の日で判定する
雑損控除、寄附金控除、基礎控除1年を通じて控除額を計算する。ただし非居住者期間内の雑損控除については、国内にある資産から生じた損失のみが対象

さらに、年を通じて海外に勤務している場合(上記(3))の所得控除は、雑損控除・寄附金控除・基礎控除だけが適用できます。ただし雑損控除は国内にある資産について生じた損失に限られます。

税額控除については、配当控除および外国税額控除の適用を受けることができる場合はこの控除を行い、控除後の所得税を計算します(No.1926)。

なお、非居住者が日本または租税条約の相手国の社会保険制度の下で支払った一定の保険料については、一定の金額を限度として控除することができます(同)。

住宅ローン控除は続けられるか

住宅借入金等特別控除の要件の一つに、住宅の取得等をした日から6か月以内に居住の用に供し、かつ、その年の12月31日まで引き続き居住していることがあります。しかし、家屋の所有者が転勤等のやむを得ない事情により居住できない場合であっても、一定の要件を満たす場合に限り、住宅借入金等特別控除等の適用を受けることができます(国税庁タックスアンサーNo.1234「転勤と住宅借入金等特別控除等」)。

適用を受けるには、転任の命令等により居住しないこととなる日までに所定の届出書等を税務署に提出しておく必要があります。取扱いは、家族全員で転居するのか本人だけが単身赴任するのか、赴任先が国内か国外か等によって異なりますので、出国前に必ず確認してください。

6. 住民税と社会保険はどうなるのか

住民税——課税されるかどうかは「1月1日」で決まる

個人住民税は、その年の1月1日現在に住所がある市区町村が課税します。東京都の場合、所得割と均等割は「1月1日現在、都内に住所がある方」が課税の対象で、各区市町村が都民税と区市町村民税とをあわせて徴収します(根拠条文=地方税法第23条、第24条、第39条、第292条、第294条、第318条)。

区分所得割均等割
1月1日現在、都内に住所がある方かかるかかる
1月1日現在、都内に事務所・家屋敷を持っている方(借りている場合を含み、貸している場合を除く)で、当該区市町村内に住所がない方かからないかかる

(出典:東京都主税局「個人住民税」

海外赴任にあてはめると、実務上のポイントは次の2点です。

  • 出国した年に納める住民税は、前年の所得に対するものです。海外に行ったからといって消えるわけではありません。出国後は納税管理人を通じて納めるか、出国前に一括徴収してもらう方法が一般的です。
  • 1月1日に日本に住所がなければ、その年度の個人住民税は課税されません。つまり、年末に出国するか年始に出国するかで、翌年度の住民税の有無が変わり得ます。
💡 「所得税は非居住者になった時点で切れるが、住民税は前年の所得に対して翌年に課される」——この1年のズレが、赴任者の資金繰りを狂わせる最大の要因です。出国の翌年6月に、日本にいないのに前年分の住民税の納税通知が届きます。会社の海外赴任規程で、この一括徴収分をどちらが負担するのかを定めていないと、赴任者本人との間でもめる原因になります。

社会保険——社会保障協定

日本と相手国の年金制度に二重に加入することを防ぎ、両国の年金加入期間を通算できるようにするための枠組みとして、社会保障協定が各国との間で結ばれています。適用証明書の交付を受けることで、一定期間、日本の制度にのみ加入し続けられる場合があります。

協定の締結国・発効状況・手続きは随時更新されますので、赴任先の国について、厚生労働省および日本年金機構が公表している最新の情報を必ずご確認ください。税務とは別の制度であり、税の取扱いとは連動しません。

(出典:厚生労働省「社会保障協定」、日本年金機構「社会保障協定」 ※協定の締結状況は随時更新されるため、本記事では個別の国名・発効日の記載を控えています)

7. 帰国した後——居住者に戻る

帰国後の給与と年末調整

日本に帰国した後は居住者となりますので、国内源泉所得に限らずすべての所得が課税の対象となります。

  • 帰国後に居住者となる人に支払う給与等で、その人が居住者となった日以後に支給期が到来するものについては、その給与等の金額のうちに非居住者であった期間の勤務に対応する部分および賞与の査定期間に対応する部分の金額が含まれているときであっても、その総額を居住者に対する給与等として源泉徴収をします。
  • 年末調整は、帰国日以後に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が提出されていれば、帰国日以後年末までに給与等の支給期が到来するものを対象として行います。
  • このとき、社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除については、帰国日以後に支払った保険料や掛金が対象です。障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除・基礎控除は、国内で勤務する従業員と同様の取扱いになります。

(出典:国税庁タックスアンサーNo.2518「海外出向者が帰国したときの年末調整」

帰国した年の確定申告

帰国した年分の確定申告は、帰国前の国内源泉所得(源泉分離課税となるものを除く)と帰国後のすべての所得を合計して計算します。次の人は原則として確定申告をする必要があります。

  • (1)帰国後の給与の収入金額が2,000万円を超える
  • (2)帰国前の国内源泉所得と、帰国後の年末調整の対象とされた給与および退職所得以外の所得の合計金額が20万円を超える

(確定申告書の提出期限が令和4年1月1日以後となる確定申告で、控除しきれなかった外国税額控除の額、源泉徴収税額または予定納税の額がある場合を除きます。)

確定申告における所得控除については、次の点に注意します。

  1. 医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の各控除の額は、居住者期間(帰国後)に支払った金額を基として計算します。
  2. 配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除(令和7年分以後)、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除および勤労学生控除の各控除の額は、その年の12月31日の現況により判定したところで計算します。
  3. 基礎控除の額は、居住者期間を有することとなるため、合計所得金額に応じて租税特別措置法第41条の16の2の規定による加算がされることとなります。

(出典:国税庁タックスアンサーNo.1935「海外勤務者が帰国したときの確定申告」

💡 帰国年は、現地でも日本でも申告が必要になることが多い年です。現地の税務年度(暦年とは限りません)と日本の暦年がずれるため、同じ所得が両国の申告に登場します。外国税額控除で二重課税を調整することになりますが、これには現地の納税証明書等の証拠書類の保存が前提です。帰任時に現地の書類を持ち帰らないと、後から取り寄せるのは想像以上に手間がかかります。

8. よくある失敗と王道

❌ 海外赴任の税務でよくある失敗
  • 出国のバタバタで各種申告書を回収し損ね、出国時年末調整で控除がまるごと落ちる
  • 納税管理人を届け出ずに出国し、出国日が申告期限になっていることに後から気づく
  • 日本のマンションを貸したまま出国し、20.42パーセント引かれっぱなしで還付申告をしていない
  • 取締役のまま海外に出したのに、役員報酬の20.42パーセント源泉徴収をしていない(No.1929)
  • 賞与の計算期間に国内勤務が含まれているのに、全額を国外勤務分として源泉徴収を行わない
  • 「1年の半分以上海外にいるから非居住者」と滞在日数だけで自己判断している(No.2012は明確に否定)
  • 住宅ローン控除の届出書を出国前に提出せず、控除が受けられなくなる
  • 出国翌年6月に届く住民税を想定しておらず、赴任者本人と会社で負担をめぐってもめる
  • 自社株を保有したまま赴任し、国外転出時課税の検討をしていない
  • 帰任時に現地の納税証明書を持ち帰らず、外国税額控除の証拠書類が揃わない
⭕ 海外赴任の税務の王道
  • 赴任辞令が出た日に、税務のチェックリストを起動する(出国日から逆算する)
  • 辞令・赴任命令書に赴任予定期間を明記する(1年以上か否かの判定資料になる)
  • 出国前に納税管理人を届け出る(申告期限が翌年3月15日になり、所得控除の判定日も12月31日になる)
  • 出国時年末調整に必要な5種類の申告書(配偶者控除等・特定親族特別控除・基礎控除・保険料控除・所得金額調整控除)を出国までに回収する
  • 日本の不動産を貸すなら、借り手が法人か個人かを確認し、源泉徴収の要否と還付申告の要否を先に決める
  • 役員を海外に出すときは、職務分掌と稼働実態を文書化し、源泉徴収の要否を出す前に固める
  • 住宅ローン控除の届出書を、居住しないこととなる日までに提出する
  • 会社の海外赴任規程に、住民税の一括徴収・税負担の会社負担分(グロスアップの有無)を明記する
  • 株式・不動産を持つ人の赴任は、国外転出時課税と事業譲渡類似株式の2点を必ず事前検討する
  • 帰任時に、現地の申告書控えと納税証明書を必ず持ち帰る

9. まとめ

海外赴任の税務は、論点が多いように見えて、判断の骨格はきわめてシンプルです。

  • 起点は居住者か非居住者か。1年以上の予定で海外の支店等に転勤・出向する人は、原則として非居住者と推定される(所得税法施行令第15条)。滞在日数だけでは判定しない(No.2012)。
  • 非居住者が日本で課税されるのは国内源泉所得だけ(所得税法第5条、第7条、第161条/No.2878)。
  • 出国の日までに年末調整で精算する。保険料控除は出国日までの支払分、扶養等の判定は出国時の現況(No.1920、No.2517)。
  • 国外勤務の給与は原則として日本の課税なし。ただし内国法人の役員は20.42パーセント源泉徴収(使用人として常時海外勤務なら不要)(No.1929)。
  • 日本の不動産の賃貸料は20.42パーセント(自己・親族の居住用に借りた個人からの支払は不要)、土地等の譲渡対価は10.21パーセント(1億円以下で買主が自己・親族の居住用なら不要)の源泉徴収。いずれも還付申告ができる(No.1926、No.1932、No.2884)。
  • 株式の譲渡益は、買集め・事業譲渡類似・税制適格ストックオプション・不動産関連法人・日本滞在中の譲渡・ゴルフ会員権の6類型だけが課税対象(No.1936)。
  • 納税管理人を出国前に届け出るかどうかで、申告期限(出国日か翌年3月15日か)と所得控除の判定日(出国日か12月31日か)が変わる(No.1923、No.1926)。
  • 住民税は1月1日が基準日(地方税法第294条等)。出国翌年に前年分の納税通知が届く1年のズレを、資金と規程の両面で織り込む。
  • 帰国後は居住者に戻り、帰国日以後に支給期が到来する給与は総額が課税対象。年末調整は帰国日以後の支給分が対象(No.2518、No.1935)。

「赴任者を出すが、社内に前例がない」「赴任中の日本の不動産をどう申告すればよいか分からない」「役員を海外に出すときの報酬設計を整理したい」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、公認会計士・税理士・米国公認会計士のトリプルホルダーの視点で、出国前のチェックから納税管理人としての申告代理、赴任規程の税務レビュー、帰任後の外国税額控除まで一体でご支援しています。辞令が出た段階でご相談いただくと、打てる手が最も多く残ります。

よくある質問(FAQ)

何年から「非居住者」になりますか?1年ちょうどの赴任はどちらですか?

国外における在留期間があらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除き、1年以上の予定で海外の支店等に転勤・出向した人は、原則として日本国内に住所を有しない者と推定され、非居住者になります(所得税法施行令第15条、国税庁タックスアンサーNo.1920)。「1年以上の予定」であれば非居住者と推定されますので、1年ちょうどの赴任は原則として非居住者側です。ただしこれは推定であり、生活の本拠が日本にあると認められる事情(家族が日本に残り、生活費の大半を日本で支出し、頻繁に帰国している等)があれば居住者と判定されることもあります。判定は住居・職業・資産の所在・親族の居住状況・国籍等の客観的事実によります(No.2012)。

海外赴任中も日本のマンションを貸します。確定申告は必要ですか?

必要になる場合があります。国内にある不動産の貸付けによる所得は国内源泉所得なので、非居住者でも日本で課税されます。原則として賃料の支払時に20.42パーセントが源泉徴収されますが(借り手が自己または親族の居住用に借りた個人である場合は源泉徴収されません)、これは収入金額に対する概算の天引きにすぎません。減価償却費・管理費・固定資産税・借入金利子などの必要経費を差し引いた実際の不動産所得で計算し直せば、多くの場合は還付になります。確定申告をするには、あらかじめ納税管理人を定めて「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を提出しておく必要があります(国税庁タックスアンサーNo.1926)。

納税管理人には誰を選べばよいですか。家族でも大丈夫ですか?

納税管理人は法人でも個人でも構いません(国税庁タックスアンサーNo.1926)。日本に残るご家族を選任することも可能です。ただし納税管理人は、確定申告書の提出、税務署からの書類の受け取り、納税、還付金の受け取りを実際に行う立場になります。不動産所得の申告のように毎年の実務が伴う場合は、税理士等の専門家を選任するほうが確実です。なお、届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は納税管理人あてに送付されますが、確定申告書自体は非居住者の納税地を所轄する税務署長に提出します(国税庁タックスアンサーNo.1923)。

海外赴任すれば住民税はかからなくなりますか?

すぐにはかかりません、というのが正確な答えです。個人住民税は、その年の1月1日現在に住所がある市区町村が課税し、前年の所得に対して課されます(地方税法第294条等)。したがって、出国した年に納める住民税は前年の所得に対するもので、海外に行っても消えません。出国後は納税管理人を通じて納めるか、出国前に給与から一括徴収してもらうのが一般的です。一方、1月1日に日本に住所がなければ、その年度の個人住民税は課税されません。出国のタイミングによって翌年度の住民税の有無が変わるため、資金計画に織り込んでおくことをおすすめします。

取締役のまま海外の子会社に出向します。日本の報酬から源泉徴収は必要ですか?

内国法人の役員として国外で勤務した場合、その給与は国内で生じたものとして、支払を受ける際に20.42パーセント(所得税20パーセント、復興特別所得税0.42パーセント)の税率で源泉徴収が必要です。ただし、役員であっても、その内国法人の使用人として常時海外において勤務を行う場合には源泉徴収の必要はありません。たとえば内国法人の取締役が海外支店の支店長など使用人として常時勤務している場合がこれに当たります(国税庁タックスアンサーNo.1929、No.2517)。判断の分かれ目は肩書きではなく実態ですので、職務分掌と実際の稼働実態を文書で残し、出向開始前に取扱いを固めておくことをおすすめします。

赴任前にやっておくべき手続きを、優先順位で教えてください。

優先順位は次のとおりです。①納税管理人の選任・届出(申告期限と所得控除の判定日が変わるため、最も影響が大きい)。②出国時年末調整に必要な各種申告書の提出(配偶者控除等・特定親族特別控除・基礎控除・保険料控除・所得金額調整控除。出国後に回収するのは困難)。③住宅ローン控除の届出書(居住しないこととなる日までに提出しないと控除が受けられません/国税庁タックスアンサーNo.1234)。④日本に残す不動産の賃貸契約と源泉徴収の確認。⑤株式を保有している場合の国外転出時課税と事業譲渡類似株式の検討。⑥住民税の一括徴収の要否確認。⑦社会保障協定に基づく適用証明書の申請。①〜③は期限が出国日に紐づいており、後からやり直せません。

出典・参考資料

ご利用上の留意事項
本記事は、海外赴任に伴う日本の所得税・住民税の取扱いに関する一般的な情報提供であり、個別の赴任事案に係る税務判断に代わるものではありません。居住者・非居住者の判定は事実認定を伴い、赴任先国の税制および日本と赴任先国との租税条約の内容によって取扱いが変わります。赴任先国での納税義務については、現地の専門家にもご確認ください。記載の取扱いは、とくに断りのない限り令和7年4月1日現在の法令等にもとづきます。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年7月30日

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」を掲げ、税務顧問・改正対応から資産防衛・相続・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp

この記事は執筆時点の法令・通達に基づいています。最終確認日:2026年8月2日(現行制度との照合を実施)。税制は改正されます。実際のご判断の前に、最新の情報をご確認いただくか、税理士法人 小山・ミカタパートナーズまでご相談ください。