日本の会社の60.3%は赤字|国税庁「会社標本調査」令和6年度分に見る299万社の実態を税理士が解説

「日本の会社の7割は赤字らしい」——経営者の集まりで、いまも当たり前のように語られる話です。実際、この数字は長いあいだ正しいものでした。 ところが、国税庁が令和8年3月に公表した最新の会社標本調査(令和6年度分)を開くと、様子が変わっています。全法人に占める欠損法人の割合は60.3%。ピークだった平成21年度の72.8%から、12ポイント以上下がりました。過去30年で見ても最も低い水準です。 一方で、欠損法人の数そのものは180万7,925社で、5年連続の増加です。割合は下がっているのに、社数は増えている。この一見ねじれた動きに、いまの日本企業の姿がそのまま出ています。 「うちは赤字だから法人税は関係ない」「同業はどのくらい儲かっているのか」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズにも、こうしたご相談は実際に寄せられます。本記事では、会社標本調査という国税庁が持っている最も網羅的な法人データを、「自社の位置はどこか」という経営者の目線で、税理士が読み解きます。
📋 この記事の目次
  1. 1. 何が分かったのか(3行サマリー)
  2. 2. 前提:会社標本調査とは何か
  3. 3. 「6割が赤字」の割合は、実は30年で最も低い
  4. 4. 業種別に見ると景色が変わる——赤字が多い業種、利益率が高い業種
  5. 5. 専門家の視点:「赤字」と「税金ゼロ」は同じではない
  6. 6. 稼いだお金はどこへ行ったのか——益金処分と繰越欠損金75兆円
  7. 7. 実務で押さえるべきこと
  8. 8. まとめ
  9. よくある質問(FAQ)

1. 何が分かったのか(3行サマリー)

  • 欠損法人の割合は60.3%(前年度比▲0.7ポイント)。ピークの平成21年度72.8%から下がり続け、過去30年で最も低い水準です
  • ただし欠損法人の数は180万7,925社で5年連続の増加。割合が下がったのは、利益計上法人が前年度比+3.3%と、より速く増えたからです
  • 所得金額は102兆609億円(前年度比+11.2%)で5年連続の増加・過去最高。法人税額は18兆6,822億円(同+13.9%)で4年連続の増加・過去最高となりました
💡 「欠損法人」は会計上の赤字会社ではありません … 会社標本調査でいう欠損法人とは、法人税の確定申告書に記載された所得金額がゼロ以下の法人をいいます。決算書(損益計算書)の当期純利益とは別物です。税務上の所得は、当期純利益に交際費等の損金不算入(租税特別措置法第61条の4)や減価償却超過額などの申告調整を加えて計算するため(法人税法第22条第1項)、会計上は黒字でも税務上は欠損、あるいはその逆ということが起こります。「6割が赤字」という言葉を、そのまま「6割の会社が儲かっていない」と読み替えることはできません。

2. 前提:会社標本調査とは何か

会社標本調査は、国税庁が昭和26年分から毎年実施している統計調査で、令和6年度分が第75回目にあたります。正式な報告書の名前は「税務統計から見た法人企業の実態」です。

特徴は次の2点です。

  • 法人の決算額ではなく、税務署に提出された法人税の確定申告書等の計数に基づいていること
  • 中小法人も調査対象に含み、法人組織である企業の全体を網羅していること

つまり、上場企業だけを見る統計とは違い、資本金1,000万円以下の会社まで含めた「日本の法人の全体像」が分かります。ここが経営者にとって使い勝手のよいところです。

集計の範囲は、次のとおりです。

項目内容
対象事業年度令和6年4月1日〜令和7年3月31日に終了した事業年度
申告の締め令和7年7月31日までに申告のあった事績
取りまとめ時点令和7年8月末現在
公表時期令和8年3月

サンプル調査である点にも注意が必要です。母集団は約300万社、標本サイズは約242万社で、標本法人割合は80.6%。17の業種区分と12の資本金階級区分で層化抽出を行っており、資本金10億円超の階級については全数抽出とされています。推定営業収入の総和に対する標準誤差率は全数で0.03%です。

⚠️ 「速報」ではない点に注意 … 令和6年度分の集計対象は令和6年4月から令和7年3月までに終了した事業年度です。公表は令和8年3月ですから、足元の景気そのものではなく、1〜2年前の申告実績を見ていることになります。数字を経営判断に使うときは、この時間差を必ず頭に置いてください。

3. 「6割が赤字」の割合は、実は30年で最も低い

令和6年度分の法人数は299万9,680社(前年度比+4.3万社、+1.5%)で、平成24年度以降12年連続の増加です。この内訳を見ていきます。

区分令和6年度分前年度比
利益計上法人119万1,755社+3.3%(4年連続増・過去最大)
欠損法人180万7,925社+0.3%(5年連続増)
合計299万9,680社+1.5%(12年連続増)
欠損法人割合60.3%▲0.7ポイント

ここが本記事でいちばんお伝えしたい点です。欠損法人割合が下がったのは、赤字会社が減ったからではありません。

  • 欠損法人は+4,722社(180万3,203社→180万7,925社)と、わずかに増えています
  • 利益計上法人は+3万8,241社(115万3,514社→119万1,755社)と、大きく増えています
  • 分母(全法人数)が伸びたぶん、割合として60.3%に下がった、という構造です

過去の推移を並べると、下がり方の流れが見えます。

年度欠損法人数欠損法人割合
平成21年度190万0千社72.8%(過去最大)
平成26年度172万9,372社66.4%
平成30年度169万2,623社62.1%
令和元年度169万1,357社61.6%
令和2年度173万9,778社62.3%
令和3年度175万7,601社61.7%
令和4年度177万7,413社61.1%
令和5年度180万3,203社61.0%
令和6年度180万7,925社60.3%

平成21年度(リーマン・ショック直後)の72.8%が過去最大で、そこから15年かけて12.5ポイント下がりました。「7割が赤字」は、もはや現在の日本の姿ではありません。

同時に押さえておきたいのが、規模によって景色がまったく違うという点です。会社標本調査には、グループ通算制度を使っている大企業グループ(通算法人18,051社)の内訳も載っています。

区分法人数欠損法人割合
全法人299万9,680社60.3%
うち通算法人1万8,051社41.4%

通算法人の欠損法人割合は41.4%。全体の60.3%と比べて、19ポイント近く低い。「赤字が多い」のは日本の法人全体の話であって、規模の大きい会社ほど黒字割合が高いという当たり前の事実が、数字ではっきり出ています。

なお、法人の内訳としては、資本金1,000万円以下が87.5%、1,000万円超1億円以下が11.9%で、この2階級だけで全体の99.4%を占めます。組織別では株式会社が89.7%(269万2,201社)、合同会社が7.2%(21万5,081社)です。日本の法人統計を語るときに見ているのは、実質的には中小企業の姿だということです。

4. 業種別に見ると景色が変わる——赤字が多い業種、利益率が高い業種

全体の60.3%という数字より、経営者にとって役に立つのは業種別の内訳です。会社標本調査は17業種に分けて公表しています。通算法人を除いた業種別の欠損法人割合と、利益計上法人の所得率(営業収入金額に対する所得金額の割合)を、全業種そのまま掲げます。

業種欠損法人割合所得率
農林水産業61.4%5.0%
鉱業58.4%19.0%
建設業57.2%6.6%
繊維工業71.5%7.5%
化学工業59.6%10.1%
鉄鋼金属工業61.1%6.2%
機械工業61.7%8.7%
食料品製造業67.7%4.9%
出版印刷業73.9%8.9%
その他の製造業66.7%9.1%
卸売業57.8%3.5%
小売業66.6%4.1%
料理飲食旅館業72.2%8.9%
金融保険業59.1%12.8%
不動産業52.5%14.2%
運輸通信公益事業59.1%5.8%
サービス業60.7%9.0%
通算法人41.4%7.3%
合計60.3%7.1%

読み方のポイントを3つに絞ります。

① 赤字が多い業種の顔ぶれ

欠損法人割合が高い順に、出版印刷業(73.9%)、料理飲食旅館業(72.2%)、繊維工業(71.5%)。いずれも7割を超えています。逆に低いのは不動産業(52.5%)、建設業(57.2%)、卸売業(57.8%)です。

② 「赤字が少ない」と「儲かっている」は別物

ここが混同されやすいところです。卸売業は欠損法人割合が57.8%と低いほうですが、所得率は3.5%で17業種中もっとも低い。薄利多売のビジネスモデルがそのまま数字に出ています。反対に鉱業は欠損法人割合58.4%と平均的でありながら、所得率は19.0%と最高です。

  • 赤字になりにくい業種 … 不動産業、建設業、卸売業
  • 利益率が高い業種 … 鉱業(19.0%)、不動産業(14.2%)、金融保険業(12.8%)
  • 利益率が低い業種 … 卸売業(3.5%)、小売業(4.1%)、食料品製造業(4.9%)
  • 両方を兼ね備える業種 … 不動産業(欠損法人割合52.5%・所得率14.2%)

③ 所得の伸びは業種で大きく割れた

令和5年度分から令和6年度分にかけて、業種別の所得金額の動きは一様ではありませんでした。増えた業種と減った業種の両方を挙げます。

業種令和6年度分の所得金額前年度からの増減率
料理飲食旅館業1兆5,934億円+64.6%
出版印刷業7,892億円+42.8%
金融保険業14兆8,546億円+34.0%
不動産業7兆1,346億円+17.8%
建設業7兆7,520億円+17.0%
サービス業16兆7,406億円+13.7%
機械工業14兆4,574億円▲7.0%
食料品製造業1兆8,388億円▲7.0%
その他の製造業3兆3,627億円▲8.1%

所得金額の増加額が最も大きかったのは金融保険業(+3兆7,703億円)増加率が最も高かったのは料理飲食旅館業(+64.6%)でした。コロナ禍で最も傷んだ業種が、ようやく利益を取り戻した年だったことが読み取れます。一方で減少額が最も大きかったのは機械工業(▲1兆834億円)減少率が最も高かったのはその他の製造業(▲8.1%)です。

💬 実務の現場から

5. 専門家の視点:「赤字」と「税金ゼロ」は同じではない

欠損法人が180万社あると聞くと、「では、その180万社は税金を1円も払っていないのか」という疑問が浮かびます。答えははっきり「いいえ」です。

法人税は所得がなければかかりませんが、会社にかかる税金は法人税だけではありません。

❌ よくある失敗
  • 「今期は赤字だから、税金の心配はいらない」と考えて資金繰りを組む
  • 赤字だからと申告そのものを後回しにし、青色申告の承認を失う
  • 欠損金の繰越控除が使えると思い込み、期限を過ぎてから気づく
⭕ 王道の進め方
  • 赤字でも発生する税金を先に洗い出し、資金繰り表に載せる
  • 赤字の年こそ期限内に確定申告を出し、欠損金を確実に繰り越す
  • 繰り越した欠損金の残り年数を管理し、黒字化のタイミングと突き合わせる

赤字でも発生する主な税金・負担は次のとおりです。

  • 法人住民税の均等割 … 所得に関係なく、資本金等の額などで決まります。標準税率では、道府県民税が資本金等の額1,000万円以下で年額2万円(地方税法第52条)、市町村民税が資本金等の額1,000万円以下かつ従業者数50人以下で年額5万円(同法第312条)。合わせて年7万円が下限で、これは赤字でもかかります
  • 消費税 … 課税売上に係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を差し引いて計算するため、法人税が赤字でも納付になることは珍しくありません
  • 源泉所得税 … 給与や報酬から預かった税金は、会社の損益と無関係に納付義務があります
  • 固定資産税・印紙税・自動車税 など、所得と無関係にかかるもの

さらに、外形標準課税の対象となる法人では、付加価値割・資本割が赤字でも課税されます。令和8年4月からは100%子法人等も対象に加わる改正が入っており、この点は別記事で詳しく整理しています。

もう一つ、赤字の年に必ずやっておきたいのが欠損金の繰越しです。

内国法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されます(法人税法第57条第1項)。ただし本文には限度があり、所得の金額の100分の50に相当する金額までとされています(同項ただし書)。

ここで中小企業にとって決定的に重要なのが、同条第11項です。各事業年度終了の時において資本金の額または出資金の額が1億円以下である普通法人(大通算法人等を除きます)などの中小法人等については、この読替規定により「所得の金額の100分の50に相当する金額」が「所得の金額」に読み替えられます。つまり、中小法人等は所得の全額まで繰越欠損金を使えるということです。

💡 繰越しの前提は「青色申告」です … 欠損金の繰越控除を使うには、欠損金額が生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出していることが必要です。赤字の年に「どうせ税金は出ないから」と申告を怠ると、その年の欠損金を将来の黒字と相殺する権利そのものを失います。赤字の年こそ、期限内申告の価値が大きいのです。

6. 稼いだお金はどこへ行ったのか——益金処分と繰越欠損金75兆円

会社標本調査には、経営者の関心に直結するデータがもう2つあります。

① 利益計上法人が稼いだお金の行き先

令和6年度分の利益計上法人の益金処分金額の総額は140兆3,268億円。その内訳は次のとおりです。

区分金額構成比
社内留保69兆7,386億円49.7%
支払配当41兆749億円29.3%
法人税額等20兆8,278億円14.8%
その他の社外流出8兆6,855億円6.2%
合計140兆3,268億円100.0%

稼いだお金のおよそ半分(49.7%)が社内に留保されていることになります。前年度から支払配当は+15.5%、法人税額等は+13.7%、社内留保は+7.9%と、いずれも増えました。「内部留保が積み上がっている」という議論の元データが、まさにこの数字です。

② 繰り越された赤字の総額

区分令和6年度分前年度比
繰越欠損金の当期控除額10兆5,157億円▲4.1%
繰越欠損金の翌期繰越額75兆4,819億円▲2.6%

翌期に繰り越された欠損金は75兆4,819億円。1事業年度当たりに直すと、当期控除額が1,216万円、翌期繰越額が4,235万円です。業種別に見ると、1事業年度当たりの翌期繰越額は鉱業(1億5,808万円)が最も高く、次いで化学工業(1億2,398万円)機械工業(1億1,463万円)の順でした。

翌期繰越額は前年度から2.6%減りました。黒字化した会社が過去の赤字を使い切りつつある、という読み方ができます。

このほか、経営者がよく気にする支出についても数字が出ています。

  • 交際費等の支出額は4兆4,139億円(前年度比+5.5%)で3年連続の増加。うち損金不算入額は1兆1,446億円で、損金不算入割合は25.9%です。営業収入金額10万円当たりの交際費等は242円でした
  • 寄附金の支出額は1兆1,618億円(同▲15.2%)。営業収入金額10万円当たり64円です
  • 当期発生分の減価償却費の損金算入額は49兆2,483億円で、損金算入限度額に対する損金算入の割合は93.9%。つまり、償却できる枠の約94%が実際に使われています

交際費等の損金不算入割合が25.9%という数字は、裏を返せば支出した交際費のうち約4分の3は損金になっているということです。交際費の取扱いは資本金の額によって枠が変わるため、この点は別記事で詳しく整理しています。

7. 実務で押さえるべきこと

会社標本調査を自社の経営に使うときのポイントを、4つに整理します。

  • 「6割が赤字」を自社の言い訳に使わない … この60.3%は税務上の所得がゼロ以下の法人の割合であって、経営が立ち行かない会社が6割あるという意味ではありません。役員報酬の設定や設備投資のタイミングによって、意図的に所得を圧縮している会社も相当数含まれています
  • 比較するなら業種別・規模別で見る … 全体平均の60.3%ではなく、自社の業種の数字(たとえば小売業なら66.6%、不動産業なら52.5%)と比べてください。所得率も同じで、卸売業の3.5%と不動産業の14.2%を同じ物差しで測っても意味がありません
  • 赤字でも出ていくお金を先に把握する … 法人住民税の均等割(標準税率で年7万円から)、消費税、源泉所得税は、赤字でもかかります。資金繰り表に必ず載せてください
  • 赤字の年こそ期限内に青色申告を出す … 欠損金を10年間繰り越せるかどうかは、その年の申告にかかっています。中小法人等であれば、将来の黒字の全額と相殺できます(法人税法第57条第11項)。ここを落とすと、取り返しがつきません

銀行との関係でも、この数字は効いてきます。金融機関は決算書を見て債務者区分を判断しますが、「赤字=即アウト」ではなく、赤字の中身と継続性を見ています。会社標本調査が示すとおり赤字の法人は珍しくありませんから、重要なのはなぜ赤字なのか、いつ黒字化するのかを自分の言葉で説明できるかです。

💬 実務の現場から

8. まとめ

国税庁「令和6年度分 会社標本調査」(令和8年3月公表)によれば、法人数は299万9,680社で12年連続の増加、欠損法人は180万7,925社欠損法人割合は60.3%(前年度比▲0.7ポイント)でした。ピークの平成21年度72.8%から下がり続け、過去30年で最も低い水準です。

ただし、欠損法人の数そのものは5年連続で増えています。割合が下がったのは、利益計上法人が前年度比+3.3%とより速く増えたためで、赤字の会社が減ったわけではありません。規模別に見れば、グループ通算制度を使う通算法人の欠損法人割合は41.4%にとどまり、規模による差もはっきり出ています。

業種別では出版印刷業(73.9%)、料理飲食旅館業(72.2%)、繊維工業(71.5%)で赤字が多く、不動産業(52.5%)が最も少ない。一方、利益計上法人の所得率は鉱業(19.0%)が最も高く、卸売業(3.5%)が最も低いという結果でした。「赤字になりにくい」と「儲かっている」は、別々に見る必要があります。

そして、赤字でも法人住民税の均等割(標準税率で年7万円から)・消費税・源泉所得税はかかります。赤字の年こそ期限内に青色申告を提出し、欠損金を10年間繰り越しておくことが、次の黒字年の税負担を左右します。中小法人等であれば所得の全額と相殺できます(法人税法第57条第11項)。

税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、決算数値を業種平均と突き合わせながら、税負担と金融機関からの評価の両面を見て決算方針をご提案しています。「うちの数字は業界のなかでどのあたりなのか」を整理したい方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

「日本の会社の7割は赤字」というのは、もう古い情報ですか?

はい。国税庁「令和6年度分 会社標本調査」では、全法人に占める欠損法人の割合は60.3%です。7割を超えていたのは平成21年度(72.8%)で、これが過去最大でした。そこから15年かけて12.5ポイント下がっており、令和6年度分は過去30年で最も低い水準です。

欠損法人割合が下がったのは、赤字の会社が減ったからですか?

いいえ。欠損法人の数は180万3,203社から180万7,925社へ4,722社増えており、5年連続の増加です。同じ期間に利益計上法人が115万3,514社から119万1,755社へ3万8,241社増えたため、分母が伸びて割合が下がりました。

会社標本調査の「欠損法人」は、決算書が赤字の会社という意味ですか?

いいえ。法人税の確定申告書に記載された所得金額がゼロ以下の法人をいいます。税務上の所得は、当期純利益に交際費等の損金不算入や減価償却超過額などの申告調整を加えて計算するため(法人税法第22条第1項)、会計上は黒字でも税務上は欠損になること、またその逆も起こります。

赤字なら税金は一切かかりませんか?

かかります。法人住民税の均等割は所得に関係なく課され、標準税率では道府県民税が資本金等の額1,000万円以下で年額2万円(地方税法第52条)、市町村民税が資本金等の額1,000万円以下かつ従業者数50人以下で年額5万円(同法第312条)で、合わせて年7万円が下限です。このほか消費税・源泉所得税・固定資産税なども、法人税の赤字とは無関係に発生します。

赤字は何年繰り越せますか?

各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額を、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入できます(法人税法第57条第1項)。控除できる金額は所得の金額の100分の50が限度ですが、資本金の額または出資金の額が1億円以下の普通法人などの中小法人等については、同条第11項の読替えにより所得の金額の全額まで控除できます。

欠損金を繰り越すために必要な手続きはありますか?

欠損金額が生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出している必要があります。赤字だからと申告をしないでいると、その年の欠損金を将来の黒字と相殺する権利を失います。

自社の業種の赤字割合はどこで確認できますか?

国税庁「令和6年度分 会社標本調査 -調査結果報告-」に、17業種それぞれの欠損法人割合と所得率が掲載されています。本記事の第4章に全業種を掲載していますので、そちらもご参照ください。なお、この業種別の数値は通算法人を除いたものです。

所得率とは何を指していますか?

営業収入金額に対する所得金額の割合です。会社標本調査では、利益計上法人の営業収入金額を分母、その所得金額を分子として計算しています。したがって欠損法人は分母にも分子にも含まれておらず、業界全体の平均利益率ではない点にご注意ください。令和6年度分の全体の所得率は7.1%です。

会社標本調査はいつのデータですか?

令和6年度分は、令和6年4月1日から令和7年3月31日までの間に終了した各事業年度について、令和7年7月31日までに申告のあった事績を、令和7年8月末現在で取りまとめたものです。公表は令和8年3月です。足元の景況ではなく、1〜2年前の申告実績を見ていることになります。

すべての法人を調べた結果ですか?

いいえ、サンプル調査です。母集団は約300万社、標本サイズは約242万社で、標本法人割合は80.6%です。17の業種区分と12の資本金階級区分で層化抽出を行っており、資本金10億円超の階級については全数抽出とされています。

出典・参考資料

免責 本記事は、国税庁「令和6年度分 会社標本調査」等の公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の税務判断に代わるものではありません。会社標本調査はサンプル調査に基づく推計値であり、単位未満を四捨五入しているため、内訳の合計が総数と一致しない場合があります。法人住民税の均等割の税率は標準税率であり、地方公共団体によっては超過課税が行われています。実際の判断にあたっては、最新の法令をご確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。中小企業の税務顧問から富裕層・オーナー経営者の資産防衛・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp

この記事は執筆時点の法令・通達に基づいています。最終確認日:2026年8月2日(現行制度との照合を実施)。税制は改正されます。実際のご判断の前に、最新の情報をご確認いただくか、税理士法人 小山・ミカタパートナーズまでご相談ください。