寄附金の損金不算入の決定版|限度額の計算・グループ内寄附・企業版ふるさと納税までを税理士が解説【2026年版】
- 1. 結論(3行サマリー)
- 2. 前提:税法上の「寄附金」は日常語よりずっと広い
- 3. 「払っていない寄附金」は損金にならない
- 4. 6つの区分と、損金になる範囲
- 5. 限度額の計算——枠は思っているより小さい
- 6. グループ内の寄附金は、1円も損金にならない
- 7. 子会社支援は、必ず寄附金になるわけではない
- 8. 企業版ふるさと納税なら、負担は約1割まで下がる
- 9. 令和8年4月から変わった点
- 10. まとめ
- よくある質問(FAQ)
1. 結論(3行サマリー)
- 法人の寄附金は原則として損金にならない。損金にできるのは限度額までで、その限度額は期末の資本金の額+資本準備金の額と所得の金額から計算します(法人税法37条1項、法人税法施行令73条)
- ただし国・地方公共団体への寄附金と指定寄附金は全額損金、特定公益増進法人・認定NPO法人・公益信託への寄附金は一般枠とは別枠で損金にできます(同条3項〜5項)
- 逆に完全支配関係があるグループ内の寄附金と、国外関連者への寄附金は全額が損金不算入です(同条2項、租税特別措置法66条の4第3項)
2. 前提:税法上の「寄附金」は日常語よりずっと広い
まず押さえるべきは、法人税法の「寄附金」は、寄附金という名前で支出したものだけを指すわけではないという点です。
条文はこう定めています。寄附金の額とは、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、法人が金銭その他の資産または経済的な利益の贈与または無償の供与をした場合における、その金銭の額・資産の贈与時の価額・経済的な利益の供与時の価額をいう(法人税法37条7項)。
つまり判定は名義ではなく実質です。勘定科目を「支払手数料」「協賛金」「支援金」にしても、対価性のない支出であれば寄附金として扱われます。
寄附金から除かれるもの(4つ)
条文は、次の費用を寄附金から明示的に除いています(同項)。
- 広告宣伝および見本品の費用その他これらに類する費用
- 交際費
- 接待費
- 福利厚生費
裏を返せば、事業との対価関係・関連性があれば寄附金ではないということです。イベント協賛でロゴ掲出や社名紹介があれば広告宣伝費、取引先との関係維持のための支出なら交際費、というように、まず「対価性があるか」を見るのが実務の入口になります。
一方で、国税庁は次のような支出は原則として寄附金になるとしています(タックスアンサーNo.5262)。
- 社会事業団体、政治団体に対する拠金
- 神社の祭礼等の寄贈金
時価より安く売っても寄附金になる(低額譲渡)
見落とされやすいのがここです。資産の譲渡や経済的な利益の供与をした場合で、その対価の額が時価に比べて低いとき、時価との差額のうち実質的に贈与をしたと認められる金額は寄附金に含まれます(法人税法37条8項)。
社長の関係会社に不動産を簿価で譲る、グループ会社に無利息・低利で貸し付ける——こうした取引は、現金が動いていなくても寄附金と認定されうるということです。
3. 「払っていない寄附金」は損金にならない
寄附金には、他の費用にはない特殊なルールがあります。発生主義ではなく、現実に支払った時点で認識するという点です。
条文は「寄附金の支出は、各事業年度の所得の金額の計算については、その支払がされるまでの間、なかったものとする」と定めています(法人税法施行令78条)。
実務上の帰結は次のとおりです。
- 未払寄附金は損金にならない。決算で未払計上しても、その事業年度の寄附金には含まれません
- 手形で支払った寄附金も、決済されるまでは支出になりません。手形の振出し(裏書譲渡を含む)は現実の支払に該当しないとされています(法人税基本通達9-4-2の4)
- 仮払金として経理した寄附金は、支払った事業年度の寄附金になります(同通達9-4-2の3)。会社が資産計上していても、税務上は支出があったものとして扱われます
つまり、会計上どう経理したかではなく、お金が実際に出たかどうかで決まります。
4. 6つの区分と、損金になる範囲
支出先によって取扱いがまったく違います。ここが本論です。
全額が損金になるもの
- 国または地方公共団体に対する寄附金(法人税法37条3項1号)。港湾法の規定による港務局を含みます。ただし、その寄附によって設けられた設備を専属的に利用するなど、特別の利益が寄附をした者に及ぶと認められるものは除かれます
- 指定寄附金(同項2号)。公益法人等に対する寄附金のうち、①広く一般に募集されること、②教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること、の要件を満たすものとして財務大臣が指定したものです。指定されたものは財務省ホームページの「税制関係の主な告示(法人税関係)」に掲載されます
一般枠とは別枠で損金になるもの(特別損金算入限度額)
- 特定公益増進法人に対する寄附金(同条4項)。その法人の主たる目的である業務に関連する寄附金に限られます
- 認定NPO法人等に対する寄附金(租税特別措置法66条の11の3)。その認定NPO法人等が行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金に限られます
- 公益信託の信託財産とするために支出する寄附金(法人税法37条5項)
一般の寄附金(上記以外)
- 一般枠の損金算入限度額までしか損金になりません
全額が損金にならないもの
- 完全支配関係(法人による完全支配関係に限る)がある他の内国法人に対する寄附金(同条2項)
- 国外関連者に対する寄附金(租税特別措置法66条の4第3項)
特定公益増進法人とは(7類型)
「公益の増進に著しく寄与するもの」として政令で定められた法人です(法人税法施行令77条)。
- 独立行政法人通則法2条1項に規定する独立行政法人
- 地方独立行政法人法2条1項に規定する地方独立行政法人で一定の業務を主たる目的とするもの
- 国立健康危機管理研究機構、自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団、日本赤十字社および福島国際研究教育機構
- 公益社団法人および公益財団法人
- 私立学校法3条に規定する学校法人で一定の学校の設置等を主たる目的とするもの(同法152条5項により設立されたいわゆる準学校法人を含む)
- 社会福祉法22条に規定する社会福祉法人
- 更生保護事業法2条6項に規定する更生保護法人
一般社団法人・一般財団法人は、それだけでは特定公益増進法人ではありません。公益認定を受けた公益社団法人・公益財団法人が対象です。ここは間違えやすい点です。
「国等に払えば全額損金」の落とし穴
国等への寄附金は全額損金ですが、通達は2つの例外を示しています。
- 最終的に国等に帰属しないものは該当しません(法人税基本通達9-4-4)。採納の手続を経て支出しても、その寄附金が特定の団体に交付されることが明らかであるなど、最終的に国等に帰属しないと認められるものは対象外です
- 全額政府出資・全額地方公共団体出資の法人への寄附金も該当しません(同通達9-4-5)。通達は日本中央競馬会、日本下水道事業団を例示しています
逆に、国立・公立の学校等の施設の建設・拡張等の目的で設立された後援会等への寄附金は、その施設が完成後遅滞なく国等に帰属することが明らかであれば、国等に対する寄附金に該当します(同通達9-4-3)。
5. 限度額の計算——枠は思っているより小さい
計算式は2本あります。普通法人の場合を示します。
一般寄附金の損金算入限度額(法人税法施行令73条1項1号)
〔(期末の資本金の額および資本準備金の額の合計額または出資金の額)× 当期の月数 ÷ 12 × 2.5/1,000 + 所得の金額 × 2.5/100〕× 1/4
特別損金算入限度額(同施行令77条の2第1項1号)
〔(期末の資本金の額および資本準備金の額の合計額または出資金の額)× 当期の月数 ÷ 12 × 3.75/1,000 + 所得の金額 × 6.25/100〕× 1/2
数字で見ると、枠の小ささが一目で分かります。
【計算例】資本金1,000万円・資本準備金0円・所得1,000万円・事業年度12か月の会社
| 区分 | 損金にできる上限 |
|---|---|
| 一般の寄附金 | 68,750円 |
| 特定公益増進法人等(別枠) | 331,250円 |
| 合計 | 400,000円 |
- 一般枠 =(1,000万円 × 2.5/1,000 + 1,000万円 × 2.5/100)× 1/4 =(25,000円 + 250,000円)× 1/4 = 68,750円
- 別枠 =(1,000万円 × 3.75/1,000 + 1,000万円 × 6.25/100)× 1/2 =(37,500円 + 625,000円)× 1/2 = 331,250円
つまり、この規模の会社が神社の祭礼に10万円を包んだだけで、すでに一般枠を超えているということです。
計算で間違えやすい3点
- 資本金等の額ではなく「資本金の額+資本準備金の額」です。令和4年度税制改正で計算基礎が変わっており、古い解説では「資本金等の額」と書かれていることがあります
- 所得の金額は、寄附金を全額損金不算入として計算した金額です(法人税法施行令73条3項、同令77条の2第3項)。寄附金を引いた後の所得ではありません
- 欠損金の繰越控除等を適用しないで計算した所得の金額を使います(同令73条2項)。繰越欠損金を引いた後の所得ではない、という点に注意が必要です
資本または出資を有しない法人など
普通法人・協同組合等・人格のない社団等のうち資本または出資を有しないもの、法人税法別表第二に掲げる一般社団法人・一般財団法人、認定NPO法人を除く特定非営利活動法人などの場合は、資本基準がなく所得基準だけで計算します。
- 一般寄附金の限度額 = 所得の金額 × 1.25/100
- 特別損金算入限度額 = 所得の金額 × 6.25/100
適用には申告書への添付が必要
全額損金・別枠損金の扱いは、自動では受けられません。法人税法37条9項が明確に要件を定めています。
- 国等に対する寄附金・指定寄附金(3項)は、確定申告書・修正申告書・更正請求書に、その寄附金の額と明細を記載した書類の添付がある場合に限り適用
- 特定公益増進法人等・公益信託(4項・5項)は、上記の添付に加えて、その寄附金がこれらの規定に該当することを証する書類(受領証等)の保存が必要
書類は「寄附金の損金算入に関する明細書」(別表14(2))です。損金にできる金額は、書類に記載された金額が限度とされています(同項後段)。書き忘れた分は、後から救済されません。
なお、証する書類の保存がなかった場合でも、やむを得ない事情があると税務署長が認めるときは適用できるという規定があります(同条10項)。ただしこれは例外規定であり、当てにする性質のものではありません。
6. グループ内の寄附金は、1円も損金にならない
オーナー経営者に最も影響が大きいのがこの論点です。
内国法人が、法人による完全支配関係がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額は、その全額が損金の額に算入されません(法人税法37条2項)。限度額の計算にすら入りません。
そして対になる規定として、受け取った側では、その受贈益の額の全額が益金の額に算入されません(法人税法25条の2第1項)。払った側は損金ゼロ、もらった側は益金ゼロ。グループ全体では課税所得が動かない、という設計です。
ここを間違えると課税される
通達が2つ、重要な留意点を示しています。
個人が間接に保有していても対象になる(法人税基本通達9-4-2の5)。内国法人と他の内国法人との間に一の者(法人に限る)による完全支配関係がある場合には、両社の発行済株式等の全部を、その一の者を通じて個人が間接に保有していても、37条2項の適用があるとされています。持株会社の下にぶら下がる兄弟会社間の資金移動は、まさにこの形です。
受贈益が益金にならない相手には適用がない(同通達9-4-2の6)。支出先が公益法人等で、その受贈益が収益事業以外の事業に属するものとして区分経理されているときは、相手方で益金に算入できないため、その寄附金は「受贈益の額に対応するもの」に該当しません。この場合は37条2項ではなく、通常の限度額計算の対象になります。
国外関連者への寄附金も全額損金不算入
海外子会社に対する支援は、さらに厳格です。法人が支出した寄附金のうち国外関連者に対するものは、その全額が損金の額に算入されません(租税特別措置法66条の4第3項)。
完全支配関係の有無を問わず、国外関連者であれば適用されます。海外子会社への無償の資金援助、債権放棄、無利息貸付け、役務提供の対価の未収——いずれも寄附金認定のリスクがあります。移転価格税制と隣り合わせの領域です。
7. 子会社支援は、必ず寄附金になるわけではない
ここまで読むと「グループ内の支援は打つ手なし」に見えますが、そうではありません。通達には寄附金に該当しないとする2つの道が用意されています。
子会社等を整理する場合の損失負担等(法人税基本通達9-4-1)
法人が子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い、その子会社等のために債務の引受けその他の損失負担または債権放棄等をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等、相当な理由があると認められるときは、その経済的利益の額は寄附金に該当しないものとされます。
子会社等を再建する場合の無利息貸付け等(同通達9-4-2)
法人が子会社等に対して無利息または低利での貸付けや債権放棄等をした場合において、業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので、合理的な再建計画に基づくものである等、相当な理由があると認められるときは、その経済的利益の額は寄附金に該当しないものとされます。
この2つの通達で決定的に重要なのが、「子会社等」の範囲です。注書きはこう定めています。
株主でなくても、取引先・関連先であれば対象になりうるということです。
そして「合理的な再建計画かどうか」の判断基準も示されています。支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性および支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ総合的に判断するとされ、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として合理的なものと取り扱うとされています。
- 取締役会の決議も再建計画もないまま、「グループだから」と資金を入れて期末を迎える
- 無利息で貸し付けたが、金銭消費貸借契約書がなく、利息を取らない理由の記録もない
- 兄弟会社間の資金移動を、貸付けなのか支援なのか整理しないまま「立替金」で処理し続ける
- 海外子会社への支援を国内と同じ感覚で行い、租税特別措置法66条の4第3項の全額損金不算入に当たる
- 社長個人が負担すべき地元団体への寄附を会社から支出する
- 支援に入る前に、支援しなければより大きな損失を被ることを数字で示した資料を残す(9-4-1のロジックはここに尽きます)
- 再建支援は、支援額の根拠・再建管理の方法・支援者の範囲・支援割合を書いた再建計画にまとめ、取締役会で決議する
- 金融機関を含む複数の利害関係者で合意した計画にできるなら、そちらを優先する(通達が原則合理的と扱う類型です)
- グループ内の資金移動は、貸付け(利息を取る)/出資/支援のどれなのかを取引の前に決め、契約書と会計処理をそろえる
- 海外向けは、寄附金認定と移転価格の両面から事前に設計する
過去のご相談の傾向として申し上げると、寄附金が問題になるのは「支援したこと」そのものではなく、支援を決めた過程の記録が残っていないことです。同じ資金の出し方でも、事前に計画と決議があれば9-4-2で説明でき、なければ寄附金として全額否認される。判断が分かれるのは決算のときではなく、お金を出す前の段階です。
役員が負担すべき寄附金は「給与」になる
もうひとつ、実務で頻出する論点です。法人が損金として支出した寄附金で、その法人の役員等が個人として負担すべきものと認められるものは、その負担すべき者に対する給与とされます(法人税基本通達9-4-2の2)。
これは寄附金の限度額の問題ではなく、役員給与の問題に変わるということです。定期同額給与にも事前確定届出給与にも当たらないため損金にならず、加えて源泉所得税の徴収漏れになります。社長個人が役員を務める団体や、社長の地元の会への支出は、この観点から見直す必要があります。
8. 企業版ふるさと納税なら、負担は約1割まで下がる
ここまでは「損金にできる範囲」の話でした。最後に、税額そのものを直接減らす制度を取り上げます。
認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除(租税特別措置法42条の12の2)——通称企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)です。
地方公共団体への寄附なので、まず全額が損金になります(法人税法37条3項1号)。そのうえで、法人関係税から税額控除ができます。内閣府の資料では、損金算入で約3割、税額控除で最大6割、あわせて最大約9割の軽減効果とされています。1,000万円を寄附した場合、最大約900万円の法人関係税が軽減される計算です。
税額控除の内訳は次のとおりです。
- 法人住民税:寄附額の4割を税額控除(法人住民税法人税割額の20%が上限)
- 法人税:法人住民税で4割に達しない場合、その残額を税額控除。ただし寄附額の1割が限度(法人税額の5%が上限)
- 法人事業税:寄附額の2割を税額控除(法人事業税額の20%が上限)
法人税の部分は条文で確認できます。特定寄附金の額の合計額の100分の40に相当する金額から、地方税法の規定により道府県民税および市町村民税の額から控除される金額を控除した金額(その金額が特定寄附金の額の合計額の100分の10を超える場合は100分の10相当額)が税額控除限度額とされ、さらに調整前法人税額の100分の5が上限とされています(租税特別措置法42条の12の2第1項)。
使う前に必ず確認すべき4点
- 青色申告書を提出する法人であることが要件です(同項)
- 本社が所在する地方公共団体への寄附は対象外です
- 10万円以上の寄附が対象です
- 寄附企業への経済的な見返りは禁止されています。条文上も、その寄附によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益が寄附をした者に及ぶと認められるものは特定寄附金から除かれます(同項)。ただし、地方公共団体のホームページ・広報誌等による寄附企業名の紹介や、公正なプロセスを経た地方公共団体との契約等は可能とされています
適用期間は令和10年3月31日までです(同項)。令和7年度税制改正で延長されました。
なお、東京都および市区町村のうち地方交付税の不交付団体で三大都市圏の既成市街地等に所在する市区町村は、本制度の対象外とされています。
9. 令和8年4月から変わった点
令和8年度税制改正でも寄附金税制に手が入っています。いずれも令和8年4月1日を境とする改正です。
指定寄附金の範囲(専修学校関係)
学校法人が設置する専修学校に係る指定寄附金について、対象となる専修学校の課程のうち専門課程に係る要件が、その修業期間を通ずる単位数が62単位以上であるもの(改正前:その修業期間を通ずる授業時間数が1,700時間以上であるもの)とされました。あわせて、対象となる課程に専攻科の課程で修業期間を通ずる単位数が62単位以上であるものが追加されています。令和8年4月1日から適用されます。
特定公益増進法人の範囲(専修学校関係)
特定公益増進法人のうち、学校および一定の専修学校の設置を主たる目的とする学校法人等の範囲について、専門課程に係る要件が同じく単位数62単位以上(改正前:授業時間数1,700時間以上)とされました(法人税法施行規則23条の2第1項2号)。法人が令和8年4月1日以後に支出する寄附金について適用され、同日前に支出した寄附金は従前どおりです。
これらは、学校教育法の一部を改正する法律(令和6年法律第50号)により専修学校の全ての専門課程が単位制へ移行したことを契機とする改正です。
公益信託への寄附金
前述のとおり、公益信託に関する法律(令和6年法律第30号)が令和8年4月1日に施行され、法人税法37条5項の対象が同法2条1項1号に規定する公益信託に切り替わりました。特定公益増進法人に対する寄附金と同じ枠(特別損金算入限度額の残額)で損金算入できます。
10. まとめ
法人の寄附金は、支出先で結論が180度変わる制度です。
- 原則は損金不算入。損金にできるのは限度額まで(法人税法37条1項)。資本金1,000万円・所得1,000万円の会社なら一般枠は年68,750円しかありません
- 国・地方公共団体と指定寄附金は全額損金。ただし特別の利益が及ぶもの・最終的に国等に帰属しないものは対象外(同条3項、法人税基本通達9-4-4)
- 特定公益増進法人・認定NPO法人・公益信託は別枠。一般社団法人・一般財団法人はそれだけでは対象になりません
- 完全支配関係グループ内と国外関連者への寄附金は全額損金不算入(同条2項、租税特別措置法66条の4第3項)
- 子会社支援は、9-4-1・9-4-2の要件を満たせば寄附金にならない。分かれ目は資金を出す前の計画と記録です
- 企業版ふるさと納税なら負担は約1割。ただし本社所在地は対象外、10万円以上、令和10年3月31日まで
- 適用には別表14(2)の添付と証明書類の保存が必要。記載した金額が損金算入の限度です(同条9項)
寄附金は、決算で集計する費用ではなく、支出する前に区分を決めておく費用です。とくにグループ会社への資金移動は、貸付けか出資か支援かを決めないまま動かした瞬間に、選べる手が減ります。
税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、寄附金と交際費・広告宣伝費の区分設計、グループ内資金移動のスキーム整理、子会社支援の再建計画の作成、企業版ふるさと納税の活用まで、経営者のご支援をしています。自社の支出がどの区分に当たるか整理したい方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
神社の祭礼に包んだお金は経費になりますか?
決算対策として、期末に寄附を未払計上できますか?
一般寄附金の損金算入限度額は、どう計算しますか?
一般社団法人に寄附した場合、別枠で損金にできますか?
100%子会社に資金を渡すと、税金はどうなりますか?
業績が悪い子会社に無利息で貸し付けたら、寄附金になりますか?
海外子会社への支援も同じ考え方でよいですか?
企業版ふるさと納税は、本社のある市町村にも使えますか?
寄附金の優遇を受けるのに、手続きは必要ですか?
社長が個人的に関わる団体への寄附を会社から出しても大丈夫ですか?
出典・参考資料
- 法人税法(昭和40年法律第34号)第37条(寄附金の損金不算入)|e-Gov法令検索
- 法人税法(昭和40年法律第34号)第25条の2|e-Gov法令検索
- 法人税法施行令(昭和40年政令第97号)第73条(一般寄附金の損金算入限度額)|e-Gov法令検索
- 法人税法施行令(昭和40年政令第97号)第78条(支出した寄附金の額)|e-Gov法令検索
- 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第66条の4(国外関連者との取引に係る課税の特例)|e-Gov法令検索
- 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第42条の12の2(認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除)|e-Gov法令検索
- 国税庁「法人税基本通達 第9章第4節第1款 寄附金の範囲等」
- 国税庁「法人税基本通達 第9章第4節第2款 完全支配関係がある法人間の寄附金」
- 国税庁「法人税基本通達 第9章第4節第3款 国等に対する寄附金」
- 国税庁「No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算」(令和7年4月1日現在法令等。公益信託の記載は改正前)
- 国税庁「No.5283 特定公益増進法人に対する寄附金」
- 国税庁「No.5284 認定NPO法人等に対する寄附金」
- 国税庁「No.5262 交際費等と寄附金との区分」
- 財務省「令和8年度 税制改正の解説」法人税法等の改正
- 内閣府 地方創生推進事務局「企業版ふるさと納税ポータルサイト」
- 内閣府 地方創生推進事務局「企業版ふるさと納税 制度概要」
- 根拠:法人税法37条・25条の2、法人税法施行令73条・77条・77条の2・78条、法人税法施行規則23条の2、法人税基本通達9-4-1・9-4-2・9-4-2の2・9-4-2の3・9-4-2の4・9-4-2の5・9-4-2の6・9-4-3・9-4-4・9-4-5、租税特別措置法42条の12の2・66条の4第3項・66条の11の3、公益信託に関する法律(令和6年法律第30号)2条1項1号
寄附金の区分設計とグループ内資金移動の整理は KMP へ
公認会計士・税理士・米国公認会計士のトリプルホルダーの視点で、寄附金と交際費・広告宣伝費の区分設計、グループ内の資金移動を貸付け・出資・支援のどれで行うかの整理、子会社支援の再建計画の作成、海外子会社支援における寄附金認定と移転価格の同時検討、企業版ふるさと納税の活用までを一体でご支援しています。寄附金は決算で集計する費用ではなく、支出する前に区分を決めておく費用です。
無料相談はこちらこの記事は執筆時点の法令・通達に基づいています。最終確認日:2026年8月2日(現行制度との照合を実施)。税制は改正されます。実際のご判断の前に、最新の情報をご確認いただくか、税理士法人 小山・ミカタパートナーズまでご相談ください。
