2026年度に補助金が大再編|ものづくり補助金と新事業進出補助金の統合(見込み)を税理士が解説

「来年度から、ものづくり補助金と新事業進出補助金が一つになるらしい」——設備投資や新分野への進出を検討している経営者の方から、こうしたご質問が増えています。中小企業庁は、これまで別々だった主要な補助金を統合・再編する方向を打ち出しており、2026年(令和8年)度は補助金の地図が大きく塗り替わる節目になりそうです。 ただし、再編後の制度はまだ「仮称」「見込み」の段階で、確定した情報と、今まさに動いている公募とが入り混じっています。本記事では、いま確定している主要補助金の中身と、統合・再編で何が変わる見込みかを切り分けて整理し、補助金を取りにいくために税理士の視点で押さえておくべきことを解説します。
📋 この記事の目次
  1. 1. 何が起きているのか(3行サマリー)
  2. 2. 前提:再編前の主要な補助金(いま確定している中身)
  3. 3. 統合・再編で何が変わる見込みか
  4. 4. 専門家の視点:補助金は「もらった後」に税金がかかる
  5. 5. 実務で押さえるべきこと
  6. 6. まとめ
  7. よくある質問(FAQ)

1. 何が起きているのか(3行サマリー)

  • 中小企業庁は、これまで別建てだったものづくり補助金・新事業進出補助金などを統合・再編する方向を打ち出している。再編後は「新事業進出・ものづくり補助金」(いずれも仮称・見込み)として一体運用される見通し
  • 一方で、現行制度の公募は進行中。新事業進出補助金 第4回は2026年6月19日に締切(受付終了)、中小企業省力化投資補助金〈一般型〉第7回は2026年7月1日10時から申請受付開始と、確定したスケジュールが動いている
  • 補助金は採択がゴールではない。「もらった補助金には法人税がかかる(圧縮記帳で繰り延べ可)」「後払いでつなぎ資金が要る」という”お金の段取り”こそ、結果を分ける

2. 前提:再編前の主要な補助金(いま確定している中身)

統合・再編の話に入る前に、再編のベースになっている主要3補助金の「いま確定している中身」を押さえておきましょう。補助上限・補助率・スケジュールは各公式サイトの公募要領で公表されている確定情報です(2026年6月時点)。

補助金直近の公募回申請時期補助上限(代表的な枠)補助率
ものづくり補助金第23次2026年2月6日〜5月8日17時(受付終了)製品・サービス高付加価値化枠 750万〜4,000万円1/2(小規模事業者・再生は2/3)
新事業進出補助金第4回2026年6月19日18時締切(受付終了)従業員規模別(最大7,000万円・大幅な賃上げ特例で最大9,000万円/公募要領による)1/2
中小企業省力化投資補助金〈一般型〉第7回2026年7月1日10時受付開始従業員規模別(5人以下750万円〜101人以上8,000万円。大幅な賃上げで1,000万〜1億円)1/2(小規模・再生は2/3。大幅な賃上げで2/3)
💡 省力化投資補助金〈一般型〉第7回は「7月1日10時」に受付開始 … 統合・再編の議論とは別に、省力化投資補助金〈一般型〉第7回は2026年7月1日(水)10時から申請ポータルでの受付が始まる確定スケジュールです。人手不足対策の設備投資(自動化・省力化機械など)を検討している事業者は、この回が直近のチャンスになります。補助上限は従業員規模に応じて段階的に設定され、大幅な賃上げに取り組む場合は上限が引き上げられます。詳しくは別記事「中小企業省力化投資補助金〈一般型〉第7回」もあわせてご覧ください。

ものづくり補助金 第23次では、賃上げ要件が「1人あたり年平均3.5%以上」に一本化された点も実務上の変更点です。

3. 統合・再編で何が変わる見込みか

ここからは、現時点で確定していない「見込み」の話です。中小企業庁の発表や各種解説によれば、2026年度に向けて次のような再編が想定されています(最終的な制度設計・名称・金額は今後の公募要領で確定します)。

  • これまで別々だったものづくり補助金と新事業進出補助金が統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」(仮称)として一体運用される方向
  • さらに中小企業省力化投資補助金も含めたパッケージとして再編し、政策資源を集約する狙いとされる
  • 再編後は、設備投資(旧ものづくり)と新分野・新市場への進出(旧新事業進出)を一体で支援する複数の申請枠に整理される見込み。革新的な新製品・サービス開発、新事業進出、海外展開(グローバル)といった枠が想定されている
  • とくに海外展開(グローバル)向けの枠は補助上限が引き上げられる方向と伝えられている
⚠️ 「仮称・見込み」と「確定」を混同しない … 再編後の制度名・申請枠・補助上限は、現時点では確定していません。SNSやコラムで「最大◯◯円」「◯月から」といった具体的な数字を見かけても、それが公募要領で確定したものか、見込みの段階かを必ず切り分けてください。実際に申請する補助金は、必ず公式サイトの最新の公募要領で要件・補助率・補助上限・締切を確認することが大前提です。

統合・再編が進むと、「自分の投資計画はどの枠に当たるのか」「いつの公募回を狙うのか」が今まで以上に重要になります。再編の過渡期は公募スケジュールの空白や名称の変更が起こりやすいため、情報を取りこぼさない体制づくりが効いてきます。

4. 専門家の視点:補助金は「もらった後」に税金がかかる

補助金の相談で意外に見落とされがちなのが、「採択された補助金には税金がかかる」という点です。実務家の立場から申し上げると、ここを知らずに資金計画を立てると、入金後の納税で資金繰りが狂うことがあります。

法人が受け取った国庫補助金等は、原則として法人税法上の「益金」に算入されます。つまり、補助金そのものが課税対象の収益になります。ただし、その補助金で機械や設備などの固定資産を取得した場合は、「圧縮記帳」という制度を使うことで、補助金にかかる課税をその年に一度に負担せず、将来へ繰り延べることができます(国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮記帳・法人税法第42条)。

💡 圧縮記帳の考え方 … 補助金で固定資産を買った年に、補助金相当額を「圧縮損」として損金に計上し、その分だけ資産の帳簿価額を引き下げる仕組みです。受け取った補助金(益金)と圧縮損(損金)が相殺され、その年の税負担を抑えられます。ただし税金が消えるわけではなく、圧縮した分は減価償却費が将来にわたって小さくなるため、課税は将来へ「繰り延べ」られているにすぎません。適用には決算での所定の経理処理と申告書への明細添付が必要です。

消費税にも注意が必要です。補助金そのものは消費税の課税対象外(不課税)ですが、補助金で取得した設備等にかかった消費税を仕入税額控除した場合、その控除額の一部を補助金の交付元へ返還する取り扱いが公募要領で定められていることがあります。会計・税務の処理まで含めて段取りしておくことが、補助金を「使いこなす」ということです。

税理士法人 小山・ミカタパートナーズにも、「補助金は採択されたが、税金と入金のタイミングをどう考えればよいか」というご相談が実際に寄せられます。補助金は、採択の前後で会計・税務・資金繰りまで一体で設計するのが王道です。

5. 実務で押さえるべきこと

再編期に補助金を取りこぼさないために、結果を分けるポイントを失敗例と王道で整理します。

❌ つまずきがちな失敗
  • 「統合される」という噂だけで動き、今申請できる公募回を逃す
  • 仮称・見込みの数字を確定情報と思い込み、実際の公募要領と食い違う計画を立てる
  • 交付決定の前に設備を発注・契約してしまい、補助の対象外になる
  • 補助金を「丸々もらえる益金にならないお金」と誤解し、入金後の納税・つなぎ資金を見落とす
⭕ これから取るべき王道
  • まず今まさに申請できる公募回(省力化〈一般型〉第7回=7月1日受付開始など)から逆算して動く
  • 制度名・補助上限は必ず公式サイトの最新の公募要領で確認し、見込みと確定を切り分ける
  • 発注・契約は必ず交付決定の後に行い、対象経費・時期を公募要領で照合する
  • 補助金にかかる法人税(圧縮記帳の活用)・消費税の扱い・後払いのつなぎ資金まで、採択前に資金計画へ織り込む
💬 実務の現場から
守秘義務がありますので詳細は控えますが、構図としてお伝えすると、補助金で苦労されるのは「採択されたあと」であることが少なくありません。過去のご相談の傾向として申し上げると、補助金そのものより、入金までの立替資金・自己負担分・補助金にかかる税金の段取りで資金繰りが詰まりやすいのです。私たちが関与する場面でも、まず使える公募回を押さえ、圧縮記帳を含む税務処理と、自己負担・つなぎ資金の融資手当てを設計したうえで、発注の順番(交付決定の後)を守って進めることを最優先にしています。

6. まとめ

2026年(令和8年)度は、ものづくり補助金・新事業進出補助金・省力化投資補助金などが統合・再編される方向にあり、補助金の地図が大きく変わる節目です。ただし再編後の制度名・申請枠・補助上限は現時点では仮称・見込みであり、確定情報は今後の公募要領で示されます。

一方で、現行制度の公募は動いています。新事業進出補助金 第4回は締切済み、省力化投資補助金〈一般型〉第7回は2026年7月1日10時から受付開始です。「噂で待つ」より「今申請できる回から逆算する」ことが、再編期に取りこぼさないコツです。

そして補助金は、採択された補助金には法人税がかかり(圧縮記帳で繰り延べ可)、後払いでつなぎ資金が要る——この”お金の段取り”こそが本当の勝負どころです。税理士法人 小山・ミカタパートナーズは、認定経営革新等支援機関として、使える補助金の見立てから、数値で語れる事業計画づくり、圧縮記帳を含む税務処理、グループの融資支援サービスユウシサポと一体での資金手当てまで伴走します。設備投資・新分野進出をお考えの方は、発注を決める前にお早めにご相談ください。

よくある質問(FAQ)

ものづくり補助金と新事業進出補助金は本当に統合されるのですか?

中小企業庁は主要な補助金を統合・再編する方向を打ち出しており、再編後は「新事業進出・ものづくり補助金」(仮称)として一体運用される見込みと伝えられています。ただし、制度名・申請枠・補助上限・スケジュールは現時点で確定していません。確定情報は今後公表される公募要領でご確認ください。

2026年7月に申請できる補助金はありますか?

はい。中小企業省力化投資補助金〈一般型〉第7回が、2026年7月1日(水)10時から申請ポータルでの受付を開始します(確定スケジュール)。人手不足対策の省力化・自動化のための設備投資が対象です。補助上限・補助率・対象経費は公募要領でご確認ください。

補助金をもらうと税金はかかりますか?

法人が受け取った国庫補助金等は、原則として法人税法上の「益金」に算入され、課税対象になります。ただし、その補助金で固定資産を取得した場合は「圧縮記帳」(法人税法第42条)を使うことで、その年の税負担を抑え、課税を将来へ繰り延べることができます。適用には決算での経理処理と申告書への明細添付が必要です。

補助金で買った設備の消費税はどうなりますか?

補助金そのものは消費税の課税対象外(不課税)です。一方で、補助金で取得した設備等にかかった消費税を仕入税額控除した場合、その控除額の一部を補助金の交付元へ返還する取り扱いが公募要領で定められていることがあります。消費税の扱いは公募要領で必ず確認してください。

採択されればすぐにお金が入りますか?

多くの補助金は「後払い(精算払い)」です。交付決定の後に発注・契約・支払いを行い、実績報告・確定検査を経てから補助金が入金されます。いったん全額を立て替える資金と自己負担分が必要で、入金までのつなぎ資金を融資で手当てするのが一般的です。

出典・参考資料

  • 中小企業庁「補助金公募情報」(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第23次公募要領 等)
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 総合サイト| https://portal.monodukuri-hojo.jp/
  • 中小企業基盤整備機構「中小企業新事業進出補助金」| https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/
  • 中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金〈一般型〉」| https://shoryokuka.smrj.go.jp/ippan/
  • 中小機構「補助金活用ナビ|小規模事業者・中小企業向け補助金スケジュール」| https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_guide/subsidy_info/r7_schedule.html
  • 国税庁 法人税基本通達「第2節 国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳」(法人税法第42条)| https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/10/10_02.htm
  • 統合・再編後の制度名・申請枠・補助上限・スケジュールは見込みを含みます。補助率・補助上限・対象経費・締切は各補助金の公募要領によります。申請前に必ず各公式サイトの最新情報をご確認ください。
ご利用上の留意事項
本記事は、中小企業庁・中小機構・国税庁等の公表資料に基づく一般的な情報提供であり、特定の補助金の採択・交付や、税務上の取扱いを保証するものではありません。補助金の統合・再編に関する内容は見込みを含み、制度名・要件・補助率・補助上限・スケジュールは今後変更される場合があります。実際のお申し込み・税務処理にあたっては、最新の公募要領・法令をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年6月26日

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。認定経営革新等支援機関として、中小企業の補助金・融資・資金繰りから税務顧問まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp