交際費はどこまで経費にできる?否認されない線引きと2024年改正のポイント

「この飲食代、経費で落ちますか?」 経営者から日常的にいただくご質問です。交際費は、中小企業にとって身近でありながら、税務調査で必ずと言っていいほどチェックされる項目でもあります。「全部経費になる」と思い込んでいると、調査で否認されて追徴課税、ということになりかねません。 本記事では、交際費がどこまで経費にできるのか、その線引きと、2024年(令和6年)の改正ポイントを整理します。
📋 この記事の目次
  1. 1. そもそも交際費には「上限」がある
  2. 2. 【2024年改正】1人1万円以下の飲食費は「交際費にならない」
  3. 3. そもそも「交際費」になるもの・ならないもの
  4. 4. よくある失敗 vs 適切な対応
  5. 5. まとめ
  6. よくある質問(FAQ)

1. そもそも交際費には「上限」がある

まず知っておくべきは、交際費は無制限に経費(損金)にできるわけではないということです。法人税法では、交際費等のうち一定額を超える部分は損金に算入できません。ただし、中小法人(資本金1億円以下)には有利な特例が用意されています。

中小法人は、次のどちらか有利な方を選べます。

選択肢内容
① 定額控除年間 800万円まで の交際費等を全額損金算入
② 接待飲食費の50%接待飲食費の 50% を損金算入

多くの中小企業では、交際費が年800万円を超えることは多くないため、①の800万円枠を使えば実質的に全額経費にできるケースがほとんどです。

2. 【2024年改正】1人1万円以下の飲食費は「交際費にならない」

ここが最近の重要な変更点です。一定の飲食費は、そもそも交際費等から除外され、全額経費にできます。その金額基準が、令和6年度改正で引き上げられました。

1人あたり 5,000円以下 → 10,000円以下 に引き上げ(2024年4月1日以後の支出から)

つまり、取引先との会食で1人あたり1万円以下であれば、それは交際費の800万円枠を消費せず、会議費等として全額損金にできます。枠を温存できるため、中小企業にとっては実務上とても大きい改正です。

除外を受けるための要件(記録が命)

この扱いを受けるには、次の事項を記載した書類の保存が必須です。記録がないと否認されます。

  • 飲食の年月日
  • 参加した相手方の氏名・名称、関係
  • 参加人数
  • 金額、店名・所在地
⚠️ 「1人あたり」の判定なので、人数の記録が決定的に重要です。領収書の裏にメモする習慣をつけましょう。

3. そもそも「交際費」になるもの・ならないもの

税務調査では、「これは本当に事業のための支出か」が問われます。区分を間違えやすいものを整理します。

  • 交際費になる:取引先との接待飲食、お中元・お歳暮、慶弔金、接待のためのゴルフ・タクシー代 など
  • 交際費にならない(別科目で全額経費):1人1万円以下の飲食費(会議費)、社内の会議の弁当・茶菓(会議費)、不特定多数向けの宣伝(広告宣伝費)、専ら従業員のための慰安旅行・忘年会(福利厚生費)
  • そもそも経費にならない:プライベートな飲食・家族との食事、事業と関係のない支出

最も危険なのが、社長個人のプライベートな飲食を交際費に紛れ込ませることです。税務調査で「相手は誰か」を説明できないと、否認されるだけでなく、悪質と判断されれば重いペナルティにつながります。

4. よくある失敗 vs 適切な対応

❌ よくある失敗
  • 相手・人数の記録がなく、1万円以下の飲食費の除外が使えない
  • プライベートの飲食を交際費に混ぜる(調査で否認・重加算税リスク)
  • 慶弔金を、相場とかけ離れた高額で計上する
  • 福利厚生費にすべき社内行事を交際費にしている(枠の無駄遣い)
⭕ 適切な対応
  • 飲食費は「日付・相手・人数・金額・店名」を必ず記録する
  • 1人1万円以下を意識し、会議費として枠を温存する
  • 事業との関連性を説明できる支出だけを交際費にする
  • 福利厚生費・会議費・広告宣伝費との区分を正しく使い分ける

5. まとめ

交際費は、中小法人なら年800万円まで全額損金にでき、さらに2024年改正で1人1万円以下の飲食費は交際費から除外できるようになりました。うまく使えば、ほとんどの飲食費を経費にしながら枠を温存できます。

ただし、その大前提は「誰と・何人で・いくら」の記録です。記録がなければ特例は使えず、プライベート支出の混入は調査で必ず狙われます。「攻めの経費活用」と「守りの記録」はセットです。当事務所では、税務調査に強い経理体制づくりから日々の判断まで、経営者をご支援しています。交際費の扱いにご不安のある方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

交際費はどこまで経費にできますか?

中小法人は年800万円まで全額損金にできます(または接待飲食費の50%を損金にする方式を選択)。

1人あたり一定額以下の飲食費は交際費から外せますか?

はい。一定金額以下の社外との飲食費は会議費等として交際費から除外できます(2024年改正で1人1万円以下に引上げ)。

個人事業主の交際費に上限はありますか?

金額の上限はありませんが、事業との関連性が必要です。私的な支出は経費として否認されます。

出典・参考資料

ご利用上の留意事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断に代わるものではありません。税制は改正され、適用は個別事情により異なります。実際の判断にあたっては、最新の法令・通達をご確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年5月30日

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」を掲げ、税務顧問・税務調査対応から資金調達・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp